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iGEM Advent Calendar 2023

この投稿は、iGEM・Synthetic biology(合成生物学)・Japan Advent Calendar 2023の9日目です。
iGEM Japan-United 2023メンバーのうち、有志で各活動を振り返りました。

Human Practicesの振り返り

はじめに

私は12月下旬に新メンバーとしてNinjasに加わりました。
資金集めから始まり、個人的には出場できるかも不安だったのですが、無事に活動を終えることができてよかったです。
また、この記事では私が担当したHuman Practicesについて簡単にまとめました。
詳細はWikiをご覧ください。

Human Practicesとは

Human Practicesは、プロジェクトと社会とのつながりを多様なステークホルダーと関わることによって調べ、チームのプロジェクトが優れており、また世界に対して責任があることを実証することを目的としています。
加えて、そこで得たフィードバックをプロジェクトに反映させ、活動を改善することも大きなポイントのひとつです。
(参考: https://responsibility.igem.org/human-practices/what-is-human-practices )

意識したこと

幸いにも、Ninjasはアドバイザーの方々のご協力などにより、研究面に関してはチーム内でほぼ完結していました。また、私たちのプロジェクトは(無核化された)遺伝子組み換え大腸菌をそのまま食べるというもので、社会実装に大きなハードルがありました。
そのため、Human Practicesでは他の高校チームが多く行っているような研究面での活動はせずに、社会実装に重点を置いて活動を進めました。

実際に行ったこと

Ninjasでは主に、アンケート調査、 ディスカッション、 外部での発表を行いました。
まずは、精神科医や企業の方々とプロジェクトの方向性や最終プロダクトを決めるための話し合いを行いました。話し合いの結果、うつ病のセルフコントロール手段としてクッキーを作ることに決まりました。
その後、社会実装の課題について話し合ったり、市議会議員の方とうつ病に関してディスカッションを行ったりしました。
この他に、うつ病の課題を明確にするためのアンケート調査や研究成果の発表を行いました。

反省点

社会実装に重きを置きすぎたことで、一般人を対象にアンケート調査などは行ったものの、多様なステークホルダーとの関わりをあまり意識することができませんでした。
また、全体的に時間感覚が甘かったです。Human Practicesの活動は8月になるまでほぼ動いておらず、また仕事の分担を上手く行えなかったことで活動に多少の制限がかかってしまいました。

最後に

NinjasがGrand Prizeを取れた一番の理由は、チームの共通認識(目標)として「Gold Medalは最低条件でGrand Prizeを取る」ことがあったためだと思います。最初は言葉だけだったかもしれませんが、架空でも前提としてそれが存在したことで徐々にその意志が芽生え始め、最終的にはしっかりと根付いたことが大きかったです。(私自身も当初はGold Medalが取れれば十分と内心では思っていましたが、気づいたらGrand Prizeを目指していました。)
特にWiki Freeze直前に関しては今までの人生で一番体がきつかったのですが、高い目標があったことで最後まで頑張ることができました。

苦労もありましたが、全国から集まった多種多様なメンバーに囲まれて、非常に充実した日々を送ることができました。最高に楽しかったです。
この経験を生かし、今後も自分の夢に向かって頑張ろうと思います。

Human Practices担当者

Educationの振り返り

はじめに

主にEducationを担当した者です。UTokyoGSCというプログラムで知り合ったメンバーの紹介でJapan-Unitedに加入しました。リーダーが合成生物学の魅力を語っていた際の熱い目は今でも忘れません。チームの活動に最大限貢献できたとは言えませんが、約1年間の活動を通じて貴重な経験をさせていただきました。当初私はEducation担当ではありませんでしたが、活動のサポートをしていくうちに共同でリーダーを務めさせていただくこととなりました。今回はその活動の一部をお話しします。(Educationは計12個の活動を行いました。残りはwikiをご覧ください)

活動①合成生物学に関する講義

Educationの定番といえば講義スタイルの授業だと思います。私たちはオンラインと対面を併用し、小学生〜大人へ向けて複数回講義を行いました。内容は合成生物学の基礎となっており、資料の一部はYoutubeにて公開しています。ぜひ覗いてみてください。

