【医学部受験ウェブセミナー】〜過去問演習の正しい取り組み方

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▽過去問演習の正しい取り組み方

指導経験から、やみくもに過去問演習を増やしても、医学部の合格可能性は上がらないということが明らかになっています。

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①5校10校以上の医学部に合格した卒業生について

医学部に5校10校と多数合格している受験生は毎年複数いらっしゃいます。10校の医学部に合格した生徒さんが10校の過去問演習を徹底したかというと、そうではありません。時間に余裕のない現役生においても、多くの大学に合格している生徒さんはいらっしゃいます。

その生徒さん(卒業生)も、通っている高校では、「とにかく過去問演習をするように」と指導されていたようで、何度か相談を受けました。

しかし、10校受けると仮定して、5年分ずつ過去問演習すると計50回演習しなくてはなりません。当然そんなことができるはずはありませんね。

②浪人年数が増えても有利にはならない

過去問演習をやればやるほど有利になるのであれば、当然浪人年数が多い受験生ほど有利になるはずです。しかし、実際はそういうことは全くありません。現役でも合格される生徒さんは多くいらっしゃいます。

③過去問演習を1回もしなくても合格した卒業生

過去問演習を全く行わなかった医学部に合格する生徒さんは毎年多くいらっしゃいます。やはり10校も受けると過去問演習を1回も行っていない医学部も当然ありますが、本番に強い人は試験の解き方を徹底し、5校10校と合格していきます。

実際の例として、国立の筑波大学医学部に合格した卒業生は、実は筑波大の過去問演習は行っていませんでした。このような事例は多々あります。

Q. なぜ合格できたのか
・十分な基礎力が身についていた
・国立の総合大学は模擬試験とあまり傾向が変わらないため、過去問演習を行わなくても十分対応可能

*合格体験記*
【2020】日本医科大学(特待)、信州大学医学部合格体験記(現役・女性)
【2019】筑波大学医学部、日本医科大学 合格体験記(1浪・女性)

④演習をしても成績は伸びない→むしろ復習する時間が無くなるリスク

過去問演習をしている時間、成績は全く伸びません。なぜなら、解いているときは新しく解法習得や、公式暗記をしていないからです。

・毎日過去問演習をして、復習する時間がほとんどない人
・1か月半しっかり参考書や問題集で復習し、公式や解法、単語などを着実に覚えた人
では、当然後者の方が確実に成績は伸びます。

冷静に考えれば当たり前のことではありますが、焦りや不安から、過去問演習を繰り返すだけで終わってしまうという失敗例はよくあります。

▽過去問演習の誤った方法

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①回数だけこなす
②分析をしていない

・やみくもに過去問演習を繰り返し、一回一回、振り返りをしていない
・過去問の解説だけを見て何となく解き直しをする
これらはほとんど意味がありません。

ミスや失点箇所の原因分析を行い、問題集や参考書の取り組みを改善しながら復習を行うことで初めて成績は伸びます。過去問演習の回数だけをこなしていても、ただ時間が過ぎるだけでほとんど効果がないといえます。

③点数だけを見て一喜一憂する

以前、当塾ではセンター試験の数学の過去問演習を授業中に毎回行っていた時期がありました。

生徒さんの点数は、年度によって大幅にばらつきがありました。これは各教科年度によって平均点に差があるため平均点に伴って生徒さん本人の自己採点の点数が変化しているのであって、結局、生徒本人の成績は全く伸びていないということがデータからはっきりわかったのです。

これに対し、「今回○点上がった!」「今回は〇点下がった。成績が伸びていない」と一喜一憂してしまい、復習を怠ったりモチベーションが下がったりする失敗例がよくありました。

④自分にベストな状況で行う

過去問演習の際、合格最低点を確認し、それを超えることが目的になってしまい、自分にベストな状態で取り組んでしまう人は結構います。
-例-
・朝起きてから時間が経過し、頭がすっきりした状態で演習する
・自分の部屋など、集中しやすい環境で行う
・体調が良好なときに行う
などです。

