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【特集:島しょ国プロジェクト】観光業の発展で急増した廃棄物に対応 海の美しさを守ることにも配慮

パラオ:パラオ廃棄物処分場建設計画

株式会社 建設技研インターナショナル


廃棄物処分場建設で自然を守る
 人口約2万人の島しょ国であるパラオ。サンゴ礁をはじめとする豊かな自然が主要な観光資源であるが、観光客の急激な増加と観光産業の発展に伴い廃棄物が増加し、適切な管理および環境負荷の最小化は緊急の課題だ。台風被害による災害廃棄物も増加しており、コロール州にある廃棄物処理場の容量は既に限界を迎えている。
 本プロジェクトは2017年4月~21年11月にかけて実施された日本の無償資金協力事業で、「準好気性埋立」を採用した新たな廃棄物最終処分場をバベルダオブ島アイメリーク州に建設し、維持管理に必要な関連機材の整備を行った。この処分場はパラオ側が要望する27万3,800㎥以上の埋立容量を有し、20年分以上のごみの埋立期間を確保するものである。

パラオ・コロール島の中心街
処分場埋立地内掘削の様子

土砂の流出を防ぎ、海を守る
 
処分場の容量確保のために地山を掘削したところ、周辺を構成する大量の赤土の残土が露出。過去に実施された別の工事において、土砂が付近の河川に流出し、海が赤く変色してしまったことがあり、工事中はこの赤土を絶対に工事敷地外へ出さないことが求められた。対策として、赤土の下流への流出を阻止するための土砂溜りや流出防止ネットなどを設置し、同時に工事現場下流の河川において毎日水質検査を行い、土砂流出がないかをモニタリングした。
 「透き通るような海の美しさと魚の格別な美味しさは今でも忘れることができない」と建設技研インターナショナルの前田剛和氏。同社はパラオの生命線である美しい海を守ることにも大きく貢献したといえるだろう。

処分場完成時全景(2020年11月)
竣工式にはパラオ日本大使館とパラオ大統領も参列
パラオ島々(無人島)

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本記事は国際開発ジャーナル2024年9月号に掲載されています
(電子版はこちらから)

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