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まことさん:「安全な場所に避難してから考えればいい」 助言をきっかけに

市役所の方の「まずは安全な場所に避難してから考えればいい」という言葉。物件を契約するなど大層な準備をしなくても、後のことはどうにかなると実感しました。

自己紹介

趣味はアニメを見ることと二次創作です。好きなバンドはアジカンです。

家出時の家庭状況

 モラハラで過干渉の母親に支配されていました。母親は自己愛性パーソナリティ障害の疑いが高く、自分の意見を押し付けてはヒステリックになる被害者意識が強い人でした。長年にわたり進路の強制や人格否定、○○しなければ学費を払わないと脅されるなどの精神虐待を受けていました。弟が愛玩子、私が搾取子だったのですが、私だけ家族全員分の家事を押し付けられるなど、男女差別のある家庭でした。父親はそんな現状に無関心で、母親を刺激しないよう生きることで精一杯の様子でした。
 自分の行動や考え、選択が常に否定され、制限されている息苦しさを感じていました。サークル内の人間関係の悪化が原因で退部したこともあり人間不信と孤独に陥り、塞ぎ込んでしまいました。家出当時は元々悪かった両親の仲がさらに悪化し、搾取され続ける父親の姿を見たくありませんでした。精神科を受診したところうつ病を発症していると医師に言われ、とにかく距離を置くことが必要だと考えて家出しました。

家出時の年齢

22、大学4年

家出の決心をした後にどのような準備をしましたか

①家出の持ち物リストの制作
②家出後に契約する物件の初期費用を問い合わせ、見積もりをメールで送ってもらう
③市役所で住民票の閲覧制限に関する相談の3つを行いました。

 ①は後の質問でお答えします。
 ②の賃貸の初期費用は、敷金礼金、仲介手数料が0の物件、初期費用が15万円以内に収まること、内定先の会社に近いことを条件に探していました。
 ③の市役所への相談では、「身一つで出ていけば閲覧制限をかけなくても居場所は特定できないし、まずは安全な場所に身を隠しながら準備を進めてはどうか」とのアドバイスをいただき、気持ちの後押しになりました。また、友人の住所が書いてある年賀状や手紙は念の為処分しました。

家出の最初に必要なお金をどのように準備したか

 4年春からいざとなった時に家出するためのお金を貯め始めました。母親はアルバイトにも制限をかけてくる人だったので、リモートワークで教育系のバイトを初めました。母親が仕事で不在の午前中から夕方にバイトをし、その時間はオンライン授業の課題をしていると誤魔化していました。4月から約月3万円程度を貯金に回した結果、家出をした12 月には27万円程度の資金を準備できました。リモートワークは場所も選ばないので大学で作業することもできますし、家出資金を貯めるのにいい方法だと思います。他には給料手渡しのリゾートバイトやホテルでの住み込みバイトなどを検討していました。家出と同時にお金を稼げるのでこちらもいいと思います。

実行時の持ち物はなんでしたか

リュック(20L)
キャリーケース(容量不明。高さ60cm)
ショルダーバッグ(小さめ。貴重品入れ)

☆貴重品類(ショルダーバッグ・リュック)
財布(現金5000円とクレジットカード)
家の鍵
通学定期
学生証
印鑑(賃貸契約に必要なので絶対)
身分証明書(パスポート・免許証・マイナンバーカード)
ワクチン3回接種証明書(クリアファイルに入れる)

☆美容・衛生品類(リュック)
メガネ・コンタクト(5日分)
コスメ
スキンケア用品(百均の小さい容器に詰め替え)
ヘアピン、ヘアゴム
ヘアアイロン
歯ブラシセット
マスク(不織布10枚程度)
生理用品(夜用3枚昼用3枚)

☆電子機器類(キャリーケース)
iPhone
ワイヤレスイヤホン
ノートPC
iPad、Apple pencil
充電器(スマホ・PC)

☆着替え(キャリーケース)
下着3枚
ブラトップ2枚(インナーいらずで良い)
靴下1着
襟付きシャツ1枚
コート(当日着る)
ニットA(当日着る)
ニットB
ジャンパースカート(当日着る)
タイツ2枚
テーパードパンツ1着
この組み合わせはおすすめです。
①ニットA+テーパードパンツ
②ニットA+テーパードパンツ
③ニットB+ジャンパースカート
④ニットB+テーパードパンツ
の4通りの着回しができます。寒い日はニットの下にシャツを重ね着していました。
また、襟付きシャツ1枚とテーパードパンツがあればアルバイトの面接にもすぐに対応できます。家出してすぐに、パジャマ兼外着にもなるニットワンピを買いました。

