メンズの服好き
こんなタイトルのnoteを前に書いたので、シリーズにしようかと。
なお、いまの自認としては両性のXジェンダーです。よろしければお付き合いください。
そもそも私はメンズの服のデザインがけっこう好きで、街を歩いている男性を見かけては(わあ!なんてこのひとに合った服なんだ!!)と思ったりしていた。好きな人が男性ならこういう服を着てほしいなぁ、とも思っていた。
特に、面白く優しく人好きのする、まるで洋犬のような知り合いが、ナガスギルイヌのシャツを着ていた時といったら! 私もそんなぴったりのキャラクターを見つけたいと思ったものだ。
と同時に、昔から変身願望もあった。
可能なら細身の男性となり、やけに派手な柄シャツや黒いシャツを着たい(今でもそんな願望がある)。
なぜ細身かというと、恰幅の良い男性のそういう服は“本気”になってしまう気がするからだ。なにが本気かはわからないけど。
とにかく、もし男性になれたら、奇抜でファッショナブルな服にも挑戦したい。虎が5匹くらいいるとか、ハムスターが流星になっているとか、今の私が着たら笑いにもならずに普通に怖い人になってしまう服を……
そしてある日、友人とジェンダーについて話しているときに気づいた。
私は女性らしく変化する自分の体に戸惑いを感じたことは全く一度もなく、かといって女性的なものにこだわりがあるわけでもなく、突然男性になってもまったく構わない。
そして、いま使っている『私』という一人称にはまったく違和感がない。誰になったとしても自分のことは『私』と呼びたいからだ。
とはいえ、私の声はかなり高く、華奢ではないものの小柄で、かなり女性的な体を持っているから、いまは女性らしい服を着ている。
でも、もしも男性になれたんだとしたら、メンズの服を着たい……今はだめだ。だってサイズもぶかぶかになって変だろうし、私のような人間がメンズを着ると、多分面白くなっちゃうから。
そして、思った。
人間、法に触れなければ、誰だって好きな服を好きなときに好きなように着ていいはずだ。
ということは、私が。
明らかに女性とわかる体を持つ私が、男性的な服を着たっていいのでは?
もっと言えば、私は、素敵な服を着ている『男性』の様子が好きなのではなく、男性が着ている『素敵な服』が好きなのでは?
『男性にそれを着て欲しい』のではなく、本当は『自分が着たい』と思っているのでは……?
ということで、最近はネット通販でメンズの売れてる服ランキングを見漁ったり、メンズの服売り場をうろついたりしている。
私が勝手に分断していただけで、メンズの服のモデルさんの中に女性らしいひとが混じっていることも多々あるし、親切にサイズ感を教えてくれる店員さんもいる。
なにがうれしいって選択肢が増えたことだ。単純計算したら倍だ。女性ものと比べて体にぴったり合わせるデザインは少ないし、私と比べれば大きめに作られているからか、意外と失敗も少ない。
青いツルツルの半袖シャツが作業着みたいになってしまったときはショックだったけど、基本的にわくわくした日々を送っている。
ひとつ課題なのは、私はかなり女性的でもちりとした体をしていること。写真などを見ても、男性っぽい服がかなり女性物っぽく見えている…気がする。希望的に見積もっても、メンズの服を着た私は中性的にしか見えない。
私は男性性を表現したいのに、ユニセックスな印象になってしまっている。もちろん中性は中性でいいんだけど、私の目的とはずれている。鏡の前で、あるいは写真を見ながら、ちいかわのうさぎのようにフゥン…と呟く。
サラシを巻くことは考えたが、着物の帯だけで気持ち悪くなるので断念中だ。そんなに切迫感もない悩みなので、しばらく悩んでいようかと思う。
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