見出し画像

BTSと出会ったばかりの人の話〜花様年華〜



2020年8月、私はBTSに出会いました。


「Dynamite」という全編英語詞のひと昔前を思わせるディスコファンクのようなその曲は私に目の奥でパチパチとなにかがはじけるような衝撃を与え、暗く不安定な今の私の世界を明るく照らしました。

私がそうであったように多くの人に影響を与えたこの曲は、韓国アーティストで初めてBillboard HOT 100のTOP 1(9/5・9/12付け、10/3付けで1位に返り咲いた)を記録し、YouTubeのMVは現時点(2020/9/29)で4.1億回再生されています。




ここからは好きになったばかりの私が昔の彼らを観た漠然とした感想になります。にわかが許せない方はお戻りください。



BTS 「花様年華(かようねんか)」

2015〜2016年(デビュー3〜4年目)に発表された作品群で、ミニアルバム「花様年華 pt1」「花様年華 pt2」スペシャルアルバム「花様年華 YOUNG FOREVER」の3枚のアルバムで構成されています。
このシリーズは、デビュー当初HIPHOP色の強かったBTSがバラード調の曲を取り入れたり、音楽番組で初めて1位を獲得したり、彼らのターニングポイントとなった作品でもあります。

「花様年華」=「人生で最も美しい瞬間、青春」
(公式Twitterより)


青春というと明るく透き通っていて、三ツ矢サイダーやカルピスのCMみたいな爽やかさを連想しますが、花様年華の収録曲は多くが苦悩や脆さ、今に対する抗いを主題としています。また、花様年華シリーズのMVは仄暗く、自殺や自傷を思わせる表現が多く見られ、苦悩や悲しみの色を一層強くさせます。



話が逸れますが、一連のMVは設定やストーリーが繋がっており、後シリーズのMVでも設定を引き継いだストーリーや表現が使用されていて(今後も続くと思われる)、ARMY(ファンのこと)の間では様々な考察がなされています。



皆さんが青春のただなかにいる時、何もかも美しく楽しく綺麗で迷いや苦しみ、辛さはなかったでしょうか。人間関係や進路、挫折、先の見えない未来への漠然とした恐怖…彼らはその辛さや苦しさも花様年華 ー人生で最も美しい瞬間ー だとこのアルバムを通して語っています。

これは「辛さや苦しさに耐え忍べばいつか花様年華は来るよ」ではなく、「辛い瞬間さえも美しい瞬間の一部・少し視点を変えると今まさに幸せだったり花様年華であったりするものなんだよ」というメッセージだとリーダーのRMはライブのMCで話しています。(意訳要約を含む)

彼らは韓国で3放世代・5放世代・7放世代と呼ばれる非正規雇用による低賃金により様々なものを諦めてしまう若者が多くいる世代にあたります。私には、同じ社会を生きる人へ、音楽を通して自らの苦悩・社会に対する抗い・夢へもがく様を表現することで、「こんな僕らを美しいと思うのなら、共感するあなたも美しい。だからあなたも諦めないでよ。」という彼らなりのエールを贈っているように感じられました。


花様年華 pt.1収録曲の「DOPE」では、前述の3放世代・5放世代を歌詞の中に取り入れ、諦めることを薦める社会への反抗をHIPHOPに乗せています。


절대 마 포기    You know you not lonely
絶対に諦めるな お前は独りじゃないって知ってるだろ

너와 내 새벽은 낮보다 예뻐
お前と俺の夜明けは昼より美しい

So can I get a little bit of hope yeah
だから俺は少し希望を持てる

잠든 청춘을 깨워
眠っている青春を呼び覚ませ


「DOPE」は青春の儚さや脆さを主題としたメロディアスな曲が多い花様年華シリーズの中では、HIPHOP色が強く出ていますが、歌詞からはその根底に花様年華の精神があることを感じることができます。


私はHIPHOPに詳しくなければ、正直なところEDM系はどちらかというと苦手です。しかし、痛いほど若く、真っ直ぐな彼らの言葉には、誰かの光になるんだと思えるような力強さを感じます。

この光のような言葉と音楽は、私が「Dynamite」で世界を救われた感覚と似ていて、彼らは形を変容させながらもずっと誰かの光になり続けているということに感嘆するとともに、あの時から今まで花様年華であり続ける彼らをもっと深く知りたいと感じるのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?