週刊iGEM第二号『合成生物学/iGEMのルーツ』

はじめに

 週刊iGEM第二号ということで、今回も導入的な内容です。『合成生物学/iGEMのルーツ』というタイトルで合成生物学やiGEMの歴史的背景についてまとめさせていただきます。ネット上にはうまくまとまっている記事が少ないように感じるので少しでも興味を持っていただける形を目指します💪
 Ninjasは現在期末テスト休みということで、例に漏れず私もテスト期間中なのですが、分かりやすくまとめられたらと思っております…

合成生物学のルーツ

 ここでは合成生物学のルーツとはなにかについてまとめさせていただきます。合成生物学の歴史、というととても一回ではまとめきらないのでいつかシリーズにでもできたらと思っています(インスリンとかアルテミシニンのプロジェクトは必ず触れますしね)。
 
 前回の記事にて合成生物学とはトップダウン合成生物学とボトムアップ合成生物学があると書きました。様々な考えがあるとは思いますが、トップダウン合成生物学は単一遺伝子組み換え工学が、ボトムアップ合成生物学は化学システムによる生物模倣がルーツになっていわれています。
 歴史的にみるとトップダウン合成生物学が本流、ボトムアップ合成生物学が亜流としてみられることが多いように感じますが、合成生物学全体のルーツはボトムアップ合成生物学の化学システムによる生物模倣というのが妥当だと思うので、今回はこちらについてまとめさせていただきます(遺伝子工学周りは直接歴史にも関わってきちゃいますしね)。

 ボトムアップ合成生物学では生物(細胞)を再構築することによって生物に対する理解を深めるというアプローチをとります。こちらのルーツとなる最初期の研究の一つはステファン・ルドゥックの著書『合成生物学(仏題:La Biologie Synthetique)』だといわれています。彼はこの本のなかで、「生命とは純粋に物理的な現象であり、その組織化と発達は、物理化学的な力のみを利用して行われている」と明言しました。そしてその証明のために、生物に似たシステムの物理的な人工組織を構築しました。現在の言葉でいうと生体模倣ですね。
 このように合成生物学のルーツは、生体模倣を利用して自分たちの科学/生物学を支える物理的なメカニズムの解析になります。これらに分子生物学、遺伝子工学、生化学などの発展が交わり合成生物学の歴史が形成されていったわけですね。

iGEMのルーツ

 合成生物学と比べると明確です。現在は世界規模で高校生から大学院生までを対象としたコンペティションですが、もともとは2003年MITの講座が始まりでした。合成生物学のパイオニアであるDrew Endy教授とTom Knight教授が合成生物学の進展の促進を目指して、DNAの回路を作り大腸菌に導入しうまく動くか実証するといった内容の講座だったようです。
 そこから2006年には初めての「全」世界大会ということで、iGEM主催側がアジアやアフリカからの参加者を募っており、日本からは千葉大学のチームが初参加。そこから徐々に成長していき、現在のような形式になったわけです。

次回予告

 さて週刊iGEMですが、何個かシリーズものを用意できたらと思っています。上に挙げたように歴史についてまとめるシリーズ、有名なプロジェクトを紹介するシリーズなどなど行う予定です。
 そんなシリーズもの第一弾の次回は..!?

 『日本の合成生物学者紹介①』ということで、合成生物学分野の第一線でご活躍なさっている研究者の方をご紹介させていただきます。
 具体的な内容は、僭越ながら私が研究者の方のテーマをご紹介させていただき、もし機会があればインタビューさせていただく予定です。

 1人目はどなたなのか…それは次回のお楽しみとさせてください笑

 合成生物学の第一線でご活躍なさっている研究者の方に聞いてみたい質問がある場合はTwitter(@iGEM_Ninjas)のDMにていつでもご連絡ください。
 もしかしたらご質問届けられるかもしれないです…!

 ではまた来週お会いしましょう~!


いいなと思ったら応援しよう!