活動②実験教室

「より参加者に合成生物学への理解を深めてもらうにはどうすれば良いか?」という問いに対する私たちの回答が実験教室です。1回目はPCRと電気泳動、2回目はGFPの形質転換をテーマとして扱いました。どちらも無料開催することができましたが、試薬の調達やラボをお貸しいただくところまで様々な方にお世話になりました。本当に感謝しかないです。

その他の活動

プロジェクトテーマであるうつ病に関する講義、小学生対象のワークショップ、大学生iGEMチームと協力しコミケ出展、視覚障害者の方へ向けた点字本の作成などEducationの活動は多岐に渡ります。詳細はwikiをご覧ください。

iGEMのEducationでは何が求められているか?

私たちがEducationの活動を本格的に開始した2023年の春、最初に行う必要があったのは「活動の軸」を決めることでした。様々なwikiを読みリーダーからフィードバックをもらうことをn回繰り返した結果、

1. 年齢や性別、地域や社会的立場によって学びが制限されないこと。
2. 参加者からのフィードバックを次のプロジェクトに反映すること。

以上の2点が私たちの「活動の軸」となりました。
1はJapan-Unitedのメンバーが各地から集められている特性を活かし、なるべく多くの人にEducationを行うよう尽力しました。(実験教室など例外はあるものの、授業やSNSの運営に関しては全年代を対象とすることができたと思います。)
2に関しては、全てのEducationの企画前/企画後にアンケートを取り、得られたフィードバックを次のEducationに反映する、iGEMで言うところのDBTLサイクルのような流れを構築しました。
これら2つの軸を持つことで、個々のEducationが独立した"History"ではなく、繋がりを持った"Story"となり、審査結果にも繋がったと考えています。これはiGEMで求められているEducationの一つの形なのではないでしょうか。

まとめ

ここまでEducationの概要を紹介しました。活動にあたって大変多くの方にご協力いただき、私個人にとっても貴重な経験となりました。チームメンバーおよびiGEMerの方々のさらなるご活躍を祈ります。

Education担当者

合成生物学についての試論

こんにちは。iGEM Japan-United(以下Ninjas)のメンバーとして主にwetの実験を担当した小樋井蓮人です。

先日の記事で問題提起されていた「合成生物学とは何か」という問いについて、iGEMとしての活動を通して、この問いに対する自分なりの答えを得ることができたと感じていたので、ここで文章化してみたいと思います。
長文を書くことに慣れていないため、少々読みづらい箇所があると思われますが、ご容赦くださいませ。

本当はiGEMでの活動を書く予定でしたが、重力の影響で時間がなくて完成できなかったため、オマケとして書いた本試論だけを載せることになりました。

合成生物学とは何か

What I cannot create, I do not understand.
訳:私は自分に作れないものは、理解できない

Richard Feynman

オリオ・スープをいくら観察しようと、そのオリオ・スープを実際に作れなければ、オリオ・スープのことを完全に理解したとは言えないでしょう(オーストリア人の女には怒られそうですが)。

生物にも同様のことが言えるかもしれません。

あるギリシア人の男の観察眼から始まった生物学は、そのほとんどが生物に関連することを発見し、分類し、記録していく解析生物学であると言われています。

対して、「創ることで理解する」「理解して創る」という基本的な考え方を軸に長年培われた解析生物学の知識を利用して、生命システムを理論に基づいてデザインしていく学問が合成生物学です。

合成生物学には様々な分野があり、例えば、生体分子からセントラルドグマをはじめとする生命システムを再構築するものや既存の畜生の遺伝子を編集して有用な食糧に改変するものがありあます。これらの学問をひとくくりに合成生物学と呼ぶことに疑問を持たれる方も多いと思います。私も勉強する前は、生命の起源を探る分野とゴールデンライスが同じ学問であることに違和感がありました。

