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Seafrogsの水中ハウジングでTTL調光撮影するものを作った。 その1
まえおき
ダイビングを趣味とする人は、水中で写真撮影をする人も多いかと思います。
大抵の人はTGシリーズなどコンデジで撮るとは思いますが、「もっとプロみたいな綺麗な写真を撮りたい!」「水中撮影でもレンズ交換式で様々な表現をしたい!」と思う人もいます(私を含めて)。
まぁ、コンデジでもプロみたいな写真が撮れたりするし、コンバージョンレンズを使って広角やらマクロやら色々な撮影を楽しむこともできます。
ただ、やはり画質や納得のいく写真が撮れる "打率" が違います。
私自身は最初はCanonのPowerShot S120を使っていたのですが、次にOlympusのE-PL7、そして今はCanon EOS R6に移行しつつあります。
そうやって機材をアップグレードしていくのですが、当然かかるお金も増えていきます。
何とか低コストでシステムを構築することを考えていると、Seafrogsという香港の水中ハウジングメーカーに辿り着きます。
日本ではNauticamやSea&Seaの防水ハウジングを使う人が多いと思うのですが、両メーカーとも結構いい値段するんですよね。
ハウジングだけで数十万とか。
一方、Seafrogsは10万とかでも買えたりするので、(日本代理店がないので個人で取り寄せる必要があるという点を除けば)非常に手を出しやすいです。
そんなSeafrogsのハウジングなのですが、物によっていくつかの欠点もあります。
今回はその中の一つ、TTL調光が使えない問題を解決した内容となります。
といいつつも、今回の記事は問題点と解決方針の決定に至るまでのお話です。
書き始めたら結構長くなってしまったため、実際の設計、開発に関する話はまた次の記事となります。
TTL調光が使えない問題
さて、まずはじめに水中でストロボを使う場合、以下の2つの接続方法があります。
光ケーブル接続で水中用ストロボに発光を伝達する
シンクロコードで電気的に接続して直接カメラから発光指示
Seafrogsのハウジングは両方の方式に対応していると謳っています。
実際、ハウジングボディには光ケーブル接続用の穴と、電気接続用のポートがあります。
電気接続でのストロボ利用について
![](https://assets.st-note.com/img/1717169596086-ff4CAx3TRQ.jpg?width=1200)
わかりづらいですが写真の赤枠で囲っているところがシンクロコード用のポートです。
このポートの中身はこのように3pin接続となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1717170047040-HOgCtdz54x.jpg?width=1200)
ニコノス5ピンコード対応と言いつつ3ピンのみか~と思っていたのですが、さらにポートとカメラ本体を接続するケーブルは実は1pinのみしか結線されておらず、実は発光信号しか送れない仕様となっていたのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1717170313056-RmqTDzrDzW.jpg?width=1200)
つまり付属の電気接続ではマニュアル発光でしか使えないわけです。
光ケーブルでのストロボ利用について
光ケーブルでストロボを利用する場合、外部の水中ストロボを発行させるためのトリガーストロボが必要となります。
小さめのカメラの場合は内蔵ストロボがありますが、フルサイズカメラの多くは内蔵していないので、ホットシューにトリガーストロボを接続します。
その際、ハウジングのサイズに合ったストロボを接続する必要があり、基本的にはハウジングメーカーが自社ハウジング用のストロボ、あるいはTTLコンバータというものを販売しています。
SeafrogsもFlash trigger for fiber-optic cablesを販売しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1717171881259-L11RPFWqWQ.png?width=1200)
実はこのフラッシュトリガー、各社カメラ共通のためか、TTLに対応していません。
光ケーブル接続でもマニュアル発光しかできないのです。
TTL調光の必要性
マニュアル発光でも十分では?と思う方もいらっしゃると思います。
実際、プロの水中写真家の方々はマニュアル発光で撮影する方が多いのかもしれません。
とはいえ、たまに趣味程度で潜る人にとってはマニュアルでストロボ操作をしているとシャッターチャンスを逃すのでTTL調光必須と言っても過言ではありません。
水中だと被写体との距離に応じた光の減衰の影響が大きいので、被写体との距離に応じて光量を調整する必要があります。
マクロ撮影など近い距離で撮影するパターンが多い場合は調整しやすいのですが、画角や被写体との距離が頻繁に変わるような撮り方ですと、都度光量を調整する必要があり、撮っては調整、撮っては調整を繰り返すことになります。
また、調整してから撮っているとシャッターチャンスを逃す場合も多々あります。
これが "打率" が下がる原因です。
ストロボなしで頑張るのも手ですが、せっかくそれなりの機材を使うわけですしストロボは使いたい。
ストロボなしでフルサイズ機を使うぐらいなら、内蔵ストロボありのAPS-CとかM4/3使った方がまだましになる可能性すらあります。
そんなわけで、なんとかしてSeafrogsのハウジング+フルサイズ機でTTL調光撮影を使う方法を考えたいと思いました。
TTL調光の方法を検討
標準のストロボトリガーも当てにならない、TTLコンバータもない、そんな状態でTTL調光するにはどのような方法があるかを考えてみます。
方法1: 電気接続を5pin対応にする
付属のコネクタが1pinしか結線していないなら、自分で5pin接続のコネクタを作ればいいのではないか、という仮説です。
結論としては、以下2点の理由により断念しました。
ニコノス5pin互換のコネクタを自作するのが手間がかかる
Canonのストロボ信号をシンクロコード互換の信号に変換するのはかなり大変
特に2点目は、CanonのE-TTL2通信を解析してシンクロコード互換のTTL信号に変換する必要があり、かなり骨が折れそうだったので検討を打ち切りました。
方法2: 一般的なストロボを水中でも使えるようにし、それをトリガーにする
陸上で使っているストロボを水中でも使えるようにし、それをトリガーとして光ケーブル接続で水中ストロボを発光させれば良いという発想です。
当然ながら陸上用のストロボをカメラにつけてハウジングに収めることはできないため、ストロボ用のハウジングを制作し、それとカメラハウジングを防水ケーブルで繋ぐ必要があります。
防水ハウジングを自作するなんて無茶な、と思う方もいると思いますが、3Dプリンターが家庭用に普及して久しい昨今、案外できるのではないかと思いました。
GoProなど小型カメラのハウジングを見てもそこまで複雑な機構ではないですし、耐水圧性能や強度に関しては肉厚を厚くすればある程度は確保できます。
問題は水没しないように作れるか、という点でしたが、これは試行錯誤をしてクリアできると思い、この方針で開発を進めることとしました。
設計、開発への取り組み
さて、ここからストロボ用水中ハウジングの制作に取り組んでいくわけですが、今回の記事はすでに長くなってしまったため、次回へ持ち越しとします。
はたして、半年の製作期間を経て出来上がったものはどのようなものなのでしょうか…
![](https://assets.st-note.com/img/1717515313693-XV1eZ5qap9.jpg?width=1200)
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