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映画「香川1区」感想

選挙運動を追ったドキュメンタリで複数回、目頭熱くなるとは。大島監督は小川氏の熱く、直情径行なところに惹かれて、前作に引き続き今作を撮ったのだろうと思う。


昨年秋の総選挙を中心に小川氏とその回りの人たちを追ったドキュメンタリ。

前作の影響もあって全国から小川氏の応援に人がやってくる。選挙事務所、演説の場は老若男女様々な人が集まってくる。

選挙公示日。前作でその応援演説に思わず涙してしまった慶応大学教授・井手英策氏の応援演説は、短いけれども今回も熱い。


対した自民党・平井氏の集まりは中高年の男性が殆ど。フリージャーナリストの取材では殆どが動員に拠るものと言う。

天井を覆い隠すほどの各団体の推薦状。平井氏がデジタル大臣になった日の四国新聞(平井氏がオーナー)は6ページに亘りデジタル省の記事を掲載する。期日前投票に平井氏に投票に来た人は帰りに投票所近くに設けられた事務所に寄って、所属と誰に投票したかを報告するようになっている。


突然、出馬を表明した維新の会・候補者に小川氏が直談判に行った経緯も、小川氏直接の弁を聞けばおかしいことではない。週刊文春の報道を見て忠告に来た政治評論家(?)田崎氏もタジタジになってしまう。この件で小川氏を諌めた辻元氏とのツーショット。結果を考えると複雑になってしまう。


選挙区ではずっと連敗だった小川氏が今回は2万票の大差をつけて平井氏に勝って当選。一挙に沸く事務所。直後の小川氏の長女の言葉に感動する。

「これまでお父さんが負ける度に(ここで回りから笑い)、なんで正直者がバカを見るんだろう、こんな社会に出て行かないといけないのか、って思ってた。けど・・・」

「まっとうな政治、まっとうな社会を」というのが立憲民主党の主張。私もまず、そう思う。

けど、小川氏の家族にとっては、それは実際に家族として直面してきたテーマでもあったのだ。


それにしても、維新の会というのは本当に狡猾でいやらしい。この選挙区で立候補するのは小川氏への嫌がらせでしか無いのは明らか。

維新の会の票は野党票でなく自民党の票から取るから気にしなくていいと言う。実際に自民党側からも立候補を止めるように言ってきたと。

ならば何故、小川氏が談判にきたということだけをネットに公開したのか?

何故、自民党が止めるように言ってきた事は公表しなかったのか? 維新の会がどこを向いているのかは明らかだ。

大阪の人たちは何故、こんなのを支持し続けているのか、不思議でならない。


そうそう、もう1点。

勢いを増してくる小川氏に対して平井氏は、橋を造ったなどの「実績」を掲げてこう主張する。「政治家は何をしたか、なんです。何をしてきたか、何を出来るか、それが大事なんです」と。

これは平井氏に限らず、与党政治家が大抵は口にすることだろう。与党でなければ仕事が出来ない、と言って野党から与党へ転ぶ政治家もいる。

けど、思った。

じゃあこの人たちは野党が政権を取ったら何が出来るのか? ひょっとしてその時は政党を移るのか?

この人たちは「した、した」というけれど、それは与党の中にいるから出来るのであって、それは本当にその政治家の力なのか? その政治家が対する政治家より優れているから、なのか?

与党という後ろ盾が無い時に何が出来るか、それが本当の政治家としての力なのじゃないだろうか? 私たちが投票するに当たって考えるべきはそこなのじゃないか? と、映画を観ながら思った。

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