大阪のおばちゃんとマッチ売りの少女

 ひょんなことから中世のヨーロッパにタイムスリップした大阪のおばちゃん。そこへ、みすぼらしい格好をした少女がやってきて、おばちゃんに声をかけた。
「あのお、マッチはいりませんか?」
 おばちゃんは面食らった。
「あんた、まさかマッチ売りの少女か?」
「そうです」
「このクソ寒いのに大変やねえ」
「ええ。マッチを買っていただけないでしょうか?」
「うちが買うてやるのは簡単や。せやけど、それやと根本的な解決にならへん!」
「では、どうすれば?」
「半分ろうそくや!」
「え?」
 商魂たくましい大阪のおばちゃんは、当時まだ概念のなかった「セット販売」を少女に教えた。
「ええか? あんたも客の身になって考えてみい。暗い部屋でパッとマッチすって、パッとろうそくにつける! そしたらパーっと部屋が明るくなる! どや!」
「はい、セットで買いたくなりました!」
 おばちゃんのおかげで、マッチとろうそくのセットは飛ぶように売れ、少女は幸せに暮らしましたとさ。
 

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