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パロディ(2022/06/20月)

こんにちは。

まずはこのやり取りをご覧ください。

A「はは。『ザ・エンドってね』。」

B「いやそれを言うならザじゃなくてジだろ」

C「いや、アニメネタ的には『ザ・エンド』でいいんだよw」

うわぁ~!!!モヤモヤする!

これは私がとある場所で目にしたやりとりです。(とある場所、とは言いましたが、インターネット上のチャットでのやり取りです。見たところ彼らは面識のない他人同士のようでした。)

流れとしては、Aが「ザ・エンドってね」のミームを引用して発言したのに対し、そのミームを知らないBが英語の発音としては「ジ・エンド」の方がふさわしいということを指摘。それを聞いたCが「ザ・エンドってね」がミ
ームであることを補足するというもの。

私はこのやりとりの渦中の人物ではなく完全に無関係な第三者なので、こんなことを言うのはおこがましいのかもしれません。
それでも、無礼を承知でひとつだけ言わせてください。

Cさん、「ザ・エンドってね」はアニメネタじゃないよ!!

あえてここで詳しい内容には言及しませんが、「ザ・エンドってね」はアニメ発ではなくインターネット発のミームなのです。
他人の会話に首を突っ込んで訂正するわけにもいかないのでその場では静観していましたが、やっぱりもどかしい気持ちになってしまいました。

Cがこれをアニメネタだと思ったのは、おそらく(というか十中八九)『ポプテピピック』の影響でしょう。
当作品は、大物声優たちが毎回かわるがわる同じキャラクターを演じ、パロディを盛り込んだシュールなギャグを繰り広げるというテレビアニメです。
当作品のパロディギャグには、有名なゲームやアニメのネタのみならず、インターネットから始まりインターネットで完結するような「ネットミーム」も含まれていました。その中にはもちろん「ザ・エンドってね」も含まれている。

Cは「ザ・エンドってね」というミームを知らない状態で『ポプテピピック』を視聴したために、その文言が『ポプテピピック』のオリジナルギャグだと思ってしまったのでしょう。

私は決してパロディギャグのことが嫌いなわけでありません。むしろかなり好きな方です。
『ポプテピピック』における「ザ・エンドってね」のパロディギャグに関しても、私は元々このミームを知っていたので、「へえ!こんなのもパロディしちゃうんだ~」と関心しながら楽しく視聴していました。

しかし、『ポプテピピック』で採用される以前の「ザ・エンドってね」は、そこそこ古いネタだったこともあって、そこまで知名度が高いわけではありませんでした。
『ポプテピピック』というアニメと「ザ・エンドってね」というミームとの知名度の差があまりに大きかったために、先程のやり取りにおけるCのように、一部の視聴者にネタの出どころを誤解させる結果となってしまっているわけです。

パロディギャグは、元ネタを知っている人にとっては面白い物に違いありません。しかし、元ネタを知らない人が見てしまった場合に、オリジナルのギャグだと勘違いさせてしまい、悪意なくネタの「孫引き」をさせてしまうリスクが大いにあります。

ミームになるようなネタの出どころが曖昧になってしまう事態は、著作者の権利や文化の保護の観点から考えれば、あまり喜ばしいことではありません。
(まあ今回の件に限って言えば、「ザ・エンドってね」というセリフの背景にあるろくでもない事情を踏まえれば「著作者の権利や文化の保護」なんて文言は相応しくないような気もしてしまいますが…。)

今回の件で、パロディを行うこと自体の是非を問うつもりは全くありません。むしろ創作なんてよほどのことをしない限りは好きにやるべきだと思っています。

しかし、パロディギャグは相応の社会的・文化的リスクを伴う諸刃の剣でもあるということはきちんと理解していてほしい。(というか、それをきちんと理解した上で楽しむように心がけていたい、というのが本心かも。)

この文章自体「だから何だ?」というような内容でしかないでしょう。
私はただ、ひとつのパロディギャグを発端として「風か吹けば桶屋が儲かる」的に元ネタが軽視されてしまうようなことが起こりうること、そしてそれによって何らかの文化的損失が生じるかもしれないということへの不安を言語化したかっただけなのかもしれません。

面白いものが誤解なく評価され続ける世の中であって欲しいな。


THE END

最後までご閲読いただき
ありがとうございました


ポプテピピック二期なんてやるんだ。リンクを貼るために公式サイトにアクセスするまで知らなかった。

美味しいご飯を食べてあったかいお風呂に入ってぐっすり寝ろ