しかし、本番では予期しない状況になることがよくあります。
-例-
・1、2月の寒い時期に体調を崩してしまう
・朝早く起きなければならないので頭もすっきりしていない
・隣の席の人が机を揺らしてくる
・周囲の受験生の咳が気になる

したがって、自分にベストな状況で過去問演習を行っても、本番の練習としてはあまり効果がないといえます。

⑤基礎力がないのに演習してしまう。

当塾では過去問演習を重ねてもあまり意味がないと指導しています。
特に現役生では数Ⅲの基礎が固まっていなかったり、理科の有機化学、物理の電磁気・原子など手薄だったりと、そもそも基礎の徹底ができていない状況が多いです。しかし、高校3年生の生徒さんから、「学校の先生から夏休みのうちにとにかく志望校の過去問演習をするよう指導されている」と相談を受けることはしばしばあります。

・基礎力がない状態で過去問演習をしても、問題は解けない
・試験の解き方を練習できない


前者に関しては、基礎がない状態で演習し、解説を読んで理解した気になり上滑りを起こす可能性があり危険であるということです。
先ほど述べたように演習を重ねても全く成績は伸びませんから、ただ時間がもったいないといえます。その時間で、問題集や参考書を復習したほうが当然、合格可能性は上がります。

後者に関しては、基礎力がない状態で演習してしまうと、本番の解き方と大きくずれが生じてしまうということです。
-失敗例-
数Ⅲが極限と複素数平面が習得不足の状態で国公立二次の過去問演習を行う
→極限や複素数平面以外の問題を解く
→本番では複素数平面も十分習得したうえで臨むことを想定しているため、本番の時間の使い方と大幅にずれる

まとめると、成績を上げるという面で意味がないだけでなく、本番の試験の解き方の練習としても意味がないといえます。とにかく基礎力がないのに演習するということはできるだけ避けたほうがよいでしょう。

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▽過去問演習のデメリット

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①復習する時間が無くなる

上で述べた通り、過去問演習を何度も行うと、復習する時間が十分確保できなくなるため、成績はあまり伸びません。

②メンタルに悪影響がある

-失敗例-
・過去問演習の際に最低点を見て、自分がとれていない時に「もうこの大学は受験しないほうが良いのではないか」と考えてしまう
・親御さんから「過去問でこんな点数なら受験はやめるなさい」と言われてしまう
→メンタルダウンして勉強が手につかなくなってしまう

上記のような相談は、毎年多く受けています。本人にとって全くいいことはないため、結局メンタルに悪影響を及ぼすだけです。メンタルダウンする時間があったら、とにかく問題集を復習したほうがよっぽど効果的です。

③上滑りをおこす

先ほど述べたように、基礎が固まっていない状態で過去問演習の解き直しや解説の読み込みを行っても、上滑りを起こしてしまうだけですから学習効果はないといえます。

過去問演習の最大のデメリット

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本番に強くなるために過去問演習を行っても、むしろ逆効果になる例があります。おそらくあまり聞かないことだと思いますので、ここは今日の一番のポイントといえます。

▽過去問演習が逆効果になる例

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①過去問の傾向や解き方に固執してしまう。

例えば共通テストであっても問題数が年度によって1,2問変わっていたり、難易度が変わっていたりすることが毎年のように起こっています。

-実際の共通テスト(センター試験)本番での失敗談-
例年化学の大問3の小問数が少ないので、過去問演習では大問3の時間配分を少なく設定して練習した。(⇒時間配分の最適化)
→センター試験本番では大問3の小問が2問増えていた。また、大問3,4の問題の傾向が変わっていた。
→普段の過去問演習では設定した時間配分で解けていたのに、本番では間に合わずパニックになってしまう。
→大問3番の時間を大幅に使ってしまって大問4番に残った時間が少なくなってしまってさらに焦ってしまう。

