「エヴァが本当に終わったんだ」という事実

「エヴァが本当に終わったんだ」という事実、信じられないようでもあり、当然のようにも思う。何を言っても平たい言葉になってしまうと思う、それなのにそわそわするから、第3次アニメ革命を牽引した庵野監督に感服しつつ、気がすむまで日本のアニメ史を回顧してみる(書きなぐり的なとりとめのないやつ)

絵画、音楽、演劇、活字本、漫画、写真、実写、アニメ、…人類はいろいろな手法から「伝えたいこと」の共有を試みてきた。明示と、沈黙による余白。リアルと虚構。「物語を伝える」ことにおいて、コミックとアニメーションは、ここらへんのバランスが絶妙だと思う。

最初のアニメ革命を起こしたのは、手塚治虫先生のSF「鉄腕アトム」だ。1963年、世界で初めて週イチ30分の連続テレビアニメが放映され、アトムが空を飛んだ時、アニメーションという表現の翼は、日本の空を羽ばたいた。主題歌やキャラクターの商品化など、マーチャンダイジングの草分けも起こった。

その後「おばけのQ太郎」のギャグがお茶の間の笑いを拓き(藤子不二雄)、「魔法使いサリー」と「ひみつのアッコちゃん」が魔法少女ものの原型をつくり(横山光輝、赤塚不二夫)、次々と名作が登場していった。高畑勲さんや宮崎駿さん達が「太陽の王子 ホルスの大冒険」を作り上げたのもこの頃である。

「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」が代表する第2次革命の70-80年代は、アニメという言葉が世間に定着した頃でもある。「アニメなんかに夢中になって」との声がわく一方で、「ドラえもん」や、ナウシカ・ラピュタ・トトロ・魔女宅と続いた「ジブリ作品」等により、いっそう市民権を獲得していく。

そして95年、庵野秀明監督のエヴァンゲリオンが牽引した、第3次アニメ革命である。OVA作品だった「銀河英雄伝説」の後に「新世紀エヴァンゲリオン」の再放送が深夜放送への注目を集め、「ヒーローは眠らない」や「ワンダフル」の放送枠が作られた。

また、製作委員会方式の始動による資金繰りの緩和やCGアニメの実用化から、新規アニメが急増した。このことと先の作品の成功から、テレビ各局は2000年代にかけて深夜枠を設けていった。DVD販売による資金回収のビジネスモデル。深夜アニメというひとつのジャンルの確立である。

エヴァの構成──心理描写や人間関係といった "ちいさな" 問題に踏み込みつつ、これが世界の命運という壮大な問題に直結しており、視聴者は作中に散りばめられた謎を推理しながら観賞する──は斬新だった。この構成を模した作品(新海誠監督の「ほしのこえ」等)は数多く生まれ、セカイ系と呼ばれる。

第4次革命については特に取り沙汰されていないという認識だが、個人的には、サブスクの動画配信サービスがもたらした諸々が、革命に相当するのかもしれないと思っている。国内外におけるパイの拡大と新たな資金源は、新規アニメだけでなく、過去作の再発見にも大きく貢献している。

椅子に座りすぎてそろそろお尻がいたくなってきた。おふろににゃんぱすーしてこよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?