しかし、全ての合成生物学は ”思い通りの生物を一から創る” という共通の目標を持っていることに私は勉強していて気づきました。

分子から生命システムを再構築する試みは、科学研究に価値のある生物を創ること、既存の畜生の遺伝子を編集する試みは、より効率的な食糧の供給源を創ることを目的としており、どちらの試みも思い通りの生物を一から創りたいという根本的な思想は同じであるといえます。

また、工学的な標準化も合成生物学における重要な概念の一つです。
標準化とは、パーツを複数のシステムにおいて互換性があり、様々な結果を出すために組み換え可能なものにすることで、要するにパーツレジストリやBioBrick。生体分子をパーツやモジュールとして考えることは、DBTLサイクルを回しやすく、研究効率を向上させることができるでしょう。

以上より私は、合成生物学とは、 "思い通りの生物を一から作ることを目標として、生体分子をパーツやモジュールとしてとらえ有用な生物をデザイン・構築する学問" と定義したいと思います。

合成生物学と遺伝子工学は何が違うのか

先ほどの定義に従うと遺伝子工学は合成生物学と根本的に異なる学問であることがよくわかります。

遺伝子工学は少ない遺伝子を既存の生物に導入したり改変したりすることで、あくまで既存の生物を改良することが目的であり、生物そのものを創ろうという思想があるわけではありません。

合成生物学は、遺伝子工学の技術はもちろん、コンピュータで遺伝子回路を設計したり、無細胞系で長鎖DNAを合成したりする技術も含まれるので、遺伝子工学の発展型でより大きな可能性を秘めた学問であるといえます。

(wet担当者 小樋井蓮人)

Entrepreneurship Criteria担当者としての活動振り返り

iGEMに参加した理由


自分は某大学のiGEMチームの開催していた活動説明会(?) のようなものに参加したことでiGEMの存在を知りました。ちょうど一年ほど前です。その魅力的な大会、活動にすぐにでも参加したいと考えて高校生チームを探し、ちょうどその時期にNinjasがメンバーの募集をしていたという流れだったと思います。
奇跡的なタイミングだったと思いますし、この歳でこのような素晴らしい仲間に出会えたことは本当に恵まれたことでした。

Entrepreneurship の活動


ここではEntrepreneurshipの活動のみに焦点を当てて書かせてもらいます。個人的には他にも自分の糧となった活動は多くあると思っていますが、全体の分量が多くなりすぎても読みにくいので割愛します。

自分がcriteriaの担当者になったのは3,4月ごろだったと思います。当時チームの方針として、提出する数よりもかなり多くのcriteriaを動かしていき、いい仕事のできたものを提出しようという形でした。これはとてもいい戦略だったのだと思います。人数が多い分できたことでもあったかもしれません。個人的にはNinjasに加入したのがチーム発足後の段階であったため、どこかお客さんのようになってしまっている感じがしていました。これは自分が主体的に貢献できていなかったということだと思います。そういったこともあって、一つの仕事を任せてもらえたことがうれしかったと同時に少し身が引き締まる思いでした。

最初に行ったことは過去に功績を残した他チームのwikiを分析し、いい結果を残すために必要な要素を考えることでした。このころにはプロジェクトも固まってきていたと思うので、この要素をNinjasのプロジェクトに落とし込んでいき、具体的な活動案を練っていきました。この段階からリーダーと定期的にmtgをしてブラッシュアップさせていった形です。Entrepreneurshipは自分が主導したという形にはなっていますが、judgingの理解度が高く、多くのwikiを読み込んでいたリーダーと計画を考えたことはBest Entrepreneurshipに欠かせないことだったと思います。実際、この時に計画していたことすべてを実行することはかないませんでしたが、難しいスケジュールを組んだことで、うまくいかなくてもある程度の結果を残せたのだと思っています。

それからは決めたとおりに仕事を進めていく段階でした。必要な部分は造詣の深い方にご意見を頂きつつ、自分のやるべきところはきちんとやるという意識で行っていました。このころはwetにも参加していましたが、ラボで実験を行っていたことはプロジェクトに対するモチベーションという意味でも解像度という意味でも非常に大切なことだったと思っています。

