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ボードゲーム「パクモグ」を作った話

ゲームマーケット 2020春に向けて、個人でボードゲーム「パクモグ」を作りました。残念ながらゲームマーケットは中止になってしまい、オンラインで細々と販売することに。せっかくなので、どんなことを考えながら作ったのかを記録しておこうと思います。

1、なぜ「食べマネ」ゲームを作ったか

ゲーム会社の同僚が、個人でボードゲームを作り、ゲームマーケットにブースを出した話を聞いて、自分もやりたい!という気持ちが高まり、何もないのにゲームマーケットの申し込みをしました。ゲムマに申し込めばゲームができる、とはよく言われている諺です・・・。

コンセプトは「こどもとあそびたくなるゲーム」として、サークル名は「HAHA」という名前にしました。これは、育児絵アカウント「ハハのつぶやき」とのつながりを作るためと、ドイツの玩具メーカー「HABA」が好きなのでそんなブランドになりたいという高すぎる目標と、「ハハッと笑える時間を作る」みたいな、そんな気持ちを込めて名付けました。

どんなゲーム作ろうかなと思いめぐらせている時に、当時1才9ヶ月ぐらいだった息子が、ちょうど「おままごと」に興味を持ち始めていて。こんな小さいうちからするんだなあと感心しながら遊んでいました。息子が持ってきてくれた料理(?)を、いっつも同じように「パクパク」と食べるのに飽きてきて、ある時、チキンをちゃんと「食べるマネ」してやろうと思って、食いちぎるマネをしたら、息子にすごくウケて・・・それからマネして息子がそれをやるようになって、それがまた、めちゃめちゃ可愛かった。「食べるマネ」って、大人も子どもも面白くなってしまう行為だよなーと思って、それをゲームにできないかと思ったのでした。

2、子どもたちとのテストプレイでの発見

いろいろな「食べるマネ」のバリエーションが生まれそうな食べ物(子どもでもわかるもの)をリストアップして、コピー用紙でカードを作り、テストプレイをしました。5才姪、7才甥、9才甥、10才姪、35才私、72才母で遊んだのですが、この時いくつか発見がありました。

・5才でも十分遊べるということ。→対象年齢を5才からにしました。
・大人でも食べマネは結構本気になってやってしまって、表現力が問われるということ。そして子どもが食べマネをするのは、とても可愛いということ。
・でも、子どもの食べマネを当てるのは想像以上に難しいこと。指を3本出してフォークのマネみたいにしてしまって、本来やりたいこと(単なるジェスチャーゲームでなく本気の食べマネをする)とずれてしまうことがあったこと。→カトラリーを入れることにしました。
・テストプレイは読み札なしで、自分で選んでマネようにしたのですが、それだと視線でわかったり、やはり自分のやりたい食べ物、簡単な食べ物を選んでしまうこと。→読み札を入れることにしました。
・混同しやすいカードがあってもそれはそれで面白いこと。逆に、子どもだとどう表現していいかわからない料理もあったこと。→「なべ」や「焼肉」などをやめて、「焼き鳥」(団子と間違えそう)などを入れました。

3、プロダクトの設計

結構長い時間がかかったのは、どんな仕様にして、どこでいくらでいくつ作るのか考えるところです。いろんな印刷会社の見積もりを何度も確認しました。趣味で作るもので、最悪、1個も売れないなんてことも考えられるので、どうしようか迷いましたが・・・方針としては、海外旅行に行ったと思えばヨシということで、原価はトータルで20万におさめるのを目標にしました。140部作って、販売価格はなるべく抑えたくて2000円にしたので、諸経費を考えると、全部売れたとしてもほとんど利益にはなりませんが、同人なのでそういうものですね!

カトラリーは、テストプレイをして、急遽入れようと思ったコンポーネントです。原価が厳しかったのですが、入っていることで商品の魅力も高まると思ったので、入れる方向で検討しました。カトラリーという性質上、子どもはどうしても勢い余って舐めたりしてしまう可能性があったので、紙ではなく濡れても良い素材にしたいと思い、アクリル板をレーザーカットしたもので作ることになりました。保護シートを剥がすのはとても大変でしたね・・・。
(加工:東京レーザーラボ)

