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後悔しない医者

雑誌「総合診療」で連載中の『臨床小説』を読んでいます。

直近の2話で,やられました。

医書.jpで電子書籍バージョンがありますが,以下はそのリンクです。

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第7話 真剣な医者

前回までのあらすじ 今月のナゾ
 第1(4〜6月号)・第2(7〜9月号)エピソードで黒野は、患者が急性増悪する寸前に介入し、“新たな未来”をつくった。筧が「時を戻せる」と形容するその能力は、“治療機会の窓”を察知し逃さない臨床力を象徴するものだった。今回からの新エピソードでは、それとはまた別の黒野の異能が垣間見られる。その能力はどのような形で描かれていくのだろうか?
 第七話。黒野は精神科医の仁科に、ある慢性疼痛の症例を相談される。いわゆる不定愁訴も伴っている。不定愁訴は、「心の問題」と片付けられがちではないだろうか。しかし、そうとは限らない。原因不明の「痛み」を患者が訴える時、内科医はどうすればよいのだろう?

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第8話 裏がある医者

前回までのあらすじ 今月のナゾ
 精神科医・仁科渉が、医学生時代の後輩・筧のつてを頼って、黒野のもとへ難しい患者の相談に訪れた。37歳女性、主訴は慢性骨盤痛をはじめとする「全身痛」で、不眠や動悸、胸の締めつけ感、微熱といった多岐にわたる「自律神経症状」も抱えていた。しかし、器質的な疾患は見つからない。黒野の意見もまた同様だった。しかし黒野は、その「症例」そのものとは別の“何か”に、急に心配が募り始める…!黒野が感じた、その“何か”とは? 黒野には、いったい何がみえたのか…。
 全身痛や不定愁訴の形をとりうる「身体疾患」の鑑別の重要性を、前回の臨床解説では述べた。では、それらが除外されれば、不定愁訴として経過観察・対症療法に努めればよいのだろうか? 患者は、自身の症状・苦痛をすべて言葉にできるとは限らない…。

勘の良い方なら一つのオチはすぐにわかるかもしれません。

ですが,これはちょっと難しいと思います…。

日本語の文章ならではの,主語がないことで,ここまで簡単に騙されてしまうとは…。

いや,ただ単に,私がいかにきちんと頭を使って文を読んでいないか,というだけかもしれません。

読後の「悔しさ」というか,なんともやるせない気持ちは,通常の症例カンファレンスはもちろんですが,SEA(Significant Event Analysis)などでも,なかなか味わえない感覚かもしれません。

臨床小説は,詰め込みたいものをすべて詰め込めるので(お腹いっぱいになりますが),教育効果が高いように思います。

来月号での『新たな未来』に期待です。



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