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岡田以蔵(FGO)という男の人気について


7/6高知新聞に、Fate/Grand Orderというゲームに登場する『岡田以蔵』なる男が載った

少しばかりこのキャラクターの魅力について語ってみようかと思う

某ソーシャルゲームのプレイユーザーなら知る人も多いだろうが
このキャラクターはゲーム内の性能は最高ランクには遠いながら、かなり多くのユーザーの人気を得ている。
強いキャラクターを所持することが、ときに『人権』とまで呼ばれるゲーム内において、なぜ性能で一歩劣る『岡田以蔵』なる男が一部のユーザーに絶大な支持をうけるのか……?

今日はその一端を紹介してみようと思う。


彼のプロフィールについては割愛しよう。
そこは、彼の魅力とは直接関係がないのだから

略歴で語るならば、岡田以蔵は幕末の日本で活躍した剣客であり、その活躍は一言でいうならば『人殺し』である。

一方で、ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』に登場するキャラクターの多くは英霊と呼ばれる、かつての英雄の写し身であり
その伝説も華々しいものが多い。
悪竜を退治し、多くの冒険をこなし、祖国を救い、邪悪な王を成敗し、数多の命を救い、歴史を塗り替える。
あるいは、国を滅ぼし、拷問で多くの子女を酷死させ、吸血鬼と呼ばれ、おびただしい人間を奴隷として落とした邪悪な反英雄もいる。

だが岡田以蔵という男は、そんな多くの英雄がもつ華々しい活躍や、人を理想を抱く英雄たる『輝き』を、あるいはおぞましい『闇』彼は持たない。

彼のクラス(職種のようなもの)は アサシン(暗殺者)なのだが……
彼は登場時に『アサシン? 勘違いすな、ワシのクラスは『人斬り』じゃ』と言い、ニヤリと嘯(うそぶ)く。
モンスターや、魔獣、人でない英霊も存在する中で、あくまで自分はアサシン(暗殺者)ではなく『人斬り』だと豪語するのだ。
まるで……『自分は人斬りしかできない』とでも語るように

事実、彼は幕末の京都で人斬りとして恐れられた剣客であり、その活躍は天誅(倒幕派側の暗殺)に限られる。
人を斬ることで『のみ』活躍した男であり、勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、吉田松陰、高杉晋作のように『時代』を左右した人物ではない。英傑ではなく、あくまで人斬りなのだ
そのことは本人も分かっており、自らを『それしか出来なかった』と自嘲するような言動を取ることがある。

しかし、人斬りしか出来なかった彼は自らを嗤うものを許さない。
『剣』しか誇れるものがなかったゆえに、必死にそこに誇りを見出そうとしていたようにも見えて、そこがひどく人間臭く感じるのだ。

自らを『剣の天才』と自称する不遜さをもちながら、それしか出来ないことを卑屈さを感じさせる
おちぶれた後は仲間から見捨てられたため、『誰も信じない』『裏切れば殺す』と口にする一方で、かつての幼馴染であった坂本龍馬に食って掛かるも、どうしても憎みきれずにいる。
英雄のように割り切ることも、悪逆の徒のように躊躇なく殺害することもできず、苛立ち、吠えながらも、最後の一歩で踏みとどまってしまう。
また人質をとったり、奇襲をしたりと、とても英雄とは呼べないような行動を取ることもあり、その悪辣な手段が『英雄』の逆鱗にふれてひどい目に合う。
そのあまりの小物さ、いいかえれば『普通の人間らしさ』が岡田以蔵のという男の魅力なのだ。

剣術しかすがるものがなく、幼馴染である坂本龍馬のような時代を確変するほどの力がないことを自覚し、人斬りという行為に手を血で染めながら悪に染まりきれず、仲間や恩師に裏切られながらも人への情を捨てきれず、傲慢な態度で自らの卑屈さを隠そうとしている。

そんな『剣術に秀でただけの一般人』という親しみやすい普通さが、彼の愛されるゆえんであり、人気の秘密である。

むろん、ここでは語りきれない魅力もまだあり、明かされていない物語もあるため
新聞の一面で興味をもった人は、このキャラの魅力に触れてみるのもありだろう。
ただし、ガチャ(課金要素)はかなり渋いので控えめに

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