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41時間食べなかったときの話

経緯

食べなくても死なない、食べても食べなくてもいいと考えている人達がいるらしい。不食というらしい。

なるほど、と思った。あまりスピリチュアルとは縁がなかった人生だけれども、特に『満たされていないから食べてしまっているだけ』という意見には納得した。
思えば、食への好奇心はあるけれど、別に本気で食べたくて食べているのではなかった。すぐに飲み込んでしまう味を刹那的に楽しんで、ろくに噛みもせず口に詰め込んでいた。
あるのは義務感。「食べないと倒れてしまうよ」の言葉。不安そうな4つの目。

ということで、図らずも断食というか不食をした1日と17時間のことを書いていきたいと思います。推奨しているわけではなく、備忘録なので念のため。


記録

不食という概念を知って数日後。
その日は午後6時頃に友人と夕食を食べ終え、そのあとはカフェでカフェオレを飲んで話し込んでいた。

家に帰って睡眠。翌日、朝はいつも通り朝食を抜き、買い物や料理をした。料理をしていても食欲が湧かなかったし、今考えれば水も飲まなかった。
昼頃、空腹は若干感じていたものの、昼食も食べなかった。一時間もすると、空腹がひどくなるどころか収まってしまった。
普段なら、それでも不安になって冷蔵庫を探っているところだ。でも不思議と心は穏やかで、一応水を少し飲んだ。そもそも不食というのは段階的に食べる量を減らしていくらしいので、私がやっているのは断食に近かったのかもしれない。

ぼんやりと過ごし、夕方から夜までのアルバイトの時間が迫る。
勤務中に空腹で辛くなるので、普段ならなにか軽く食べてから出勤しているところ。
軽くといっても菓子パンやおにぎり。我ながら堪え性もないし健康に悪そうだしカロリーオーバーだし、そもそもお腹が減るときと減らないときがあるしで、この時間は憂鬱だった。

ただ、そのときにも空腹を感じなかったので特に動かず、ふと不安になったので食べないとどうなるかを検索していた。
色々と危険性は紹介されていたが、低血糖になるのが一番危ないらしい。症状は体のだるさや失神など。
さすがに突然倒れるのは困るので、バイトには甘い飲み物を買って持っていくことにする。
体のだるさを感じた気もしたので、水と干し梅を食べたらよくなった。脱水だったのだと思う。

バイトに行く。特に空腹感がなく、家を出る前に食べたものを思い出そうとしてからなにも食べていないことに気づいた。
おいしそうな清涼飲料水を買ったものの、想像以上に味の主張がなく微妙な気持ちになる。熱中症になるのも困るのでちびちび飲んだ。

そのまま空腹にならずバイト終わり。
おいしそうだったので、近くの洋食屋さんでクラッカーとつけあわせのソースのセットを買う。なんだかおしゃれな生活の気配がする。

帰宅してもお腹は減らず、買ったものも食べる気になれなかった。むしろ夕飯を食べたあとのような感覚で、結局食べるのはやめた。とはいえ、丸2日食べないのはさすがに心配だ。明日の朝は早起きしようと決めて就寝した。

そして次の日、起きたら11時だった。
衝撃だった。こんなに食べないなら断食じゃないか。そんなことはするつもりがなかった。
それに歩けはするけれども、体の真ん中あたりにあるはずの活力みたいなものがすっからかんな感覚があった。栄養が必要だと直感したのは人生で初めてで、鏡を見たら顔が真っ白。これが低血糖か。
まだ意識はあるので、なにが食べたいかを真剣に考え、シリアルと昨日のクラッカーをゆっくり食べた。昔、食欲がなくて夕方まで寝ていたとき、起きてから三食分まとめて食べ尽くした私が…

1時間もすると栄養がいきわたるような感覚がして、普通に元気になった。
他のものが強烈に食べたくなるということもなく、夜ご飯は普通の自炊をした。
時間にして41時間。私の不食というか断食は終わった。

まとめとその後

一度1日以上食べなくても平気だったので自信がついたのか、体験後は過食することが減ったように思う。
自分が気乗りしなければスープで済ませたり、シリアルを少し食べたりできるようにもなった。
食べたいと思い込んでいるものや食べたくないものを買っていないからか、体に優しい食べ物なんかにも少し興味が出てきた気がする。カフェインをとりすぎないようにノンカフェインのものを選んだり、甘味料の入ってないものにしたり。
効果が出ているかはさておき、体を大切にしようとしているのは大きな進歩だ。

その中でも特に、本当はなにが食べたいかを考えられるようになったのが嬉しい。
「いらない」や「食べたい」を意思表示するのに抵抗がなくなったし、無感情で詰め込むこともない。
拒食や過食のきっかけにもなっていないので、ひとまず健康診断で引っかかるまではこのスタンスを続けたい。

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