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<論文>コロナの後遺症に対する展望

Long-term consequences of COVID-19: research needs
Lancet Infect Dis. 2020 Oct; 20(10): 1115–1117.
doi: 10.1016/S1473-3099(20)30701-5

COVID-19の発症から数週間から数ヶ月も苦しみ続けている人がいる。発症から95日目に「3時間以上休まずにベッドから起きていることができず、手足に唐辛子を注射したような違和感がずっとあり、耳鳴りや断続的に頭のぼーっとした感じ、動悸や激しい気分変調がある」という者もいる。

COVID-19からの回復後(診断後からの中央値71日)の100人中78人に心血管MRIで異常所見があり、そのうち36人に呼吸困難と異常な疲労が報告された。これらの患者は、重症(集中治療後症候群)から回復した患者だけでなく、軽症や中等症だった患者も含まれている。

COVID-19から回復後の長期的な症状
・極度の疲労
・筋力低下
・微熱
・集中力低下
・記憶力低下
・気分変調
・睡眠障害
・頭痛
・手足の針のような痛み
・下痢・嘔吐の繰り返し
・味覚・嗅覚の喪失
・咽頭痛や嚥下困難
・糖尿病や高血圧の新規発症
・皮疹
・息切れ
・胸痛
・動悸

伝染性単核球症、麻疹、B型肝炎など他のウイルス感染の後にも稀に長期的な後遺症が残ることがある。 SARSの生存者でも長期的な影響が観察されたが、COVID-19に適用できるかどうかは不明である。 まだパンデミックの途中であり、症状経過と予後について尋ねられても、患者に何を伝えるべきかははっきりしていない。

研究によって答えることができる質問のリスト
・長期症状にはどう対応すればいいか?理学療法?栄養療法? 薬物療法?
・何人が集中的な介入を必要とするか?それは役に立つか?
・何人が長期的な後遺症に苦しむのか?そしてどのような後遺症か?
・どのくらい後遺症が続くのか?
・急性期の間にどの患者が長期的な後遺症を残すか予測できるか?
・後遺症を予測する急性期の特徴はあるか?危険因子となる基礎疾患は?
・後遺症の予防(または増悪)に関連した急性期の管理戦略はあるか?
・再感染はするのか?
・社会的距離や長期隔離はどのような影響があるのか?
・免疫学的反応の時間経過は?後遺症のない患者との違いは?
・特定の後遺症に関連した免疫学的パターンはあるか?
・長期症状は感染症や炎症で説明できるか?
・凝固亢進で説明できる症状はあるか?
・長期症状に遺伝的な要因はあるか?

これらの研究には国際的かつ学際的なグループ参加が不可欠である。普遍的な特徴と地域ごとの特徴を区別するため、多施設かつ多国籍のプロジェクトが必要である。


<感想>
「不定愁訴」と切り捨ててはいけないし,いたずらに「慢性炎症」などと決めつけてもいけないと思います。いずれにしても現場の医療従事者(医師だけではなく)にはタフな粘り強さが求められていると感じます。



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