理学療法原論のまとめと感想 〜産業理学療法分野の理学療法 第3章+α 4/5〜
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療法士向けの記事です.
2021年2月に,理学療法士協会から「理学療法原論」が発行されました.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士のなかで,理学療法業界は最も歴史が古く,国内では半世紀以上が経ちました.
約100ページの内容を5回に分けてまとめを解説します.
私のまとめ(私見)抜きで読みたい方は,下記URLよりダウンロードしてください.
今回は3章の続きで説明しきれなかった「産業理学療法:第3章」についてです.
産業理学療法に馴染みのない方は産業理学療法部門のページもご確認頂けると良いです.産業理学療法に明確な定義はなされていないものの
「勤労者に対する一次予防」
といえます.
そのため「産業理学療法士」と名乗る療法士がいるとすれば疑問が残ります.
産業理学療法は,産業保健分野に理学療法士が関わろうとする活動で,「労働安全衛生法」「3管理:健康管理,作業環境管理,作業管理」が基本の考え方になります.労働安全衛生法で定められている職種の中には,産業医,衛生管理者,歯科医師,看護師,社会保険労務士,労働衛生コンサルタントが構成されていますが,理学療法士は含まれていません.そのため,理学療法士が産業衛生分野で活動するためには,法律上にはない位置から戦略を考える必要があります.営業活動等の経験がない理学療法士はどのように動いたらよいのか,わからない療法士が多い印象です.
病院に勤務する療法士が,企業の勤労者の一次予防に関わるにはどうしたらいいのか?と聞かれるのですが,自身の病院にも勤労者は多くいるはずですので,まず自身の職場で活動できる一次予防の普及から始めることがよいのかもしれません.そのためには,委員会に所属して提案する等の戦略が考えられます.
数年前から注目されている用語して「健康経営」が挙げられます.
健康経営は,経済産業省によると「従業員等への健康投資を行い,従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待すること」と説明しています.
この目的は,企業のイメージ向上,少子高齢化の時代において勤労者に長く働いてもらう等が考えられます.
理学療法士が,対象となる勤労者の健康増進を促しにより収益も高まったことを証明できたとすれば,企業に重宝されると思います.
そのためには,勤労者の健康とは何か,職場の生産性向上とは何か,職場内の人間関係は良好か等々,様々な変数,因果を読み取る必要があるかと思います.
私自身,産業理学療法にまだまだ長けておりませんが,企業からの情報聴取,労働衛生関連の学会発表の関与,労働衛生に関わる資格取得(第一種衛生管理者,作業管理士,認定PT(健康増進))してみての感想です.
私が某企業の所長さんにご指摘頂いたのは「あなたが私の企業に関わって,結局どれだけの利益を発生させてもらえるか?」とのことでした.シンプルですけど,企業は営利目的であり,そりゃそうだよなと思ったわけです.
理学療法士として一次予防の専門性を有しているからといって,無理に企業に宣伝することはおすすめしません.その専門性は自称であって,相手からみるとどんな専門性を有しているかわかりません.他称として認めてもらうために,相手が求めている成果を読みとって,スモールステップから着々と形にして提示していくことが有力かと考えます.
理学療法士が勤労者の健康増進に関わり,成果を論文等の形にして,多くの勤労者に貢献できるようになりたいですね.
理学療法原論から少し脱線しましたけど,最後の次回は「理学療法と倫理」についてまとめたいと思います!
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