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相互扶助と生命保険

「相互扶助としての生命保険」
相互扶助という精神のもと生命保険という制度を福沢諭吉が日本に持ち込んだわけですが、そもそも生命保険とはひとつの団体をつくりその構成員がお金を拠出しあってその中のある人の死亡の場合にその遺族に拠出によって集まったお金を支払うという相互扶助の制度です。そして1年ごとに決算をし死亡がなければ、その年に拠出されたお金は構成員に返還されるという仕組みです。現在における団体福祉定期保険がまさにそれにあたります。団体福祉定期保険は生命保険の原型、あるべき姿ということでしょう。この仕組みは働き手である、世帯主の死亡によって収入が途絶え、遺族が生活に困窮してしまうということを救済するために、少ない拠出金を多人数から集めて大きな保険金をつくるというものです。そう考えますと働き手の死亡によって生活に困窮しない富裕層には不要なものであったのでしょう。生命保険の本来の意義は相互扶助による救済でありその仕組みを成り立たせるために、お金を拠出する人を構成員(社員)とする相互会社という法人格を保険業法でつくっているわけです。本来の意義からすると相互会社は剰余金は構成員(社員)つまり契約者に返還されるもので、利益が出るということにはならないはずです。長い時を経ていまや相互会社である生命保険会社は莫大な利益を上げ続け内部留保を増やし、機関投資家としての役割を担うようになりました。
現在における生命保険会社は多数の契約者からお金を集めてそれを大きくまとめて投資するという機関投資家になりました。機関投資家という存在は資本主義社会においては必要ではありますが、本来の存在意義である相互扶助の仕組みを成り立たせる存在としての役割がなにより必要なことであるといえるのではないでしょうか。
生命保険商品を流通させる、必要に応じて販売をするセールスパーソンの役割はこの相互扶助の仕組みの販売であるのではないかと思うわけです。富裕層の税金を繰延べたり軽減したりということは生命保険本来の価値ではありません。裕福な人の余剰資金を運用するためのものでもありません。(それは証券会社の仕事です)
戦後、日本国憲法ができたことにより国民の経済的生活保障は国家が賄うとなったことで、相互扶助による生命保険会社の役割はその存在意義がなくなったのかもしれません。

「受取人固有の財産としての生命保険」
そうなりますと生命保険商品も生命保険会社も外交員も必要ないということになりますが、そうではありません。生命保険の性格である受取人固有の財産である、つまり相続財産ではないということは他の金融商品にはない生命保険の大きな存在意義になります。いまだに生命保険商品を節税?商品として販売されるセールスパーソンもいます。生命保険商品を使って節税はできないのは誰もが知る周知の事実となっています。最近は資産運用商品?といって外貨建保険が多く販売されているようです。外貨建保険は運用商品ではありません。外貨建保険は外国債券に危険保険料と付加保険料を上乗せした金額で買うものです。利回り、リターンでは外国債券をそのまま買う方が有利なのは明らかです。資産運用ということであれば、変額保険より危険保険料のないまた付加保険料のない投資信託や現物株の方が有利なのは当然です。債券や投資信託を販売したいのであれば証券外務員資格を取得して金融商品仲介業をすればいいのです。生命保険の本来の意義である相互扶助、他の金融商品にない唯一の効用と効果である相続財産から外すという点で考えますと、団体福祉定期保険、(解約返戻金のない)短期定期保険、収入保障保険に商品も絞られてくるのではないでしょうか。経済的保障効果であれば、がんの自由診療が実額保障となる商品は価値があるといえます。時代の変遷とともに生命保険販売手法はテクニカルな様々な手法が考え出されてきたわけですが、それらは生命保険商品本来の意義や価値からどんどんかけ離れたものになっていったように思えます。生命保険が持つ変わらぬ価値を軸に法律、投資、運用などの知識の幅を広げ、生命保険セールスパーソンとしてだけではなく、多くの人々を経済的に豊かにする価値あるアドバイザーとしてご活躍されますことを祈念して。

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