彼岸と此岸

 M-1の放送が終わったあと友達から「M-1の話をする飲み会がやりたい」と誘われた。僕はその時ウエストランドの「お笑いファンは皆目見当違い」という言葉がフラッシュバックした。忘年会でM-1の話題が出るならまだしも、M-1の話をするためにわざわざ集まるなんて俗に言うイタいお笑いファンでしかない。しかし友人に「イタいお笑いファンみたいだからやめよう」とも言えないので「ウエストランドに皆目見当違いって言われるからやめな」と返信した。表現的にマイルドになっていると思う、多分。

 僕は趣味が高じて度が過ぎてしまった人を「向こう岸に居る」と表現することがある。幅の広い川の彼岸、自分とは違う文化や価値観で暮らしている人という意味だ。
 友達は今その川を渡って向こう岸に行こうとしている。別にそれが悪いことではないと思うし、傍から見てイタいやり取りが楽しいことも知っている。 
 でも渡し船に乗る気はない。僕はこちら側で見ている方が気楽なことを知っている。というかお笑いファンが一枚岩でなさ過ぎる。その混沌とした様子たるやバルカン半島にも負けず劣らずだ。
 ただ、インターネットに作文を公開しているという点で僕も似たり寄ったりの存在ではあるのだが。


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