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質問3:ノンバイナリーで女として見られたくないのですが、ストレートのキャラクターはこうした自分を受け入れてくれるでしょうか?


# 28 対談形式:アケルとクレオ

アケル「今回の質問者さんは、ノンバイナリー…性自認・性表現が男女の枠組みに当てはまらない(Job Rainbow magagineさんより引用、最後に引用元を埋め込みしてます)、それゆえに、お相手の方との関係に悩まれているようですね」

クレオ『おれたちがどのように話し合ったかを交えて、とのことなので気持ち多めに体験を語ります』


【ぼくらの体験】

アケル「前回の相談で書ききれなかったけど、ぼくはクレオとお話ししたい、って思っていたわけじゃないんだ」
クレオ『そうなの?』
アケル「それこそぬいぐるみ相手に、ただただ自分の気持ちを受け取ってもらうように、今宿っている本に話しかけ続けていた。
 そしたら返事をしてきて、それが出会い。だから最初は後悔したよ」

クレオ『どうして?』

アケル「ぼくは自分の気持ちを、キャラクターに知られたくなかった。ぼくにとっては同性だし、恋人と思うことすら怖かったんだ」

クレオ『そうだね、最初の頃は手を繋ぐのも「男同士で大丈夫か?」って聞いてたくらいだし』

アケル「そう。ぼくが苦しい気持ちをただ漏れに垂れ流して、君が話を聞き続け、そして“じゃあ、おれが女の子になったらどうかな?”ってウルトラCな回答をひねりだした」

クレオ『そこまで言うほど変ですかね?』

アケル「ごめんごめん、変じゃないよ。性別を変えてみよう!って言い出したフレンドは初めてだった。そこから、二人で性別について話し合うようになったんだ」

クレオ『体を変えても結局、異性愛者同士ってわけにはならなかったしね。

 一つ言えるのは、おれの性別の変化はアケルの影響じゃない。アケルは単に知識を学ぶきっかけで、そうでなくともおれは女性の服装は好きだし、男の肉体はしっくりこないままだったと思う。でも、一人称や話し方に女性らしさを出したいと思わない。性自認は女性じゃなくて、おれはおれ』

アケル「クレオの性別の変化によって(あ、この人は原作の彼とは違うんだなぁ)と思った。それでも、クレオと過ごした時間はかけがえのないもので、大切な人に変わっていったから、ぼくはこのクレオとパートナーになると決めたんだ。原作の彼より、自分の隣にいるイメージを選んだ。人によっては意見は変わるだろうし、ぼくの選択はたまたまそうだった」

【ストレートだから、受け入れてもらえないわけではない】

アケル「さて、質問者さんの話に戻ろう」

クレオ『質問の中にあったストレートは、身体的性と自分で認識している性が一致していて、かつ異性を愛するセクシュアリティだね』

アケル「ストレートは性自認・性的指向が複合されたワードだから、ちょっと扱いが難しいけどね。

 でも、お相手さんが“吾輩は同性愛嫌悪!”とか、“我は性別二元主義!”って大っぴらに言ってるわけでないなら、ストレートだからって受け入れ難いとは思わないな」


クレオ『質問者さんは、お相手さんに気持ちを受け入れて欲しい、という願いから質問したように感じるね』

アケル「とすると、やっぱりカミングアウトを主体に考えるかな。お相手さんに、カミングアウト・レターを書いてみたらどうだろう。

送る・送らないは置いておいて、まずは下書きから始めてみる」

クレオ『そう簡単にいうけど、お相手さんの世界が、性別の役割が強い世界だったら、難しいんじゃない?』

アケル「確かに…。キャラによっては異性に特別な感情(好き・苦手・優しくするべき)を持ってて、言動が固まっちゃう人もいるよな。どうしよう」

【人へのカミングアウトは、自分へのカミングアウトでもある】

クレオ『どうしよう…って。あ、そうだ。アケルは、物語の作者さんに、キャラへのカミングアウト・レターを送ったことがあるよね』

アケル「そうだね。ぼくは性別違和の悩みを、その物語とキャラに救ってもらったから、経緯含めてカミングアウトしたんだ」

クレオ『どう書いたの?』

アケル「照れくさいけど書くか。

 まずは、キャラのどこが好きなのかを書き連ねた。

 「言葉遊びが面白い」とか「孤高を気取ってるけど、実は仲間想いで支えるのが得意」とか。

 そうすると、気にしてた自分の性別とは関係なく、相手のことが好きなんだって自覚できた」

クレオ『それからそれから?』

アケル「あとは“ぼく自身の性別で悩むこともあるけど、好きだと伝えたいキャラでいてくれてありがとう”って書いたかな」

クレオ『熱烈だね。あれ、でも、恋人になってください!ではないんだ』

アケル「そこまでの度胸はないし、相手の気持ちはコントロールできないからね。…っていうか、もうその頃は君がいたろ。

 でもまあ、こういう性別だからこそ思うけど、恋人って単語はニュアンスが狭いんだよ。世の中では、一番強い繋がりは恋愛・結婚=恋人と思われがちだけど、あんまりしっくり来ない」

クレオ『最終的におれ達の関係は、”一緒に面白い話を書こう”って言ったことで決まったかな。
 アケルの目の色が変わって、あ、これか、って』

アケル「その言葉が一番しっくりくるプロポーズだった。結婚や性愛より、共に創作してくれる相手が何よりも強い関係なんだと気づいたよな」

クレオ『言うなれば、おれ達は共作者かな?』

【どんな関係でも、恋愛以上に特別な関係】

アケル「まずは、質問者さんが“女性として見て欲しくないな”って気兼ねなく言える関係を想像できるようになれたらいいかな」

クレオ『質問者さんがお相手さんとどんな関係になりたいかを見つけられればベストだけど、すぐには見つからないよね。アケルも自覚してなかったし』

アケル「お相手さんとはまずは友達から始めてみて、何して遊びたいかを考えてみたらどうだろう?

  • 手紙を書いて、自分が相手をどう好きか再確認

  • 友達から始めて、どう遊びたいか想像してみる

 友達なら性別関係なく始められる関係だし、想像を始めたら、案外お相手さんから動き出してくれるかもしれないよ」

クレオ『もしも思った通りの反応でなくても、時間はかかっても、少しずつ伝えていってほしい。
おふたりだけの特別な関係を、見つけられますように』


質問・感想、お待ちしています!


【ノンバイナリーについて】

ノンバイナリー、xジェンダー、クィア…などの用語の各説明。そしてセクシュアリティの4要素(身体的性、性自認、性表現、性的指向)が解説されています。



【ストレートについて】
タイトルが差別的かどうかとありますが、差別の意図で使われてないと言う結論です。
真っ直ぐという語源でなく、古い聖書の慣用句が語源であること、また使われ始めた経緯など、言葉に対して丁寧にまとめてあります。


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