Weekly iGEM〜合成生物学とは?他学問との違い〜
合成生物学に対する初見もだいぶ深まってきたため、今回は合成生物学と他の学問との関わりについてまとめてみた。
1,他の生物学の分野との関わり
合成生物学は新しい学問だ。MITのトム・ナイトが所謂合成生物学の父と言われる人物だろう。その合成生物学の基礎となるのが分子生物学や生化学、遺伝子工学といった学問だろう。ただしこれらの学問と合成生物学には決定的な違いがある。
違い1:扱う遺伝子の規模が大きい。
遺伝子工学では、例えばここの遺伝子のここの塩基をCRISPERで変えるみたいな感じで、扱う遺伝子の規模は小さめだ。一方、合成生物学ではここのゲノムをまるまる変えるみたいな感じで、扱う遺伝子の規模が大きい。(バイオビルダー参照)つまりプラスミドなどを扱う遺伝子操作がより重要になるだろう。大変な操作になるが、ダイナミックさが合成生物学の魅力ともとれるだろう。
違い2:工学的な見方をする
合成生物学は、工学的な視点を持って考察されることが多い。工学者トム・ナイトが「生物を創る」といったように「創る」という行為が前提にある。他の生物学は「作る」ということを前提としている面が強い。合成生物学ではwetでの実験→dryでの工学的な考察という流れが一般的だ。工学的な考察では、例えば生体反応を微分方程式で解釈するといったものがあるだろうか。この周りも将来的には勉強していきたい。
2,有機化学との関わり
有機化学は化学の一分野で、炭素を含む化合物を探求する学問だ。有機化学との間にも関わりや違いがいくつかある。まとめてみよう
違い1:生物に合成させるか実験室で合成するか
生合成を扱うのが合成生物学、実験室で全合成するのが有機化学といったところだ。
ここではあまり詳しく扱わない。来週のテーマにしようと思う。
違い2:酵素の扱い
酵素は、合成生物学においては「生体内でどの分子をどの分子へ変換するか」というテーマが重点となるが有機化学では「酵素がどんな仕組みでどう働くか?」が重点になるように思う。
以上色々とまとめてみたが、似たような視点で議論することも多い。
来週は生合成と全合成について改めてまとめてみようと思う。
(文: 井上翔也)
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