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将棋・二段への道のり

2024年1月に、趣味の将棋で二段に昇段しました。

初段に昇段したときは、二段なんて夢のまた夢と思っていたので、まさか自分が二段に昇段できるとは思っていませんでした。せっかくなので、初段から二段の間にどんな取り組みをしたのかまとめてみたいと思います。

将棋ガチ勢向けの記事なので、興味のある人だけにお届けします(笑)

二段までの道のり

もともと父親からのススメで5歳から将棋を始めました。そこまで本格的には取り組んでませんでしたが、小学校時代はずっと将棋の練習をしていて、棋書を読んだり、詰め将棋を解いたりしてました。その後、羽生善治(当時七冠)ブームが巻き起こり、プロの将棋界が好きになりました。将棋自体は機会があれば、年に数回将棋を指す感じで、軽い趣味程度くらいでした。

その後、携帯のアプリで簡単にネット対戦で人と将棋ができるようになり、2020年に「よし、もう一度ちゃんと将棋を勉強しよう!」と思い立ちました。その後の昇級・昇段の履歴はこちらの通りです。

2020年2月 勉強再開、2級
2020年9月 1級昇級
2022年4月 初段昇段
2024年1月 二段昇段

初段に昇段してから1年10ヵ月で、将棋の勉強を再開して約4年で、二段に昇段することができました。以下、初段から二段の間に取り組んだことを紹介します。

突然のスランプと突然の復調

私が将棋を指しているのは主に携帯アプリの将棋ウォーズです。初段昇段以降、実力を確かなものにするために、まずは「月間棋力初段以上を3ヵ月継続する」という目標を持って勉強を継続しました。ただ、なかなか棋力が安定せず、実際には初段を下回る時期が続きました

2023年7月に、変な負け方をしたきっかけに、気持ちが入れ込んで、勝ち急いで負けが込むという悪循環。とうとう初段の達成率が0%になり、1級に降級してしまいました。

そこで、ようやく気持ちを落ち着けることができ、「こんなんじゃ絶対ダメ。もっと丁寧に将棋を指さないと」と切り替えることができました。

そこで、初段に昇段する時に意識した、詰め将棋と形勢判断の4要素に戻り、一局ずつを落ち着いて、丁寧に指すことにしました。

*形勢判断の4要素についてはこちらを参照

そこから8月、9月、10月と、棋力は一向に復活せず、初段を取った時の自分との違いもわからないし、初段を取った自分はどうやって将棋を指していたんだろう?ということもサッパリわからなくなっていました。

かなり自分への自信は失いつつ、「大事なことは丁寧に将棋を指すこと、気持ちを切らさないこと」と、肝に銘じて、AI解析を使った一人感想戦を含めて、基本に忠実に指し続けました。

また、私は居飛車党で、振り飛車対策を勉強していましたが、棋書を読み返すと忘れてしまっていることも多かったので、振り飛車対策の棋書をもう一度読み返して、改めて、序中盤の対策を勉強しなおしました。

それを継続していると、11月くらいから徐々に自分でも納得のできる内容の将棋が増えてきて、12月には7ヵ月振りに初段に復帰、月間棋力も1.5段に戻すことができました。

戦型の絞り込み

これは初段の時から取り組んでることですが、自分の将棋の戦型を絞っています。じっくり指す棋風ということもあり、基本は居飛車穴熊です。相居飛車では、相がかりの難しさがあり、角換わりを選択しています。

戦型を絞ることで、定跡や手筋を積み重ねることができるようになります。効用として、同じような局面が出てきたときに、相手はその局面に不慣れだけど、自分はその局面になれている、という状況を作ることができます。

将棋ウォーズのような短い時間の対局では、深く思考することもできないし、悩んで時間を使いすぎることが罪です。従って、慣れている局面であれば、早めに時間を切って、手を進めることがしやすくなります。

相手の狙いを想像する

ある時、こちらが居飛車穴熊、お相手が四間飛車という将棋で、相手の囲いが金無双を狙いに行くような組み方をしている時がありました。金無双は相振り飛車で使われる囲いなので、なにか違和感を感じました。

「あれ、なんかすごい変な形。なんだろこれ?」

ここで少し考える時間が取れたことが大きかったです。結果、相手の狙いが地下鉄飛車で端攻め一点集中を狙っていることが予想できました。そこで、こちらも端を強化すべく銀冠穴熊へ移行。お互い少し手数をかけて、地下鉄飛車対銀冠穴熊の構図ができ、こちらが完全に受け切り。完封勝利で終わりました。

この体験から、序中盤あたりで、相手のやりたいことを少し思考したり、想像したりすることの重要さや楽しさに気が付けるになりました。プロの将棋の世界で「棋は対話なり」という言葉があります。一局の将棋というのは、相手の人とのコミュニケーションという側面もあるというような意味です。もちろんプロレベルのコミュニケーションができているとは思いませんが、これまで以上に将棋のおもしろさを知れました。