上記の通り、過去問の傾向や解き方に固執してしまうと、むしろ本番の傾向の変化に弱く、想定外のことが起きたとき焦りにつながる危険があります。

これはセンター試験に限らず、私立医学部や国立医学部の二次試験では本当によくある話です。
-近年3年以内にあったこと-
・数学の大問数が常に3つであったが、突然5つに増えた
・英語で長文の大問が1つ増えたうえに、新しく自由英作文が出題された

②点数を意識して焦ってしまう

これは共通テストで特に多い失敗です。
-失敗例-
数学1Aにおいて、過去問演習では常に90点取れていたのに、本番では大問1で詰まってしまった
→絶対に解かなければと考え、大問1で大幅に時間を使ってしまう
→大問2からさらにパニックになりミスが増える
→自滅する

上記のような場合、実際は少し平均点が下がっていただけということがよくあります。これが過去問演習で合格最低点を意識してしまうことの最大のデメリットです。
「過去問では例年大問1はこれくらいの時間で解けている」
「4問中3問完答できていたのに」
というように、解き方や傾向、点数に固執してしまって本番焦ってしまった、という失敗は本当に多いです。
偏差値70台であったり、模試の判定では十分合格可能性があるのにも関わらず、本番で医学部不合格になってしまう人の大半の理由はこれです。

▽過去問演習の目的

・試験の解き方の練習
・分析して復習計画を立てる

▽過去問演習の正しい取り組み方

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①本番を想定した環境で行う

先ほど、自分のベストな環境で過去問演習を行うのは良くないという話をしました。
本番を想定した厳しい環境とは、
・起きる時間を本番同様に設定し、朝早くから解き始める
・体調が悪い時でも、予め決めた日にちに行う
・試験の時間割を本番同様に設定する
といった感じです。

むしろできるだけ自分にとって不利な状態で演習したほうが、本番の想定として良いと思います。

②解き方、失点箇所をしっかり分析する

試験の解き方は後ほどお話します。
過去問演習の目的として試験の解き方を練習することが大切だとお話ししましたね。時間配分を守れたか、ミスを連発していないか、など解き方について分析をしっかり行うことは非常に重要です。

続いて失点したところを分析しましょう。ここでの注意点は、解説を読んだり問題を解き直して終わりにするのは全く意味がないということです。なぜその問題を間違ってしまったのか、何の知識が抜けていたのか、ということを丁寧に分析する必要があります。さらに、今まで使用した問題集や参考書の取り組みから習得不足の原因を分析することも重要です。

③復習計画を立てて、問題集を復習する。

分析結果をもとに復習計画をしっかり立てて、問題集を復習することが重要です。過去問演習を行った後、ただ解説を見たり解き直しして終わりにするのではなく、普段使っている問題集や参考書で復習することで初めて成績が伸びると考えます。

④過去問演習は1回行うメリットはあるが2回以上はほとんど効果がない

これは我々の経験からいえることです。
・前回英語の解き方で失敗したからもう一回英語だけ練習する
・数Ⅲで復習計画の通りに復習を終えたから、数学だけもう一回演習して復習計画立ててみる
など、目的があればいいとは思いますが、ほとんどは意味がないことが経験から明らかになっています。

もちろん、初めに述べた通り1度も過去問演習をしていない医学部に合格する事例は多くありますから、できれば1回行うくらいのニュアンスでよいと考えます。

▽正しい試験の解き方とは

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①「各大学の最適化」ではない→固執してしまい逆効果になる

受験生だけでなく、学校の先生を含めここを勘違いしている方は非常に多い印象です。正しい解き方は各大学の最適化ではありません。

先ほど述べたように、各大学の最適化をしてしまうと、過去の傾向に固執してしまい、本番傾向が変わったときに焦ってしまい効果になります。

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②あらゆる試験に柔軟に対応できる解き方を習得する

上で述べた通り、傾向が大きく変わる医学部は毎年複数ありますから、あらゆる試験に対応できるために練習しておくことが非常に重要です。どんな試験に対しても柔軟に対応できるから、多数の医学部に合格することができるのです。

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