その後も定期的にリーダーとmtgをして進捗を共有し、必要なことはチームで確認するという形で行っていました。Criteriaの進捗に差が出始め、おそらくEntrepreneurshipは出すことになりそうだという認識でいたので、judgingの基準を何度も確認し、確実に結果が残る形を模索していきました。

あとはwikiです。ここが今回のNinjasの活動通して自分としてうまく動けていなかったところだと思います。他チームのwikiを参考に自分たちの形を構築していたのですが、結果としてかなり後ろ倒しのスケジュールになってしまいました。計画的に形を作っていくことが本当に大切です。評価されるのは活動ではなくwikiなのだという意識が自分のなかで薄かったことは本当に改めなければいけなかったことです。

重点をおいたこと


一番は社会実装を目に見える形で残すということです。自分たちのプロジェクトについていえばクッキーの製品を作り、うつ病患者に提供したということだと思います。思い描いていた200%から様々な制限や失敗によって活動を変更していく中でここだけはやり通した部分だと思っています。結果としてもjudgeはこの部分を大変評価してくださったと認識しています。

総括


iGEMに自分が参加した最初の理由は知的好奇心だったと思います。自分のスキルを実践的な場で高めたかったです。次第に活動を続けていく中で、これだけ多くの素晴らしいメンバーに囲まれ、様々な方々が多大な協力してくださったプロジェクトを中途半端な結果に終わらせてはいけないという思いがモチベーションの部分で大きな割合を占めていました。
最終的にEntrepreneurshipとして賞を頂くことはできましたが、その時に喜びではなく、安心感があふれてきたことは少し恥ずかしいことでした。自分のやってきたことに誇りを持てていれば、何か別の感情を味わえたかもしれないと考えてしまいます。
一方で、このiGEMでの活動もここで出会うことのできた人も自分にとって本当に素晴らしい大切なものとなりました。このような経験をさせていただいたことを何か今後の人生において自分は還元していけるような人になっていきたいと思います。胸を張って自分を誇れるような活動を残していきます。

(Enterpreneurship担当者)

動画作成・デザイン関連を担当して

はじめに

こんにちは、iGEM 2023 高校生チーム Japan-Unitedにて、主に動画作成・デザイン関連(図の作成、プレゼン等)を担当した者です。
私は元々、UTokyoGSCという東京大学で高校生が研究できるプログラムに参加して蟹殻からバイオプラスチックを生成する研究を行っており、このチームのリーダーが同様にUTokyoGSCメンバーだったという繋がりから今に至ります。
今回はそうして始まったiGEMを振り返って、行ってきたことなどについて書き残すことができればと思います。

動画作成

私のメインの役割は、2分間の予告編的な動画(プロモーションビデオ)と、15分間の総まとめ動画(プレゼンテーションビデオ)の2つを作成することでした。
元々動画や画像の編集が好きで、学校でイベントがある度裏側であった出来事をまとめた動画を作ってみたり、学年全員分の写真を1人ずつ撮って切り抜いて、異様に凝った横断幕を作ってみたりと趣味で長年ふざけながらもデザインに年に数回力を注いでいました。(これが割とデザイン能力を向上させていたようで最近驚いてる)
そんな背景から、私はデザインなら出来るかもと思い、チーム参加後の役割決めでデザイン担当の1人となりました。(研究はGSCも始まったばかりで過去に経験が0ですし)
その時はまとめの動画作成を担うなんて全く思っておらず、寧ろ9月までの活動(Wet・Education・資金調達 etc…)に関西に住んでいるのもあってほぼ全く貢献できていなかったので、罪悪感が凄くて仕方が無かった覚えがあります、笑

