初めてデパコスを買ったとき

14歳のとき、初めてデパコスを手に入れた。

家族旅行で行ったハワイのショッピングセンターで、私はMACに出会った。

中学2年生なんて、おもちゃは卒業したけどブランドものにはまだ早い、ショッピングセンターなんか行っても別にそんなに楽しくないお年頃だった。

高そうなものがたくさん並んだ通りの中で一際派手だったのがMACだった。

アイシャドウもリップも見たことがない原色だらけ。
地元のイオンとマツキヨには売ってないものばかり。

そんな派手な商品以上に、店員さんが派手だった。

紫の髪をした大柄の人が一際映えていたのを覚えている。リトルマーメイドのアースラみたいな見た目だった。

髪の色ヤバい。めっちゃデカい。めっちゃ化粧濃い。てか男?女?こんな人地元にいないしテレビ以外で見たことない…。

と思いながらボーッと突っ立っていたら英語で捲し立てられ、あれよあれよという間に鏡の前に座らされていた。

当時英語が話せなかった私は、携帯で憧れていたテイラーモムセンの画像を見せた気がする。

メイク中もメイク後も、お兄さんかお姉さんかよくわからないその人はニコニコしながらグッドグッドグレイトグレイトみたいなことを連呼してた気がする。

グレーのシャドウを塗られてピンクベージュのリップを塗ってもらった。

今思えば、全然似合ってなかったと思う。

私の厚い瞼には茶色いシャドウの方が映えるし、リップは白浮きしない明るい色で血色良く見えた方がいい。

それでも、初めてみる自分の顔が新鮮で、すごく嬉しかったんだと思う。

結局その日は親にねだってクリームカップというリップを買ってもらった。今はもう油が分離してとても使えるものじゃないけど、私の運命の一本な気がして、今でも捨てられないでいる。

あの日私は、メイクの正解と引き換えに自由をもらった気がする。

店員さんありがとう、おかげで10年経った今でも派手に暮らしています。







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