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【Project Focus】災害を乗り越えてきたトンガ・日本両国の経験・知見を未来につなぐ< 情報収集・確認調査 >

プロジェクト名:トンガ 火山噴火及び津波被害に対する災害復興事業形成に係る情報収集・確認調査
コンサルティング:株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル


 太平洋の島国トンガの海底火山(フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山)が、2022 年 1 月、大規模な噴火と津波災害を引き起こした。沿岸部では建物の倒壊や浸水、交通インフラの損壊、火山灰による農作物のダメージなど甚大な被害があった。トンガ政府は「フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山噴火とトンガ津波復旧・復興計画 2022-2025」を打ち出し、日本を含む海外からの支援を受けながら、被害を受けた護岸や船着き場、道路、公共サービス施設の復旧を進めてきたが、離島や観光施設はまだ多くが手付かずの状態で、移転を余儀なくされた人々の生活再建や農漁業を含む産業振興はこれからだ。
 コロナ禍で渡航が制限されるなか、日本は災害発生後、ただちに国際協力機構(JICA)を通じ、国際緊急援助隊と自衛隊を派遣。2022 年 2 月には、噴火と津波のメカニズムや想定される災害規模を科学的根拠に基づき検討する有識者会議を立ち上げ、トンガ政府関係者とウェブ会議を重ねてきた。
 そして同年 4 月から「火山噴火及び津波被害に対する災害復興事業形成に係る情報収集・確認調査」を進めた。調査は、以前よりも強靭な国家・社会をつくる“より良い復興(BBB:Build Back Better)”というビジョンの下、両国の経験・知見を生かした復興を目指す基礎となるもので、省庁へのヒアリングやドナーの支援状況、津波被害の大きかった地区や離島の状況、地理空間データ(GIS)などの情報収集を実施。調査を担当した(株)オリエンタルコンサルタンツグローバルの小竹明夫氏は「繰り返し自然災害を乗り越えてきた日本とトンガ。相互の経験・知見を生かした BBB ビジョンを実現していきたい」と語る。
 災害の多いトンガにおいて、予めリスクを把握し、災害による被害を少しでも減らすための取り組みが始まっている。

津波で破損した石積み護岸
津波で破壊された橋
屋根の高さの津波を受け壊れた銀行(エウア島)
津波の直撃で床以外が流出したホテル
建設中のモデル高床式津波ハウス

本記事掲載誌のご案内

本記事は国際開発ジャーナル2023年9月号に掲載されています。
(電子版はこちらから

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