- 2分間のPromotion Video

9月が過ぎて研究もある程度終わり、これまでやってきた事をまとめる作業が増えてくると、ようやく貢献できるかもと思い、2分間の動画(Promotion Video)を任せてもらうことになりました。
勢いに任せてやると言ったは良いものの、そもそも研究をちゃんと理解できていないのにそれを皆が納得する形に、魅了される構成で落とし込むことが出来るのか。ふと冷静になってだいぶ焦ったのを覚えています。実は、自信が無いものに対しては凄く奥手になってしまって、何においてもこれで良いのかな、だめかな、と思って逐一人に聞かないと不安になるような面倒な節があって、逆に「あ、こんなもんか」と思えるようになった瞬間に自信がついて爆速で出来るようになる、というのが自己分析上私の性格です。(自意識過剰かも)なので、これなら出来るだろ、と自分を騙す(?)ところから始めるのが自我流で、この時は、じゃあ逆に私が「理解できるわこれ」って感じるビデオにすれば世の中の人間全員理解できるよね、自分自身が研究に詳しいと、内容を知らない人にとってどこが難しいか考えづらいだろうからこれは特権だね っていう思考回路で動画作成を開始しました。
となると何が一番自分にとって理解しやすいか、普通にプレゼンを行ってそれを画面録画するのは眠くなるだけだし、人の映る映像を沢山組み合わせるのは私が頻繁に撮影にはいけないから厳しいし。そこで私が昔YouTubeで知って魅了されたTed-ed(Tedの作る全てアニメーションの動画)を思い出して、アニメーションを多様して、かっこいいBGMとナレーションと合わせれば飽きないし、上手くやれば素人作成感・高校生感を消せるかもと思い、人生初のアニメーションに挑戦することにしました。
ただアニメーションの知識が一切ないので、最初は本当に手も足も出ない状態でした。典型的なアニメーション用ソフトは半月でマスターして動画完成できるわけないし...みたいな。色々と漁りまくっていると、超愛用しているCanva(本当におすすめすぎるデザイン用ソフト)の動画作成機能を上手く利用すればアニメーションが作れるような気がして試行錯誤してみました。すると、Canvaはスライドのページを変える時のトランジションが豊富で、例えば、前回のページで使った画像やテキストが次のページにも使われていた場合、”マッチ&ムーブ”というトランジションを使えば、前ページの位置から次ページの位置へと移動しているような動きが作れるんです。加えて、GIF(動く画像)の種類やBGM、効果音も豊富。これらの機能を全力で駆使して、スライド一枚を0.3秒とかに設定し、2枚目のスライドはその画像を移動させたい場所に貼ったもの、次は新たなイラストを右から出現させて、その瞬間にこの効果音を入れる...と、コマ送り動画を作るような気分で作成していけば、ちゃんとアニメーションが出来上がる事を発見しました。(語彙力やばいですね、汲み取ってください🙏)
Canvaをこうして使う人はかなりレアっぽい(見たことない)ので正しいかは分かりませんが、努力次第でだいぶ高クオリティなアニメーションが出来上がる気がします。
そうしてアニメーションの作成方法を模索するのと並行して、研究をひたすら説明してもらって、自分の中に落とし込んでいく作業を行いました。自分が理解する際に、あーそういうこと、となったタイミングを大事にして、話の流れ(ナレーション)的にも、視覚的(アニメーション)にも一番理解しやすい例や伝え方を考えまくることの繰り返しです。特に、最後研究内容にユニークでかつ地に足の付いた(現実的で分かりやすい)社会性を持たせて動画を終わることが大切な気がして、”身体の調子が悪いときビタミンCのサプリを飲むように、精神的な調子の優れないとき、誰もが軽く手に取れる存在の現れる時代が、もうすぐそこに来ているのです。”という締めの一文は、中々自分の納得がいく例えに辿り着かず、期限までに浮かぶかな、と焦っていました、笑
提出日が文化祭当日と丸かぶりでどうなることかと思いましたが、色んな人の支えの元で、無事に2分の動画提出が完了しました。

