新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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クラスターリスクを判定! 近接人数カウントアプリ

ifLink「新型コロナについて考える」の第3弾は、近くの人をカウントするアプリ「AntiCluster(アンチクラスター)」の紹介です。

感染防止には人と人との接触を断つのが有効。それでも買い物、仕事、接客、移動など、やむを得ず人と近づかなければならない場面もあるはず。
このアプリは自分が一日に近接した人の数をカウントすることができます。
近接人数をカウントして自分の行動のリスクを可視化するのが狙いです。

1mくらいの至近距離にいる人の数、10mくらいの周囲にいる人の数を一定時間ごとにカウントして表示します。至近距離で同じ人と15分以上いっしょにいた場合「濃厚接触」としてカウントします(最新の定義では「1m以内で、15分以上の接触」を濃厚接触とみなしています。コチラ。)

カウント値をもとにリスク判定

AntiClusterのポイントは、濃厚接触数、至近距離数、周囲の人数を総合的に評価してリスクの判定を行う点です。濃厚接触が多いのはもちろんリスクが高いですが、人の多いところに長くいることもリスクが高いと考えられます。AntiClusterはこれらの値を組み合わせて評価します。

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やみくもに人との接触を恐れるのではなく、自分がどれくらいの人と近接したのかをちゃんと把握して、リスクの少ない行動を取ることができます。駅やスーパーなどに行くと、すぐに周囲の人数が100人を超えたりするのでちょっとたじろぎますが、「密閉」「密集」「密接」の3密を避ければリスクは軽減されるはず。1m以内の至近距離や15分以上の接触を避けるように気を付けて、自分の行動をコントロールするのに役立ちます。

ビーコン信号の電波強度で距離を推測

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普段みなさんが使っているスマホは、Bluetoothイヤホンなどの外部機器と接続するために、ビーコンという信号を常時送っています。この信号は10~20mくらいの範囲に届く近距離の電波です。この信号を受信するということで「近くにスマホがある」ということがわかります。スマホがある、ということはそれを持っている人がいるはずなので「近くに人がいるはずだ」ということが推測できます。また、受信した電波の強さから、スマホがどれくらい離れているか、を推測することができます。また、同じスマホからの信号を繰り返し受信する場合、そのスマホと長時間近接しているということがわかります。こういったしくみで近くにいる人の数と時間を把握しています。

もちろん、カウントの正確さには課題もあります。BluetoothをONにしているスマホじゃないとカウントできないし、スマホを持たない人や複数台持っている人もいます。スマホによって発信する電波強度に違いがあったり、場所によっては電波が乱反射したり遮断される場合もあるので、距離にも誤差が生じます。それでもリスクを可視化するという点では一定の役には立つはずです。

「接触確認アプリ」とどう違うの?

厚生労働省が6月に公開する「接触確認アプリ」(通称:アベノアプリ)とどう違うのかよく尋ねられます。
「接触確認アプリ」は感染者の接触の追跡を目的としたアプリで、陽性が判明した人とどこかで接触していたら、それを教えてくれる、というものです。これにはGoogle/Appleが1国1機関だけに開示する特別なAPIが使われています。ただ「接触確認アプリ」は全国民の大多数がこのアプリをインストールしないと追跡効果が出ない、という課題もあります。

カウントするだけ

AntiClusterはもっと単純な作りです。スマートフォンが常時発信している電波をカウントするだけです。カウントするだけで、個別のスマートフォンのIDを保存したりはしていません。だから追跡機能もありません。
プライバシーを考慮したスマートフォンの仕様で、スマートフォンのIDは一定時間でランダムに変化するようになっています。なので、もしIDを保存したとしても、特定のスマートフォンの識別には使えないのです。「接触確認アプリ」はGoogle/Appleが1国1機関だけに開示する特別なAPIを使っているので、これが可能なのでしょう。
AntiClusterは10分単位のカウント数だけを2週間分保存しています。

