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【look back】 鳳凰高等学校紹介映像

look back #1





ふじも:今回はちょっと新しい試みの回です!
制作の裏話などを交えながら実案件の振り返りをする、「look back」と題した新企画をやってみようと思います。

一同:お〜〜(拍手)

ふじも:じゃあ早速始めましょう!
記念すべきlook back企画走り出しで取り上げさせていただくのは、鳳凰高等学校さんの紹介映像+特設WEBサイト制作です。
中心となって動いていたかとりくとまつき、はせP、澤田に来ていただいています。

一同:お願いします!

ふじも:ではまず制作した紹介映像を見てみましょう〜!




プロフィール
加藤陸(かとりく):2000年生まれ。3DCGデザイナー。ものづくりオタク。
松木南々花(まつき):2000年生まれ。イラストレーター。推しポケモンはイーブイ。
長谷川康太郎(はせP):2001年生まれ。シネマトグラファー。車とちいかわのうさぎが大好き。最近はちいかわのシーサーも大好き。ちみたんも大好き。
澤田大樹(澤田):2000年生まれ。作曲家。ピノは一箱を一気に食べ切らず、2粒ずつ食べる派。
藤井桃子(ふじも):2000年生まれ。マネージャー。チョコレート好き。





今回のお仕事はかとりくの母校からのご依頼


ふじも:鳳凰高等学校さんとは、かとりくが1番つながりが深いと思うので軽く説明お願いします。

かとりく:鳳凰高等学校っていう高校の紹介動画を新しく作るっていうお仕事だったんですけれども、ちょっと普段やってる仕事とは若干毛色の違う案件でして。
というのも、この鳳凰高等学校は俺の母校なんですね。感慨深い。

ふじも:いやー感慨深いね。本当にすごい。

かとりく:俺のクリエイター人生が開けたのは鳳凰高等学校のおかげと言っても決して大袈裟な表現ではなくて。
当時担任だった中村太悟先生(以下太悟先生)が3年間担任だったんですけど、俺が作りたいもののサポートしてくれたり、逆に先生が面白いコンテストを見つけて紹介してくれたり、ずっと良くしてもらってました。


高校生時代のかとりくと太悟先生


(編集中のふじも:かとりくの鳳凰高等学校への愛が溢れていてとても話が長かったので簡単にまとめます)

【かとりくが鳳凰高等学校にお世話になったエピソードの一例】

• かとりくがマイクラで制作した鳳凰高等学校の校舎を公式パンフレットの表紙に採用してくださった

• SFCのコンテストに一定数応募することで3Dプリンターをゲットできるという取り組みにサークル活動として参加し、3Dプリンターを使える環境を整備してくださった(かとりくの応募作品が特別賞を受賞しました!

• 3Dプリントの施設の人たちと繋げてくださった

• 理科室を丸ごとかとりくの趣味ルームとして自由に使わせてくださった


かとりく:という感じで大変お世話になりました。

ふじも:鳳凰高等学校のみなさま、かとりくが大変お世話になりました。
IDENCE一同お礼を申し上げます。

かとりく:卒業後も先生たちと繋がりはあったし、俺が「なんか仕事くださいよ」とか言ってたりしてたんだけど、ついにそれが今回正式に実現したという形ですね。
超念願で嬉しい。

はせP:うん、超念願だねほんとに。

かとりく:わざわざIDENCEに頼んでくれたので、どういう提案ができるかなっていうのは色々模索したところでした。

まつき:そうだよね。

かとりく:鳳凰高等学校としては、最終的に中学生たちに見てもらって鳳凰高等学校に入ってほしいと思ってもらえるものを作りたい。
IDENCEとしては、WEBだったりCGだったり実写だったり、色々な表現手法を持ってるから、なるべく効果的に組み合わせたいなっていうのがあって。
で、今回はレイヤーとして3段階に分けてみました。
1番最初はあんまり興味ない人が見ても目を引くようなフルCGパートで、その次は一旦興味引いた上で中身が気になった人が見たい学校紹介映像、最終的に入学検討してる人が見るためのWEBサイトっていうように、徐々に情報の解像度を上げていく構成にしてます。



実写パートの裏話


かとりく:かっこいいCGパートである程度みんなの興味を惹きつけたら、次ははせP撮影の実写パートですね。
今回の進め方とかこだわりがあったら聞きたい。

はせP:まず、実写ってどうしても移動とかでお金がかかるところなんだけど、そこをうまく圧縮しつつ予算内でどうクオリティを高くするかみたいなところはすごい考えるところですね。
東京と鹿児島だから車で機材運ぶにも遠いから、飛行機に積めるような感じで行かなきゃいけないと。
今回1番の予算削減対策は、私とかとりくの2名で行くいうところですよね。笑

