見出し画像

ステロイド薬(デキサメサゾン)を突然使わなくてはいけなくなったあなたへ

こんにちは~

寒い日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の話題には、少々辟易されている読者の皆様も多数いらっしゃることと思いますが、もうしばらくは我慢してつきあっていくしか無さそうですね。

というわけで、本日は新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の患者の皆様を診療されている、医療提供者の皆様向けのノートです。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~は、呼吸不全の程度に応じて重症度および治療方針の目安が設定されております。

その中で、中等症~呼吸不全により酸素投与が必要なCOVID-19肺炎症例~には、デキサメサゾン錠などのステロイド薬の投与が必要となる場合があります。

現在、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~で入院が必要な症例が急増しているため、必ずしも呼吸器や感染症の専門ではない医師が非専門家として診療に従事されている状況が多くの医療現場で発生していることでしょう。

そこで、本ノート記事では、普段ステロイド薬の処方をあまりされていない医療提供者向けに、最低限のステロイド投与時のチェックポイントをお伝えいたします。

ポイント①B型肝炎HBV
・血液検査で以下を検査
 ・HBs抗原
 ・HBs抗体
 ・HBc抗体

上記結果に応じて、日本肝臓学会「B型肝炎治療ガイドライン~免疫抑制・化学療法により発症する B 型肝炎対策ガイドライン」に従って対応する。

ポイント②血糖管理
・入院時、HbA1c,血糖値等考慮し、ステロイド投与により血糖上昇、耐糖能異常などを検討。適宜、食事療法、薬物療法(インスリン、血糖降下薬等)を調整。

ポイント③結核
・病歴:患者本人に既往のみではなく、結核患者接触歴も確認
・入院時胸部画像:CXR、CT:結核を示唆する所見がないことをチェック
・IGRAs:Interferon-Gamma Release Assays~(インターフェロン-γ遊離試験
 ・必要があれば以下の検査を検討
  ・T-SPOT.TB
  ・クォンティフェロンTBゴールドプラス
 上記陽性であれば、潜在性結核感染症治療の対象となるかどうか専門家に相談を!

上記サイトに潜在性結核感染症関連の役立つ指診・提言が掲載されております。ぜひご参照ください。

④消化性潰瘍予防の必要性
 ・必要があれば、以下処方検討
  ・胃粘膜保護剤:レバミピド(ムコスタ®)など
  ・胃酸分泌抑制薬:プロトンポンプ阻害剤PPI、H2受容体拮抗薬

以上が、最低限、ステロイド薬処方開始時に、本ノート執筆者が必要と考えるチェックポイントです。

しかしながら、デキサメサゾンを含むステロイド薬の副作用は極めて多彩です。

ですから、処方経験の乏しい医療提供者は、一度は処方しようとしているステロイド薬(デキサメサゾン~デカドロン®等)の添付文書を全項目読んでください!

そして、これらのステロイド薬の予想される副作用や注意点について、これからステロイド(デキサメサゾン等)を処方される患者の皆様に説明することも大変重要ですね。

今回は、突然デキサメサゾンなどのステロイド薬を処方しなければならなくなった医療提供者向けの、必要最低限のステロイド薬処方開始時の注意点をお話しいたしました。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~患者の皆様の診療のお役に立てましたら幸いです。

おまけ~ニューモシスチス肺炎予防について☆彡

新型コロナウイルス~COVID-19肺炎~重症例で、長期のステロイド投与が必要と想定される場合
ニューモシスチス肺炎予防として以下の薬剤を①⇒②の順番に検討を!

①ST合剤(バクタ®・バクトラミン®など)
②アトバコン(サムチレール®)


ニューモシスチス肺炎の予防・治療効果ともに①ST合剤が優れているため、①ST合剤が副作用等なんらかの理由で処方困難な場合に、第二選択薬として②アトバコン(サムチレール®)を検討することがポイントとなります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?