個人の意識を高める

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「接触確認アプリ」の目的が感染の追跡にあるのに対して、AntiClusterは自分のカウント値を見て、個人の意識を高めるのが目的です。「今日は人の多いところに行き過ぎたな」とか、「もう少し人との距離をあけるようにしよう」というように意識的な行動の動機づけになります。

インストール数が少なくても使える

「接触確認アプリ」はすれ違った人のアプリ同士が通信するため、たくさんの人がインストールしていないと効果が出ません。
AntiClusterはアプリ同士が通信するのではなく、スマートフォンの信号をカウントするしくみなので、インストール数が少なくてもカウントはできます。

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プライバシーへの配慮

自分の近接カウントの履歴のようなプライバシー情報がサーバーに送信されてしまうことを好まない人も多いのではないでしょうか。AntiClusterはデータをサーバーに送信しません。単にスマホ内でカウントして表示するだけなので、データは本人以外には伝わりません。プライバシーは安心です。
唯一AntiClusterが外部に発信するデータはユーザーが意図的に「リスク判定を共有」ボタンを押したときにアプリが発信するリスク判定値だけです。この値をビーコン信号のデータ領域に乗せて発信します。さて、このデータはどのように使うのでしょうか?

IF-THENルールを設定して入館チェックに活用

ビーコン信号はサーバーと接続するデータではなく、10~20m程度の範囲限定で送信できる近距離無線信号です。ifLinkは、ifLinkBeaconFormatというデータ形式で他のアプリとデータをやり取りすることができます。
例えば施設の入館時にユーザーに「リスク判定を共有」ボタンを押してもらい、「IF:リスク判定値がレベル3以下だったら」「THEN:入館OKの画面を表示」というようなIF-THENルールをifLinkで設定しておけば、めんどうなプログラミングなどをしなくても、入館チェックの仕組みを作ることができます。

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発信されるのはレベル判定値だけで、それ以外の近接データなどは渡されないので、プライバシーも守れるし、施設や店舗側は、近接リスクの少ない人の入館を許可することで、利用者全員の安心を確保することができるわけです。

オープンソース化して機能改善

いかがでしょうか。ifLink AntiCluster。
新型コロナと立ち向かう日々の生活の安心とリスク管理に役立つはずです。こういったアプリは、どんどん高機能にすることができます。例えばGPS位置情報と組み合わせたり、アプリ同士で近接情報を授受することで、より精度の高い監視が可能になります。しかし、そのぶん、プライバシーへの懸念が高まってしまいます。AntiClusterは機能を単純化してデータをサーバー送信しないことで、利用者の安心を得て、そのぶんたくさんの人に使ってもらえることを意図しています。
それでも、データを出さないと言ってもプログラムの中で何をしているかわかったもんじゃない、と考える人もいるかと思います。
AntiClusterはソースコードをオープンにして、誰でもプログラムのロジックを確認したり、機能を改善したりできるようにして、安心を提供していきたいと考えています。

※このアプリは東芝デジタルソリューションズの有志が作成した試作品です。ifLinkオープンコミュニティの新型コロナ対策部会での活動や、一般の有志の方によるアプリ活用・改善を可能にするためにオープンソース化して公開しています。

ifLink AntiClusterアプリはこちらからダウンロード可能です。下記のQRコードからもリンクできます。

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ifLinkオープンコミュニティでは、新型コロナ対策部会で、新型コロナに関わるさまざまな社会課題に対して、企業、学生、団体が集まって解決策を発案、試作、実証する活動を行っています。
記事を読んで下さったみなさんも、ifLinkオープンコミュニティへの参加をぜひご検討ください!

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モノと人と生活がITでつながるIoTの技術を誰でもカンタンに使える世の中を目指して、企業や学校、団体とコラボ活動を推進しています。 IoTクリエイターズ・オープン・ネットワーク主宰。ifLinkオープンコミュニティ理事。