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2020年マイホーム購入を検討している人へ贈る7つのメッセージ 5/7

 前回は「超低金利の利点を正しく理解」でした。これ、とても大事です。そして、なかなか理解しきれていない人が多い印象です。

 次に、同じく重要なテーマ、市況。第5回目は「市況を学ぶ」。よーく読んで、まわりの人とコミュニケーション取るといいと思います。人によって考え方は違って当前なのですが、他人の意見を聞きながら自分の考えをまとめ上げようと機会を自ら設ける人が少ない気がします。人生の中で「資産形成」はとても大きな事柄なのに。

市況を学ぶ

 市況は、多くの要素が入り組みそれらが変化すると同時に、各要素の重み付けさえ変わります。

 宅建業法では従事者に「守秘義務」が課されています。なので「マーケットの実際・詳細」をすべて把握するのは無理です。その前提でデータを見ましょう。断片的な情報をつなぎ合わせて、自分の頭の中で「今、マーケットで何が起きているか?」を体系化していきます。

 まず、日本は持家推進国であることを認識しましょう。これは税制を知れば明らかなので、あらためて論じる必要はないと思います(もちろん個人の指向は別です)。よって、人口や世帯数の増減に合わせてマイホーム需要の強弱を読むことが出来ます。

 一方、土地は増殖しません(埋立地を除く)。限られた資源です。したがって、地価は人口や世帯数が増える場所が高まる傾向にあります。下記リンクの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

参考サイト:公示地価「6年連続5%超上昇」は港区のみ

POINT!:不動産相場は需給バランスで変化する

 需給のバランスに応じて相場が変化する。これはマンションにも当てはまります。中古マンション市場では、在庫(供給)の波にあわせて相場が上下します。よって、今後の相場を予測するには、在庫トレンドのチェックが欠かせません。下のグラフは、東日本不動産流通機構発表「中古マンション『首都圏・東京都』在庫件数(棒グラフ)と成約単価(折れ線グラフ)推移」。グラフの左半分は在庫が増えれば(減れば)単価が下がる(上がる)相関がきれいに出ているのがわかります。

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 次に、金利と税制が市場に大きな影響を及ぼすことを認識します。金融は、90年代のバブル、2000年初頭のファンドバブル、そしてアベノミクス(第一の矢:異次元の金融緩和)いずれも不動産市場に多大なる影響を及ぼしました。税制では直接的な「住宅ローン減税の限度額拡充」のほかに、最近では2015年1月1日施行「相続税改正」がおもにマンション市場を活性化させました。上のグラフ右半分「在庫件数」も「成約単価」もともに上昇基調を崩していないのはこれが主たる要因になっています。下記リンク記事では、より鮮明に相続税改正の影響が見て取れます。

参考サイト:マンション価格を押し上げた相続税改正

 金利と税制以外で、今後の不動産市場に影響を与えそうな気になる要素がひとつあります。「2022年問題」として関心を集めている「生産緑地法」です。30年間の優遇期限が2022年で切れ、宅地向け用地として市場に大量に出回り、価格の暴落を招くというものです。これに関しても記事にまとめていますのでご覧ください。とくに棒グラフは必見です。

参考サイト:生産緑地「2022年問題」が住宅市場に与える影響度

 マンション関連のデータ参照先は、中古マンションは前述「東日本不動産流通機構」が最も豊富。新築マンションは「不動産経済研究所」が著名。しかしながら、アベノミクス来、マイホーム需要以外にも節税対策や投資需要が膨らみ、個々にはマーケット全体のデータだけでは説明しきれない状況も散見されます。したがって実態をより正確に把握するには、データ分析と個別物件の情報と、どちらも押さえる必要があります。一般の方にはなかなか容易な作業ではないと思います。

 最も良い方法は、不動産業界に従事し、かつ市況を常にウォッチしている知人・友人を持つことです。できれば複数の富裕層にアプローチして実際に売買に携わっている人がベターです。なぜなら、これから益々この分野が伸び、データを読み解く上でヒントになる情報を得られると思うからです。定期・不定期を問わず情報提供をお願いし、いずれ自分の不動産を売買するときにビジネスパートナーになってもらうと良いでしょう。

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