手番を意識する

これまで、形勢判断の4要素の中で、手番の重要度というか、考慮の仕方がいまいちピンと来ていませんでした。ただ、初段・二段の方と対戦していると、終盤戦の一手差の勝負や、こちらが有利だと思っていたのに安全に指しているうちに気がついたら逆転している、ということが増えてきました。

そのため、特に中終盤において、手番を取るために工夫するということに意識が行くようになりました。例えば、大駒の交換なら、取られて取り返すと、手番が相手になります。これを、一歩犠牲にして、相手の大駒を引き付けて、こちらから取って、相手が取り返すこれならこちらが手番を維持できます。

もちろんいつもこんな風に進められえるわけではありませんが、ただ相手の狙いを甘んじて受け入れるのではなく、「何か策を講じることで、こちらの手番を取れるような工夫が無いか?」と意識できるようになった、というのが1つ成長を感じられたところです。

戦型別勝率の分析

こちらの戦型は固定をしていますが、相手の戦型はこちらがコントロールできません。相手の戦型ごとに、指しやすい、指しにくいがある気がしていて、相手の戦型ごとの勝率を分析をしてみました。具体的には直近150局の戦型と勝率のカウントです。

この分析の結果、最初にわかったことは、相手の戦型(こちらが持ち込んでいる状態も含め)は、2つの戦型で56%を占めており、またその56%で、6割近い勝率を出せているということでした。そこから、勝率が50%前後の勝率に落ちる戦型、やや負け越している戦形などが続いている状況です。

この分析からわかったのは、第一に、自分の得意・不得意がよく理解できたので、相手の戦型が判明した時点で、大まかな有利・不利になりそうな予想が経つので、戦局の展開に落ち着いて向かえるようになりました。

また、出現頻度が低く、負け越しが多い戦型(例えば、鬼殺しやアヒル囲いなどの奇襲戦法)に対して、「負けても仕方がない」という心境を持つことができるようになりました。奇襲戦法を多用してるお相手は、やはりその戦型に見慣れているため、局面に対する習熟度はお相手にかないません。奇襲戦法に負けると悔しい気持ちが倍増しますが、出現頻度が低い奇襲戦法に対策をしっかり立てるのは時間の効率は悪いので、ある意味で、こちらも対策するのを辞めました

また、出現頻度が中くらいで、勝率が悪い戦型について、対策を講じるかどうか悩みましたが、戦型別の対策は時間がかかること、1つの戦型への対策を講じても全体の勝率への寄与は軽微であることを考慮して、最後のひと伸びは終盤力の強化に集中することにしました。

終盤力強化

将棋は局面が序盤、中盤、終盤に大別できます。序盤は先ほど話した戦型とその研究がメインです。中盤は次の一手のような勉強方法になると思いますが、なかなか教本に出るような次の一手はなかなか出会わないもので、中盤の強化は勉強方法が難しいです。終盤は、まずは詰将棋ですが、そこから一歩進んだ速度計算の考え方、またそこに至るまでのアプローチを体系的に勉強するため、元奨励会員でアマ強豪「あきらっぺ」さんの「終盤のストラテジー」を熟読しました。

実は、こちらの書籍は初段になる前に購入して少し読んでいたんですが、結構内容が難しく、少し読んで止めていました。当時はその時間を3手詰め、
手詰めの練習に充てていました。改めて、二段に向けて伸ばしたいのが終盤と定まったところで、腰を据えて読み始めました

この書籍を読むことで、中終盤で、パーツ、パーツでぼんやりと頭の中にあった考え方や手筋を明示的な概念で捉えることができ、実践の中でも視点や観点を切り替えることで、より良いよい手が見える時がありました。

調子の波に乗って、一気に二段昇段

このレベルのアマチュアでも調子の良し悪しというのはあるんじゃないかなと思います。昨年夏~秋にかけて、ずっと調子の悪い期間が続いていましたが、11月下旬から少しずつ復調を感じ、12月~1月にかけて、確実に実力が伴ってきている実感と、先の手が読める冴えている感覚が同時に押し寄せてきていました。

「このタイミングに一気にあがりきりたい」という逸る気持ちを抑えながら、基本に忠実に、一局ずつ丁寧に指し、しっかりと振り返りをしながら臨みました。達成率が90%を越えてからの数局は、ラッキーが続いたこともあり、いつもは手こずる昇段戦まで含め、あっさりと二段に昇段してしまいました。

今とこれから

昇段後しばらくは、上がり下がりもありつつ、一時期は達成率が30%ほどまで上昇し、「二段の地力がついてきたかな?」と思うのもつかの間。2月からはまたスランプに落ち込んで、月間棋力も二段を下回る状態が続いています(涙)

学習の曲線は、右肩上がりではありません。上がっては下がり、踊り場を迎えたり、低調が長く続いて苦しいと思っていて、ある時、突然、成長を感じたりするものです。

これから何年かかるかわかりませんが、自分に過度なプレッシャーはかけないようにしながら、楽しく三段を目指したいと思います!

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