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『→CONTE NEW』

4年前に解散したお笑いコンビ・ビーフケーキが2日間限定で復活するとの噂を聞きつけ、ビーフケーキ単独ライブ2021「CONTE NEW」に行って参りました。

彼らを知ったきっかけは約10年前に初めて行った5upよしもとの寄席ライブ。そこで観た『ペペペドミア共和国』にどたまをぶち抜かれ、私の中でコント革命(詳細は割愛)が勃発。その後熱心に通えていた訳ではないが、それ以来特別な存在だった彼らが観られるということでチケットを取らずにはいられなかった。

細かい覚書や自己解釈は後で垂れ流そうと思うが、まず素直な感想としてこの単独ライブ観れてよかった本当に。
悲しみでしか寄り添えない悲しみがあるようにコロナ禍の非日常な日常を支えてくれるのはこういう存在だったなと思い出した。2020年の冬とかに観てたら途中で泣き崩れてたかもしれない。
もしまた単独をやってくれるのなら、そのときにはTシャツ以外のグッズでお願いしたい。


⚠︎以下はメモも取っておらず己の記憶力のみで書くネタバレ多少ありかつ自己満かつ自己解釈マシマシ記録となります。台詞を捏造してたり、曲も記憶を頼りに探したので間違えてたら教えて欲しいです。『』はコントタイトル、「」は台詞、口調はとてもうろ覚えです。あとすごい長い。

@神戸三宮シアターエートー
2021/11/14(日) 昼公演

最大100席程度の小劇場。前の2.3列は使用不可と思われるのでおそらく数十人キャパ。客席の床には葉っぱが散らばっており、客入り音楽も相まって森の中にきてしまったかのよう。
♪グノシエンヌ
開演5分前にはけたたましい着信音が流れ、電源を切れ音を鳴らすなという無言の圧。(解散前からの手法)

〜プロローグ〜
幕が開くと椅子と葉っぱでできた森のようなセット。ケルト民族的な音楽が流れはじめる。松「懐かしい感じがする」いつもの衣装と変わらない姿があった。近「おかえり、僕」パラレルワールドに迷い込んだような不思議な感覚になる。
初っ端から4年間の空白を示唆する台詞の数々。ゲームオーバーにならないとコンティニューできない。終わるから新しくはじめられる。こちら側もそれぞれに想いを馳せるような時間。
近「友達になろう」「お金貸して」「明日布団買いに行くから」の流れ、「明日布団買いに行くねん」は前述の『ペペペドミア共和国』でも使われるフレーズなので嬉しくなった。
松「僕はサーカスを待っていた」でOPV入り。在りし日の単独ライブタイトルはサーカスにちなんでいる。ぞわぞわ。ジュリエッタ藤本さん作のVは走馬燈みたいで良かった。

♪はじまりのまえ、おしまいのあと/未来古代楽団
♪フクロウ〜フクロウが知らせる客が来たと〜/KOKIA
OPV ♪ハートに火をつけて/小島麻由美(出囃子)


『穴』
既存ネタ。コントタイトル『ピアス』じゃないんだと思ったけど、ピアス“ホール”なのか。有名な都市伝説がベースになっている。演出の妙。もはや美しい。

『死体か何か』
最初からセットの一部だった女性がやっと関わる。あのまんまかと思った。 専門家じゃないから断定できないというコント。ヘラで返そうとするところ、好き。
「童貞ですか?」「私のこと触りました?」2人「え〜っと…」は唐突やな〜でその場では思考停止したが、童貞で女性の専門家じゃないから触ったかどうか断定できないっていうことなのか…とライブ後思い至った。難。

『バスを待ちながら』
タイトルはかの有名な「ゴドーを待ちながら」か。登場人物の印象ががらっと変わるコントは楽しい。カツ丼の上、カツ丼の下、カレーの横。寿司の下。『いざという時』の世界線と繋がっていそう。
(出前の)仕事を辞めたのは、近「楽しむため」。近「好きでいるためには趣味にするしかなかった」的なことを言っていた気が。

『コンテニュー』
“4年前に解散したコンビが復活”という自らの状況をフリにした大喜利。思いっきり振りかぶった上に皮肉のきいた回答でこのコントが1番単純に面白かったかもしれない。松尾さん(役)の倫理観どうなってんだ。
私は心が清らかでないので、今すんごいふってるな〜わざとらしい音楽かけるな〜と考えてたけど、人によっては涙したネタだったと思う。

♪拝啓、少年よ/Hump Back

『レディースデー』
これも既存コントのよう。異常者の人間味。近藤さんの書く異常な人は絶妙なズレで気持ちいい。

『いざという時』
シニカルでブラック。でもその通りなんだよな。万全に備えても死ぬときは呆気ない。
後味が星新一のショートショートの読後感みたい。(内容が似ているとかではなく)暗転後に飛び散った人と海鮮が見えた気がした。

『予定』
あまり人が股間を押さえてるところを見て良いことってないから、しっかり見てしまいました。
その場で足踏みしているようなやり取り。近藤さんは潮干狩りお好きなのかな。

『春子ちゃん』
ネタというよりエピローグ1というか、メッセージをコントに仕立てたように感じた。
“あの時僕は自分の1番好きだったものを殺して埋めた。今日それを 近「見つけてくれてありがとう」”みたいな。

〜エンドロール〜
(コントタイトルは此処から)

〜エピローグ〜
近「あの椅子に座りたいと思いますか(斜め上にある小さな椅子を指差す)座るには準備が必要です。道具だけでなく小さなお尻も必要です。」
松「自分の椅子を大事にしたい」近「だから私は座るのをやめた」「でも立つことはできる」異なる方向を見据えながら椅子の上に立つ2人。
大事なところなのにこれ以上まっっったく思い出せん。プロローグと同じか似た音楽が流れて閉幕。

拍手するのも躊躇われる空気感で明転を待つ中、また幕が開きお辞儀をするお二人。一同拍手。
近「(閉幕後)拍手ないとは思わんかった」松「いやあんなん難しいって近ちゃん」私(そうそうあの空気だと明転まで様子見ちゃうしそんなことより近ちゃんって呼んだやん…)高低差ありすぎて心臓に悪かった。
余韻をぶった切って現れたのは、余り倒したTシャツの宣伝のため。キャパに対して作りすぎなのでは…。本人的にはバツが悪かったかもしれないが、台詞なしに話すお二人も見れて嬉しかった。手短に宣伝し閉幕。明転。


ここまでものすごく長いけど、最後に単独を通したメッセージを超自己解釈すると、

ビーフケーキはあの時終わりました。今はそれぞれの場所で頑張っています。それはコントが嫌いになったわけじゃなくて、むしろ好きで居続けたかったからで、お笑い芸人というカテゴリの中で身を削ってまで上を目指そうと思わなかったからです。そして、一度終わったからこのようにまた始めることができています。皆さんがサーカスを待ってくれるなら、再結成のような継続的な在り方はしないけどこんな風にまたお会いしたいです。今日は見つけてくれてありがとう。

とまあこんな綺麗なメッセージが出来上がったけど、これがあってたとして、実は全部かっこつけのフェイクで本当はお金が欲しかったからですって言われても驚かないな。あんなコント作る人だし。またお会いしたい、これだけが本当ならそれで良いわ。こちらもこちらで日常を頑張るので、また遠くない日に会いに来てください。お待ちしてますから。



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