-15分間のPresentation Video

2分の動画を作り終えてほっとする間も無く、1ヶ月後が15分のまとめ動画(PV)提出日です。2分の動画に2週間全力を尽くしてギリギリだったのに、1ヶ月で7.5倍は理論上無理だよな、と思いつつも構成を考えていきました。恥ずかしながら、私は当初このPVの重要性を全然認識していなくて、まさかファイナリストに選ばれた後の最終選考にまで大きく影響するものだとは思ってもいなかったので、提出2週間前くらいに知った時は、これ私が担っちゃだめなやつじゃない、と絶句していました。笑
PVに関しては個人的な見立てとして、”この研究の社会における位置付け”を可能な限り明確化し、ニーズがあって今にも売り出せそう、理想論ではなくかなり現実的だ、と洗脳(?)させてから、iGEMの理想像に則った研究&その他Criteria関連の流れを適切に、分かりやすく記して(ここは私全く無理なのでリーダー中心に他の皆さんが。)、最後に再度BGMも盛り上げつつ、”研究のストーリーに加えて社会性におけるストーリーも完璧だ”と再確認させて終わらせる。という流れ作りができれば勝てるかなと考えていました。
“完璧”という印象は、審査員に疑問や引っかかりを一切抱かせず、流れるように動画を見させられるか否かで決まると思っています。一つ穴(現実的でない部分等)がバレる(見つかる)と、審査員はその穴を掘るかのように動画の続きを見初めてしまうからです。(知ったように言っちゃってますがただの考察です。)なので、穴になりうる箇所を先手を打つかの如く器用に埋めていく作業が大切だと考えます。疑問が浮かんでも動画内で解消されるようなイメージです。
そんな見立てのもと、私は2分の動画同様に、自分が納得のいくナレーション台本になるまでひたすら推敲する→これだ!と思うまでアニメーションの構図を悩みまくる ことを繰り返しました。特に前置き(社会性の部分)はアニメーションで可能な限り見る人が飽きず楽しんで見ながら、納得できるものにしたくて、一文を表現するための2秒しか映らないスライドに構図が浮かばず半日かけてしまって、何やってるんだろう...ってなるような日々を過ごしました。笑 結局直前も直前まで終わらず、提出日前の二日間は皆勤賞を諦めて学校を休んで作業をして、なんとか完成しました。本当に良くも悪くも納得が行くまで次に進めず、自分の事ながら終わらないかもと最悪の場合が頭によぎったり、実は駅伝練習(6キロ走ってから作業に入る日々でした)・中間テスト・GSC全国発表会準備・JSEC募集〆切 が全てPV準備期間の1ヶ月内にあって、PV含め全部がどっちつかずで終わるかもしれない不安もだいぶあって、あまり普段精神的にも体力的にも限界が来ないと自負していたんですが、この時期はずっと変な緊張で胃が痛くて、サフラン入りクッキーが欲しかったです。笑
提出する際も実は私のPCのダウンロード速度が遅すぎて2時間くらいかかってしまい、途中間に合わなかったらやばいと思って(それを判断するのが遅すぎた)ろぼいんさん(Wikiを中心に動画の字幕ファイルやロゴなども作って下さったすごい方です)にもダウンロードをお願いして、私より早ければろぼいんさん提出してください、とかいう最低な無茶振りをしたんですが、提出時にエラーが出てしまって、その時すでに12:58。(1:00締め切り)そこで私のダウンロードが終わって、爆速で提出ボタンを押したのが1:00。締め切りに間に合ったかもその時は良くわからなくて、今年一青ざめました。無事提出できていたことが分かって、本当に安心しました。この件は本当にチームメンバーに心配をおかけしました。🙇最終的にはパリで126チーム中Best Presentation Awardをいただくことができて、本当に感無量でした。