ふじも:そうだよね。笑
超コンパクトな体制だったね。

はせP:考えうる一番ミニマムなやり方をとりました。
撮影日数2日間で、サクサクと撮っていくスタイルが良かったから、カメラもなるべくちっちゃくして、いわゆるスタビライザージンバルって言われてるものにくっつけて、どんどん場所を変えて数を撮っていくっていうような戦い方にしました。

かとりく:俺が校内を色々周って、はせPにここ撮って!ここも!ってやってた。


ディレクション中のかとりくと撮影中のはせP ①


はせP:あと、やっぱりいわゆる学校紹介の映像って生っぽいルックが多かったり、ありのままを伝えたいってことで校舎とかを広い絵で撮るアプローチがすごい多いと思っていて。で、そこにナレーションめっちゃ入れて、さらに文字情報もいっぱい入れて、とにかくなんでもかんでもこの1本の映像の中で伝えようみたいなものが多い。
その上で我々は少し工夫を効かせて、ビジュアルとしてキャッチーなところを作ってあげたいなと思って撮影に臨みましたね。
IDENCEはミニマムなスタイルでもシネマの機材の扱いができて、ルック的にもシネマの方向に寄せていけるっていう強みがあるから、それを活かしたルックにはしてあげたいなというところで、無駄に広角を使わないとか、わざとちょっと違和感のあるアングルを作ってあげたり。
要は、あんまり学校紹介の映像で見たことないようなアングルにしつつ、生徒のみなさんの表情とか雰囲気は伝わるようないい塩梅になるようには気にかけたかな。

かとりく:3つ目のレイヤーとしてWEB制作があるんだけど、入れたい情報全部動画の中で伝えちゃうと動画として処理しきれなくなっちゃって最適ではないかなって考えたんだよね。
動画見た上で「かっこいい高校だな」とか「各学科についてもう少し興味あるな」ってもっと能動的に知りたい人に向けた動線を意識した設計をしましたね。

はせP:うん。入り口としての動画って感じで、まずは興味を持ってもらいたいってことでパッと印象をひける映像にできたかなと思います。

かとりく:撮影はルック結構良かったなって思ったんですけど、その要因として何があるんだろう?

はせP:ちょっと面白いアングルもいくつも切ったし、今回50ミリの単焦点レンズで撮っていて印象的に強いカットがあったり。
もちろんカラコレにもこだわっていて、弊社の駒井がやっているんですけれども、鳳凰高等学校の豊かな色彩が印象的だったので、冒頭のCGの色彩感とかもカラコレで生かしていく方向かなと思ってて。
ビビットめに色は出しつつ、スッキリした雰囲気や洗練された感じも出したいなと思ったんで、ちょっとブルーの雰囲気を感じさせたり、全体的にハイトーンになるように作ってもらったっていう感じですかね。

かとりく:元鳳凰高等学校生徒だった自分としても、3年間の学校生活の印象が割とそのまま伝わってくるような色彩感だったかなってのはすごいあって。
学生目線でのわくわく感とか爽やかさを上手く脚色できてたのかなって思いました。

はせP:撮影させていただいた先生・生徒のみなさんすごいいい顔してたね。


スクールバス内の撮影中


かとりく:本当にそう。
撮影行ったらもうみんなめっちゃ協力的で、映りたがりの人もいっぱいいるし。笑

はせP:やりたいようにやらせてもらって本当にありがたかった。
アテンドとかも含めてめちゃくちゃよくしてくれたし、やっぱ一緒につくってるなっていう感覚も存分に感じられてありがたかったなと思いますね。

かとりく:間違いない。いいもの作ろうっていう認識をみんなで持って作れたのがすごい良くて、先生方にお願いした調整項目もたくさんあったんだけど、きちんと進めてくださって、上がりの絵とかもみんなうわーって喜んでくれて。

ふじも:いいねー。撮影も大体晴れてたみたいでよかった。

はせP:ね。2日間天気に恵まれましたね。

かとりく:なんかちょっと南国っぽい色彩感も出てて良かった。
本当に俺が通ってた時の記憶そのままっていうか、なんか記憶の楽しさまで脚色されたちょうど良さが出てる。

はせP:やっぱその場所をよく知ってる人がディレクションする良さっていうか。
ロケハンしただけじゃ得られない部分があったりとか、やっぱ3年間そこにいた人なりのディレクションで撮影できたのも良かったね。


