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食事の様子

私はほとんど野生動物なので、食料があればあるだけ食べてしまう。
次の食事がいつになるか分からない、食い溜めておこう。
そんな思考なのかもしれない。

かもしれない
というのは、それが無意識下で行われている行為だからである。

食事を前にすると私は意識を失ってしまう。

どれだけ豪華な食事だとしても「いただきます」と手を合わせ、気が付いた時には満腹になっているのだ。
食事中の記憶はないのである。

「カレーを素手で食べていた」
「スペアリブを骨ごと食べていた」
「うどんを鼻から食べていた」

記憶にないことばかり言われる。実に恐ろしいことである。
それよりなにより、至福の時間とも言える食事を楽しめないというのが非常に悲しい。

ということで、私は自分の食事風景を動画に収めることにした。
カメラを三脚にセットし、動画の撮影をすることにした。

映像の中の私が「いただきます」と手を合わせる。
途端、目つきが変わり、辺りをキョロキョロを見回し、目の前の食事に視線を戻す。

しばらく周囲を見回したかと思うと、物凄い形相で手当たり次第に食べ物を口に放り込み始めた。
箸など使わず手掴みで、皿なんてものは気にせず、汁物を溢そうがお構いなし。
肉は骨ごと、魚は頭から尻尾まで食べた。

チラと私と目が合う。
カメラに気が付いたのだ。
ジッと数秒見つめ合った後、私が飛びついて来た。
視点が右に左に揺さぶられ、映像が乱れた直後に途切れた。

ぐしゃぐしゃに壊れたカメラから、なんとか取り出したSDカード。
そこに記録された映像だった。

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