☆その他
エコバッグ(A4ファイルが入るサイズ。ちょっとした買い物に便利です。)
ハンカチ(涙を拭くのに必須)
折りたたみ傘
推しのアクキー(精神安定用)
ボストンバッグ(トラベル用で折りたため、キャリーケースに固定できるタイプのもの)
ビニール袋(汚れ物を入れる)

 持ち物での失敗は、大学4年生の場合賃貸の契約に内定通知書が必要になる場合があると知らなかったことです。私は会社に事情を説明して郵送してもらいましたが、あれば忘れずに持って行きましょう。

最初の1~2週間でなにをしたか

 家出を決行したのは、両親が仕事で遅くなると分かっていた日でした。初日は位置情報を切り、家族のLINEをブロックして着信拒否し、「信頼できる人の家にいる。私は自分の意思で家出をした。」と連絡しました。
 翌日は家出の理由、これまでの不満を長文で送りました。最初の1週間は彼氏の家にお世話になり、主に賃貸契約に時間を使いました。まずは物件の候補を5つに絞ってスマホのメモにリスト化し、仲介手数料を取らない不動産屋で内見の予約を入れました。内見して気に入った物件に審査の申し込みをしました。
 保証人は彼氏にお願いしましたが、ダメだったら保証会社を利用しようと考えていました。2週間目は事情を知った友人の実家にお世話になり、アルバイトを探しました。午前中の時間を有効に使えることを重視し、ホテルの朝食の調理補助や、駅構内にあるチェーンのカフェのバイトを見ていました。
 勇気を出して母親に連絡し、一人暮らしを認めること、自分の行動を一切制限しないことを条件に和解しました。

1~2週間が経って起こった大きなことは何か

 幸いなことに、母親が大きな問題を引き起こすことはありませんでしたが、可能性は十分あったと思います。私の周囲の人々の連絡先を執拗に探そうとしていたと後から知りました。家出の前に友人からの年賀状や手紙を処分しておいて良かったと思います。
 予期していなかったことといえば、最初の1週間のメンタルの悪化です。外に出るのが怖く、母親が自分を探し回っているのではないかという不安に襲われていました。そうした嫌な想像が膨らんだため兄弟に連絡をとり、母親の様子を教えてもらっていました。2週間目には少しずつ落ち着き、親に縛られない1日とはこんなに自由なのかと感動しました。誰かにそばにいてもらうことの大切さを実感できました。

行動に踏み切った直接的な動機

 市役所の方の「まずは安全な場所に避難してから考えればいい」という言葉。物件を契約するなど大層な準備をしなくても、後のことはどうにかなると実感しました。

家出をする中で罪悪感にかられたこと

 家出後に何度も電話がかかってきたことです。すぐに着信拒否をしましたが、自分が大変なことをしてしまったのではないかと葛藤しました。

家出のメリットは何か

 自由への一歩を踏み出せることです。1人で物件を決めた時は、これからは誰の干渉も受けなくていいのだと初めて将来に希望を感じました。一人暮らしや自立に対して否定的な親を見ては説得するなんて無理だと諦めていましたが、それは親からの呪縛でした。言葉が通じない親は、行動で示さなければ拒絶の意思が伝わらないということも分かりました。自分1人で生きていくことができると実感することで、親の呪縛から徐々に解放されていくのが最大のメリットだと思います。

家出のデメリットは何か

 強いていえばお金がかかることです。家出した当日から食費はかかりますし、一人暮らしの初期費用もまとまったお金がかかります。ですが、世の中にはいくらでも職がありますし、身の安全を確保すれば後からどうにでもなるのであまり思い詰めなくても良いと思います。

家出に関して知っておくべきだと考えること

 事前に家出の計画を立てるとその後がスムーズだということです。私の場合は物件候補や持ち物のリストを作る、お世話になる人に連絡するといった準備をし、あとは家を出るだけという状況を作りました。知らない異性のところに転がり込んだり、野宿をするといった危険な状況を避けるためにも、準備は大切だと思います。

これから家出をするという方へのメッセージ

 今も大変な状況で辛い思いをされていると思います。家出は1日で人生が大きく変化します。これまで悩み、苦しんできた時間があるからこそ、その後の日々は何倍も輝いて見えます。あなたの幸せを心から願っています。


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