ディレクション中のかとりくと撮影中のはせP ②


かとりく:うん、普段の案件だったらロケハンするだろうけど、今回はしてないからね。笑
はせPと俺で鹿児島に撮影に向かった話はこんな感じでした。



CGパートのこだわり


ふじも:じゃあ次はCGパートの裏話をしてもらっていいでしょうか。

かとりく:はい!私の担当です。
通常は学校紹介動画でフルCGってあんまりないと思うんですけど、今回自分の母校の映像を担当できるってことで、ワクワク案件としてスタートしました。
これから入学する人や在校生、卒業生も含めて、どういう演出があるとワクワクしてくれるかなとか、もっと言えば鳳凰高等学校が挑戦を続けて変化し続けている学校だということを表現することで、ブランディング的な部分も大事に作っていこうって形で走り始めました。

まつき:うんうん。

かとりく:いつもだったら俺1人でモデリングや構成を進めちゃうところなんだけど、今回はまつきにルックを決定付けるコンセプトアートを描いてもらって、それをCGで起こしていくっていう形を取ってみることにしました。
こういうフローを取った方が、確実に狙った通りの印象を出せるんじゃないかなと。


今回のコンセプトアート


ふじも:今回初めてコンセプトアートから作り始めてどうだった?

まつき:初めてだったけど楽しかった。
元々、ある程度与えられた設定と、入れ込まなきゃいけない要素とかがあった上で、それをいかにワクワクする世界観に落とし込めるかを考えるのが結構好きだから。
今回は、最初は一見鳳凰高等学校の校舎なんだけど、世界に広がっていく、進化していく様子を表現できるといいねっていう話で作っていったよね。

かとりく:そう。
鳳凰高等学校は学科が今回新しく再編されたり、制服も刷新したりで結構変革期を迎えてて、高校としても今回結構変化を続けている様子を伝えたいってことだったので、そういう勢いのある雰囲気をCGパートで伝えられるようにしました。

まつき:そうだね。
かとりく的には私のイラストから作り始めるワークフローどうだった?

かとりく:やっぱりまつきはゲームとかコンセプトアートが好きなだけあって引き出しがすごい多いから、その経験を元に一旦出したいビジュアルを構築していくっていうやり方だったからこその絵が出たなって思う。

ふじも:あーそうだね。


バスのデザインラフ画


かとりく:あと色彩設計とかの話を重点的にできたのがよかったなって思ってて。
3Dモデルの作り方で言うと、まず形作って、そこに塗り絵みたいな感じでやっていく感じがやっていくのが普通のプロセスだと思うんだけど、イラストの場合は全体の要素からどういう印象を起こしたいかっていう広い視点で色彩設計ができるから新鮮だった。

まつき:なんかCGだと、それこそライトの色によっても変わってきちゃったりするけど、イラストだと欲しいところに欲しい色を絶対に置けるとか、調整のしやすさはあるよね。


コンセプトアートの色味調整中の様子(下の方が光が豊かに感じられる)


かとりく:うんうん。
映像全体としての雰囲気っていうのは、割と今回のワークフローがあったことで成立してんのかな。
いつもは迷いながらCG作るだろうなってところも、今回はまつきの描いてくれたビジュアルがあるからスムーズに進められた。

まつき:具体的な話で言うと、校舎の土台の岩に紫とかちょっとピンクっぽい光を足して絵を描いたりして、幻想的な雰囲気を感じられるようにしたりとか。
CGでさ、岩をちょっと紫にしようってなかなか行きつかないところだと思うんだけど、新しい絵作りとしてチャレンジしてみてすごく良かったと思う。

かとりく:よかった!
まつきは今後この進め方どれぐらいやっていきたい?

まつき:楽しかったからまたやりたいな。
多分、ざっくりとした仕事の振られ方をしたとしても、いきなりCG作らずに1回自分で絵を起こすと思うのね。
今後会社全体でやっていけたら各クリエイターの指針にもなるし、シンプルに共有がしやすくて、クライアント共有するときも齟齬が生まれにくくていいんじゃないかな。

かとりく:修正フローもわかりやすくできそうだよね。
当然、案件の特性によってどういう進め方するかは違うと思うけど、この進め方できそうなお仕事はぜひ導入していきたいね。

まつき:うん。

かとりく:じゃあCGパートの解説まとめます。
1番最初は現状の校舎をモチーフにモデリングした建物を写して、そこから校舎がどんどん伸びていったり、回転したり増えていったり、ちょっとダイナミックなアニメーションを通して、変化し続ける鳳凰高等学校を表現しました。
シンプルにすごいワクワクするものを作れたと思います!

