ロシェル・カップ氏が原告団長の神宮外苑再開発認可取消訴訟が昭和の左翼市民運動になっている問題を指摘する2裁判の原告適格の問題

この神宮外苑再開発認可取消訴訟で勝つのが難しい理由は、原告訴訟代理人の山下幸夫弁護士が、神宮外苑再開発反対の訴訟をやっていない事だ。
その問題を指摘する。
過去の他の開発反対訴訟判例になぞらえようとするだけだから、原告適格に説得力がなく、メインの議論は重大な間違いがあり、後は権威依存だから情けない。

まず原告適格が、あまりに弱い

神宮外苑再開発認可取消訴訟の原告は2種類ある。

  1. 近隣住民として都営北青山一丁目アパートの住民の原告団。再開発による生活環境の悪化が理由

  2. その他の原告。景観利益を守る事が理由

これが問題になる理由は、行政訴訟は、原告適格が厳しい
行政訴訟法第9条の「「法律上の利益」を有する者に限り提起することができる。」が、再開発関係でいえば、地権者と解釈されてきた。この慣例を打ち破ったのが、「小田急高架訴訟の最高裁判決で、小田急の路線を高架化する事業に対して、沿線住民が生活環境が悪化するとして事業認可取消を訴えたのだが、まず原告適格だけで最高裁に行って、最高裁でようやく原告適格が認められた。まあ確かに誰が考えても、沿線に家を持つ方々は大変だろうと想像できる。ただちなみに結局裁判には勝ててない。

で、この社会性がない山下弁護士は、とにかくこの判例に合わせて、原告適格を認めさせようと、近隣住民を原告にした積りなのが、1である、

1 原告の近隣住民:都営北青山アパート住民

準備書面1では、この近隣住民が、神宮球場が近づく事でどれだけ騒音被害を受けるか。高層ビルが建つ事で、どれだけ風害を受けるか。
ちまちま大量に書いてる。

なんだけれど、少し距離があるのですよ。
それに都営青山一丁目アパート住民って、あの緑に囲まれた超一等地の綺麗な建物に安い賃料で入居している超特権階級の賃貸住民。都民アパート枠はまだそこそこ賃料払っているけれど、都営アパート枠は、減免制度で家賃半分以下の家賃の入居者がいる。

もちろん賃貸住民も生活環境の権利を主張できるが、一方で、より近いところにビルオーナー等土地所有権を持つ住民がいる。生活環境被害を言うならこちらの方がより近くて重大なのに、こちらは無視。

ビル風や騒音論点でいえば、青山通りの向かい側ビルオーナーたちの方が直にビル風受ける。神宮球場の騒音で言えば、外苑前駅近くやスタジアム通り側のビルや一軒家の住民の方がずっと近い。国立競技場は千駄ヶ谷に接している。

で・も、社会性が欠落した山下弁護士は、青山通りや外苑前のビルオーナー、神宮前の土地持ちや千駄ヶ谷の高級マンション所有者といった資産家層には、声をかけない。
思考停止で、自分達が「こんなもの」と考える「普通の」人たちが被害を訴える「市民運動」パターンに落とし込む事しか、出来ない。
ここに、昭和左翼市民運動家の餌になった、神宮外苑再開発認可取消訴訟の残念さが集約されている。

まあこの山下とかいう社会性が欠落した昭和左翼弁護士の主張通りに、あんなに距離がある一部の(家賃が安い)都営住宅居住者の、ちょっとでもうるさいの嫌、とか、ビル風が増えるの嫌、で原告適格が認められたら、東京都心なんて既に高層ビルはあちこちにあり、特区法でこれから都心で更に高層ビルを建てまくるの計画、全部止められる。

ちなみに私も長く千駄ヶ谷2丁目の国立競技場近くに住んでていたから、知っているけれど、確かにイベント開催時はワーの歓声やらずんと響く音楽やらスゴイけれど、断続的。大抵夕方から始まり2-3時間で終わり、その中で断続的。開催もそう頻繁でもないし、後はとても静か。だからトータルでは静かな街で、街の住民は都心では貴重なこの静かさを愛していましたよ。


2 他の原告適格

国立マンション訴訟になぞらえようと、の景観条例と景観法を持ち出して景観利益など主張しているのだが、神宮外苑の論点に合致せず、いかにも弱い。ちなみに国立の訴訟で、結局住民は負けている。

その他の原告団は、神宮外苑の木を守るために、ロシェル・カップ氏の呼びかけに賛同した方々である。なのに、それが景観利益なのだろうか?ここをきちんと論じられないところが、本当にどうしようもなく昭和左翼の住民訴訟の残念さである。

いや、神宮外苑の森と広場が全部なくなるというなら、この論もあり得るのだが、この再開発では、相手は

・木を切った後また木を植えて増やす
・広場公園はまたほぼ同じように整備する(だったらやるなといいう話ですが)

と言っている訳です。つまり、景観利益は復元されると言っている訳です。

それを神宮外苑の歴史的経緯だの高層ビルが目障りだの、日陰で木が育たないだの言っているけれど、いかにも左翼の屁理屈。

どうして「今ある木を切った後でまた木を植えて増やす」ではダメで、「現在の木を切るべきではないのか」を説明できない。ましてや、再開発をすべきではないかも、説明できない。

相手は、
・再開発が必要です。そうでなければ神宮球場と秩父宮ラグビー場の建替え費が捻出できないのです。
と言っている。この主張を崩す事を言えない限り、勝てるわけがない。だいたい高層ビルなんて、これから都心にどんどん建つ。
私もロンドンのハイドパークの入り口に高層ビルが建つなんてあり得ない、と言いたいが、ニューヨークのセントラルパークを思いうかべれば、高層ビル沢山ある・・・となる。


本来は、どうして「今ある木を切った後でまた木を植えて増やす」ではダメで、「現在の木を切るべきではないのか」を説明できない。ましてや、再開発をすべきではないかをもっともっと丁寧な本質議論が必要なのです。
(これは後で述べます)


こんな調子だからもちろんメインの論調も残念の塊。これは次回に。。

p.s.

ちなみに私がこの山下弁護士を社会性が無いと言っているのは、誹謗中傷ではなく、実はその少し前に話を聞こうと連絡を取って、(標準的な弁護士相談料まで支払って)お会いして話をしての、実感想です。
60歳過ぎらしいが、「他人に対する気遣いゼロ、平気でその場誤魔化しを沢山言う(嘘ともいう)、雑談ばかりでプロフェッショナリズムゼロ。」昭和の価値観のままに勉強をして資格を取って更に勉強をすれば偉くなれる事を信じて、そうした必要性を感じた事もないまま来てしまった人なのかな・・・という印象の人物である。この人との会話は、

例えば執行停止の方が最高裁で棄却されたが、一人だけ差し戻しと反対意見をつけた事に対して、
「東大の行政法の偉い先生が認めてくださったのですよ」
「だから?」
「東大の行政法の権威の方ですよ!!!!!」(全力を込めて)
・・・・最高裁裁判官は北朝鮮なのだろうか?
てな感じ。これを誹謗中傷で訴訟するならどうぞ、です。こちらも問題をいくらでも具体的に主張します。

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