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【ヒュージ・リーダーズ】バイバイバババーン【略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother】
はじめに
ひとはさまざまの理由から旅に上るであらう。或る者は商用のために、他の者は視察のために、更に他の者は休養のために、また或る一人は親戚の不幸を見舞ふために、そして他の一人は友人の結婚を祝ふために、といふやうに。人生がさまざまであるやうに、旅もさまざまである。
(三木清『人生論ノート』より)
「旅について」と題されたこの章段の書き出しはマジックにも通ずるところがあると思います。
デッキに求めるものは人それぞれ。
勝利を求める者がいれば、体験を求める者もいる。そしてそれらの間に優劣はありません。
主席デザイナーMark Rosewaterがたびたび「マジックは単一のゲームではなく、ルール・システムとカードプールを共有した、さまざまなゲームの集合体だ」と述べているのもその証左でしょう。
5マナ以上のカードしか使えない統率者戦であるヒュージ・リーダーズもそのひとつ。
その中でもガチを追求したcヒュージ(ついにcヒュージ勢の記事が公開されました)からカジュアルなものまで、それぞれの目的に沿ったデッキが組まれています。
マジックの遊び方は実に多様で、本当に面白いですね。
…………
……………………
はい。
そろそろ皆さんの心にも多様性の素晴らしさが沁み渡ったと思うので、今回のデッキの構築理由についてお話しします。
デッキ名が面白くなったので組みました。
弁解
いやいくらなんでもいきなり「バイバイバババーン」という文字列が浮かんできたわけではないんですよ。
はじまりは『イニストラード:真夜中の狩り』のカードからヒュージ戦士を探していたときでした。
私の目に止まったのは《収穫祭の襲撃》。
最大10マナを踏み倒せる強力な効果であり、ヒュージのカンパニーというべき注目カード。
これを最大限活かしたデッキをいろいろ考えていたのですが、その中で目に止まったのが《略奪の母、汁婆》でした。
《略奪の母、汁婆》はインスタント・ソーサリーに共謀というキーワード能力を与え、クリーチャー2体をタップすることで呪文をコピーできるようにします。
10マナ踏み倒すのは強いので、20マナ踏み倒したらもっと強いのは当然ですね。
そこでシナジーするカードを探すうち、突如として私の脳裏に稲妻(禁止カード)が去来しました。
「汁婆でバーンスペルコピーすればバババーンじゃん!!!!」
正直すでにもっとイケてる《収穫祭の襲撃》デッキは2つ考案されていたのですが、バババーンの破壊的な語感には勝てずデッキを練り上げるうちにバイバイ要素が発見されたのでバイバイバババーンになりました。
以上です。
デッキ
統率者
略奪の母、汁婆
クリーチャー(11)
ぬいぐるみ人形
無作法な挑発者
峰の恐怖
アルゴスの守護者、ティタニア
ザル=ターの古きもの
トヴォラーの猟匠
乗り込み部隊
甘露のイトグモ
東の樹の木霊
豆の木の巨人
頂点壊滅獣
ソーサリー(8)
約束の刻
収穫祭の襲撃
セルヴァラの暴走
突飛な挑戦
無謀な挑戦
絶滅の星
歪んだ世界
冒涜の行動
インスタント(3)
路傍+瓦解
火炎破
紅蓮操作
アーティファクト(2)
金粉の水蓮
紅蓮術師のゴーグル
エンチャント(6)
ケイラメトラの指図
双子神の指図
複視
焦熱の解放
戦嵐のうねり
太陽鳥の祈祷
プレインズウォーカー(1)
世界を揺るがす者、ニッサ
土地(18)
古えの墳墓
統率の塔
モスファイアの谷
火の灯る茂み
落石の谷間
グルールの芝地
ドワーフ都市の廃墟
ヘイヴンウッドの古戦場
成長の揺り篭、ヤヴィマヤ
無限地帯
溺墓の寺院
死者の原野
山 2
冠雪の山 2
森
冠雪の森
何がバイバイなのか
①:マナが倍
《略奪の母、汁婆》は出したあと呪文を唱えて初めて仕事をするカードです。
除去されては元も子もないため、汁婆を出したターンに呪文を唱えるために《ケイラメトラの指図》のようなマナを倍にするカードを採用しました。
②:ダメージも倍
このデッキはバーンデッキです。