まつき:かっこいいの作れてよかった。


CGパートの一部


かとりく:あと、あんまり印象に残るシーンじゃないかもしれないけど、CGパートと実写パートの繋ぎとして、はせPが飛ばしてくれたドローンのカットをスキャンした素材を活用したのも気に入ってます。

はせP:あれよかったね。

かとりく:ドローンのおかげでリアルな鳳凰高等学校周辺の3Dモデルを書き出すことができたので、最初CGっぽいところから実写っぽい質感に切り替わっていくっていうシーンを入れてみました。
そのシーン入れることによって、気持ちよく実写パートに入っていくように見せられたので、すごいやってよかった。

はせP:うんうん。



音楽制作の背景


かとりく:はい、次は音楽パートです!
今回は弊社音楽担当の澤田に、5分半くらいの映像尺に合わせてオリジナルで楽曲制作をしていただいております。
どんなこと考えて作ったか聞かせてください。

澤田:1番最初はCGパートの始まりにホルンのフレーズを入れてそこから盛り上がるみたいな構成だったんだけど、作ってみたあとにせっかく校歌あるんだったら入れられたらいいよね、と思って提案したら快く使用許可もいただけて。
なので冒頭が校歌のフレーズになっていて、鳳凰高等学校らしさが出せたんじゃないかと思います。

かとりく:いや校歌めっちゃよかった。



澤田:4分以上の長い実写動画って多分大体はストックの音楽で、一生ループって感じだけど、いい感じにモチーフとかをうまくばらして入れ込みながら、飽きなくてダサくない感じになるように頑張りました。

ふじも:あの校歌のフレーズはちゃんと歌い始めの部分なの?

澤田:うん。始まりをリズム的に引き伸ばしたりしてアレンジしてる。

ふじも:学校紹介映像が校歌の始まりと一緒に始まるのいいね。

かとりく:思わずちゃんと姿勢を正して見たくなるような雰囲気の映像を作りたいと思っていて、今回はすごく澤田の曲の力が大きかったと思う。

澤田:今回の構成としては、冒頭のCG部分はピアノ抜きのフルオーケストラで組んで、実写部分はもうちょっと軽くて長く聴けるような感じにしたかったから中心にピアノ持ってきて、そこにオーケストラ各楽器が絡む構成にしました。
ある程度対比はつきつつ、そんなに遠くないくらいの感じにはしてますね。

かとりく:そこの調整がすげえうまいんだろうなと思いながら聞いてた。
カラコレの話とかもそうだと思うんだけど、それぞれ違う表現手法は使いつつも動画全体の統一感は感じられるように、調整が効いてるなと思う。

澤田:そうだね。ありがとうございました。

かとりく:こちらこそありがとうございました。



鳳凰高等学校の皆さんへの感謝


かとりく:あと、鳳凰高等学校の皆さんが信頼を置いてくれて色々な作り方をしていいよって言ってくれたのはすごい嬉しくて。

ふじも:そうだよね。
基本的にNGとかなくIDENCEの提案ベースでやらせていただけたよね。

かとりく:そうね。
任せてもらえたことによって、俺としても会社のリソースを最大限使い切れるような形で考えられたし、ちゃんといい動画にできて嬉しい。
鳳凰高等学校の先生方も大変だったと思うんだけど、みんなでいいものを作りたいっていう共通認識があった上で最後まで作り切れたのはすごく嬉しいことだなとしみじみ思います。


ふじも:うんうん。みんなの力が合わさってできた仕事だね。


かとりく:これからもこういう案件が増えていくと、IDENCEが総合的にレベルアップできるんじゃないかなと思います。
今回すごく貴重な経験ができてありがたかったです!


ふじも:またぜひ何かあればご一緒できると嬉しいよね!
IDENCE一同お待ちしております。


かとりく:では今回はこんなところで。ありがとうございました〜。



鳳凰高等学校 中村太悟先生からのコメント


私はかとりくの担任をさせていただきましたが、正直何も担任として立派なことはできていません。笑
彼と一緒に活動をしていくことで私も多くの刺激を受けて成長させてもらいました。
なので、かとりくは生徒というよりも1人の友人のように感じています。
「理科室を丸ごとかとりくの趣味ルームとして自由に使わせてくださった」などといった表現はかとりくがかなり盛っていますが(笑)、本校のリソースを高校3年間を通じて思う存分活用してくれた生徒だったと思います。
ずっと何かで関われないかと連絡は取り合っていて、ここでやっと一緒にお仕事ができて本当に嬉しいです。
3Dでの動画の演出はさすがかとりくだなぁと感心するとともに、私ももっと頑張らねばという起爆剤になりました。
本校ではデジタル分野の教育活動をより一層充実させていく予定なので、今後もかとりくにはお世話になりまくろうと考えています。



おわりに


ふじも:最後に、特にお世話になった中村太悟先生から素敵なコメントを寄せていただきました!
鳳凰高等学校の皆様のご尽力いただき、IDENCEメンバーも終始楽しみながら制作ができました。
ここまで読んでいただいた皆様も本当にありがとうございます。
またこれからもlook back企画更新していきたいと思いますので、ぜひチェックしてみてください!