その他

動画編集の他にもWiki内に貼る画像をはじめとするデザインや、プロジェクトの要約文作成、小学生に向けたEducation1つ、などを行いました。
一番楽しかったのは実はWiki内の画像デザインで、リーダーが唐突にこんな画像が欲しい ってことを伝えてくれて、汲み取って表現するの繰り返しだったんですが、PV作成時だったので構成を考えまくっていたため、割とすっとアイディアが生まれてくれて、爆速で適切な構図を考えて一枚の画像にする というのが、15分のPVの終わりが見えずストレスが限界に近かった時に、息抜き気分で出来て(手を抜いたわけではないです笑)動画に比べてすぐ1つの形になるのが楽しかったです。
振り返ると、今回こうやって全力でPVやデザイン諸々に尽力できたのは個人的にリーダーのメンバーへの役割分担のやり方のおかげだなと感じます。リーダーは基本的に、一つのタスクに極力複数人で作業することが無いように、タスクを細分化して基本1人で一つのタスクを完了させる仕組みを組んでから周りに下ろしていた気がします。タスクの大きさはまちまちですが、何においてもここからここは自分が責任者なんだとしっかり認識できました。他の人と作業 となった途端、相手に気を遣ってしまって思うように動けず全力が尽くせないことが本当に多い中で、iGEMにおいてはそのストレスが無かったため、自分の力量次第 という凄くいい環境で作業できたと思います。

終わりに

2023年は”研究”という世界を知った初めての年で、(一年前はGSCの発表会で堂々とPCRってなんですか?って聞いてたレベル)本当に多すぎるほど沢山のことを学びました。私は何か1つ大好きなもの・長年熱中しているもの がある訳ではなく、その時々で熱中するものが全く違って、でもその期間はそれ1つに魂を捧げる というタイプです。なので悪く捉えれば、何事も浅く広く(その時々常に全力で深いところまで理解しようとしてはいますが、それを一心に行う人には到底劣るんです)だなと自覚しています。なので、この分野の研究をするのが大好きで夢中なんだ、と知見を共有してくれる人が多い研究の世界が凄く好きで、1つのテーマに一心に熱中する人の話を聞くのが大好きだし、凄く凄く憧れと尊敬を抱きます。だから今年一年はiGEMを中心に本当に素敵な機会と人々に恵まれてとっても幸せでした。きっかけをくれた人々に感謝しかないです。
今後は、初めに言ったように蟹殻からプラスチック(PHA)を作る研究に区切りをつけて、工業化を達成するのが一旦の私の大きなゴールです。その後もきっとまた何か熱中できる物を見つけて死ぬ気で走っている気がしますが、我ながらまだ何も分かりません。ただ1つ言えるのは、デザイン、研究、ビジネス等、熱中するものが毎度違えど、それぞれにもちろん繋がりはあります。ただそれらを横断してある程度理解している人、もしくはそれらの面白さを何も知らない人に興味をそそる形で(堅苦しくなく)共有できる人 というのは意外に限られる気がしています。できる人は多いのかもしれないけど、そこに楽しさを見出す人はレアだと思うんです。なので、そこがいつか自分の中で正しく活かせることができたらいいかもなと現段階では思っています。

知らぬ間にかなりの文字数書いていて自分でも驚いていますが、久々に素直な思いを振り返ってみました。皆さんが読んでどう感じているかが不安ではありますが、いつか振り返って読んだ時に、この時はまだまだだったんだよーと笑えるくらい自分が成長してくれることを願います。笑(今はまだ、よく頑張ったよ の気分)
iGEMに出会えて、Japan-Unitedのメンバーに出会えて本当に良かったです。iGEMを通じて関わった全ての人に感謝しかありません。
iGEMに出場するのは今回が最初で最後だと思うのですが、是非これからも密かに応援していただけますと幸いです。本当にありがとうございました。

動画作成・デザイン関連担当者

その他メンバーの振り返り

iGEMのチームwiki担当者としての振り返り

iGEMを終えて

あとがき,他メンバーの振り返りを読んで:
本当に優秀な方々と一年過ごせたことを実感しました。チームを誇りに思います。色々と落ち着いて振り返るとiGEMを通して僕は自分の軸となる哲学を育てることができました。そういった点で自分を知ったからこそ、他人を知れる気がします。チームの方々とは将来もお互いリスペクトしあえる関係になれるように、日々精進します。
(チームリーダー/研究班リーダー)

高専生が見た、iGEMの世界

自己紹介とiGEMの振り返り、来年の目標


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