ヒュージの世界でも通用する高火力を求め、ダメージも倍にすることにしました。
《焦熱の解放》ならなんと3倍です。サンバイバイバーン。
③:倍×倍
バーンデッキとは書きましたが、ヒュージでは盤面を捌きながら隙を見て本体に火力を撃ち込むような立ち回りは基本的に不可能です。
そこで、ヒュージらしく盤面と本体にまとめて火力をブチ込む手段として《ぬいぐるみ人形》と《無作法な挑発者》を採用しました。
この2枚はダメージを受けると対戦相手に同じ点数のダメージを飛ばします。
これにより、全体除去を本体火力としても扱えるほか、壁としても活躍します。
さらに、ダメージを受ける→ダメージを飛ばすという処理の仕様上、2度ダメージを倍にする置換効果を適用できます。
「ぬいぐるみ人形をタップしたら9点飛んだ」などが発生するので激アツです。
④:Bye Bye
汁婆はコピーした呪文のせいでよく退場します。
バイバイ婆。
…………ということで、このデッキはバイバイに満ちています。
実戦ではこれらのバイバイをうまく組み合わせ、勝利を狙っていきましょう。
特筆すべきカードたち
・《歪んだ世界》
このデッキの最終兵器です。
要するに全てのパーマネントをデッキに戻し、同じ枚数をデッキからめくってパーマネントを場に出す、というスペルです(PWは出ない)。
もともとデッキ全体がパーマネント数で有利を取れるような設計になっているのですが、トークンも数える性質上《略奪の母、汁婆》との相性は抜群。
めくれるカードはランダムではあるものの、コピーして2回めくれば大抵すごいことになります。地味に《ぬいぐるみ人形》の対象を選び直せるのもえらい。
制御できないので不安定に思えるかもしれませんが《峰の恐怖》《東の樹の木霊》などがめくれれば十分勝ててしまいます。
皆さんも混沌に身を任せましょう。
・《路傍+瓦解》
《路傍》はおなじみの加速スペルですが、このデッキでは《瓦解》も本体火力として勝ち手段になりえます。
《歪んだ世界》で出した土地はアンタップインなのを利用してポンと一人倒せたりします。
・《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》
《収穫祭の襲撃》を撃つ色マナの確保で入れてありますが、なるべく置くタイミングは遅らせましょう。
ヒュージでは枯渇ランドや《古えの墳墓》からデメリットなしでマナを出せるようになるのが響く可能性がかなり高いです。
特にこのデッキはバーンデッキなので、相手のライフを削れる要素はなるべく残しましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
このデッキは坊主めくりやダイスなどランダム要素で盛り上がれるのが非常に楽しいです。
パーティゲームとしてのヒュージを遊んでみたい方、とにかく普段と違う体験ができるのでオススメです。
発生した事故としては
・《歪んだ世界》でめちゃくちゃパーマネント数の有利を取ったはずが相手の盤面に《極上の血》と《血なまぐさい結合》が揃っていた
・《無作法な挑発者》を出したら相手からも挑発者が登場し、APNAP順ルールの都合上全体火力が撃てなくなる
・《ケイラメトラの指図》置いたら《パリンクロン》出てきた
などがあり、どれもめちゃくちゃ笑いました。自分で書いていてなんだが愚かすぎる。
まだまだヒュージにはいろいろな可能性がありますね。
今後も何か見つけたら記事にしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
そしてコマンダーサミットで対戦させていただいた皆様、ありがとうございました。
24名も参加する大盛況でしたが、対戦できなかった方もたくさんいらっしゃるので、いつかお相手できればと思います。
それでは、またどこかのヒュージな世界で。
バイバイ!
勧君金屈巵 コノサカヅキヲ受ケテクレ
満酌不須辞 ドウゾナミナミツガセテオクレ
花発多風雨 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
人生足別離 サヨナラダケガ人生ダ
――于武陵「勧酒」と井伏鱒二による訳
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