4、カードのデザイン

はじめはカルタをイメージしていたので、オリジナルカルタを作れるところを探していたのですが、どれも少部数だと原価が高かったのと、自由度が低かったのでやめました。遊び方を考えるうちに、取り札と読み札は違うフォーマットの方が良いという結論に達した、という理由もあります。その結果、カードを全て自分で丁合しなければいけなくなり、大変だったのですが・・・良いものを作るためなので仕方ありません。

取り札は、机や床から拾い上げるものというのと、子どもが踏んだりしそうなので、なるべく厚みがあってしっかりしたものにしました。それと、手でバシッと取るものなので、サイズは大きめのものにしました。形は正方形がいいなというイメージがなんとなくあってそうしたのですが、作ってみたら、混ぜたりしまうときに向きを揃えなくていいので、楽でよかったなと思いました。
(印刷:株式会社グラフィック)

読み札は、シャッフルすることが重要だったので、取り札よりもシャッフルしやすい小さめの大きさにして、材質もトレーディングカードのようなものにしています。
(印刷:プレストークダイレクト)

イラストは・・・食べ物の絵はあまり書かないので美味しそうに描けるか自信がなかったのですが、自分で描くしかない!と、週末の子どもが寝た後の時間に頑張って描きました。読み札の裏は、カトラリーのカットラインを使ったデザインにしました。

カードを3つのカテゴリに分けたいというイメージは食べ物の種類を考えているときからありました。子どもと遊ぶ以上、なんらかの学びになるとよいなというイメージがあって…このテーマなら食育!いろんな食べ物をバランスよく食べようね、という親子のコミュニケーションになるように、「ごはん(主食)」「おかず」「デザート」の3種類を各12枚ずつとし、背景色で種類をわけることにしました。
カテゴリをわけることによって、例えば勝利条件を「3枚セットをたくさん集めた人の勝ち」にすることで、ちょっとした戦略のようなものが出てきたり、小さい子とはデザートだけ使って遊ぶようにしたり、遊び方の幅を広げることができたと思います。

5、外箱のデザイン

他のゲームと並んだときに、パッと目を引くパッケージにしたいと思っていました。はじめは、お弁当箱のようなイメージで、食品向けの木製っぽい質感の箱も取り寄せたりしたのですが、壊れやすそうだったので断念しました。
目を引くモチーフと言えば、やはり「顔」です。人間の頭はどうしても、「顔」に注目してしまうようにできていますよね。それで、子どもとあそびたくなるゲームというコンセプトも伝わるように、子どもの顔のイラストをどどんと全面にデザインしました。自分の中でも、この作品を子どもっていう感じの目で見られて気に入っています。
(印刷:ライブボックス)

ちなみに、サイドの「対象年齢」「プレイ人数」「プレイ時間」を表記するアイコンのデザインも気に入っています。1つ後悔としては、ボードゲームって正面が見えない状態で収納されることが多いので、サイドにもタイトルを入れればよかったなーと、出来上がってから思いました。

6、遊び方説明書のデザイン

説明書のデザインもこだわったところです。ボードゲームの説明書って特殊な書き方のルールがあって、私は好きなのですが、子どもや一般の人には少しわかりづらいなと思っていて・・・。

こだわったポイントは、こんなところです。
1)コンポーネントとゲームの準備の説明を、一枚のイラストで完結させること。
2)「どのプレイヤーの行動か」と「ルールの条件分岐」をレイアウトで分かりやすくすること。
3)「プレイヤーが何をするのか」はイラストを使って説明すること。

これで分かりやすくできたか分かりませんが…。ちなみに、ルール説明動画も作ったので、読むのが面倒という人はこちらもどうぞ。

7、がんばって作ってよかった

ゲムマが中止になってしまい、売れるか心配だったのですが・・・買ってくれた方から「子どもと遊んだよ」というレポートをいくつもいただき、写真や動画まで見られたりすると、あーほんと、作ってよかったー!!最高です!あなたのために作ったんです!!っていう気持ちになりました。

仕事も育児もライターもやって、それで趣味も・・・なんて欲張りすぎてほんと時間がなくてやばかった。そして、どうしても時間の制約があり恥ずかしながら検討が足りなかったり妥協してしまった部分もあるのですが、、やはり何かを作りあげる行為というのは尊い・・・。しかもそれを人に届けることができて、喜んでもらえるなんて、なんて最高な趣味でしょうか。そんな趣味があるよってことを、ムスコにも伝えられたらいいなーって思って・・・、また機会があれば何か作りたいなあと考えています。

現在、「パクモグ」はBoothから購入できます。多分、自分では増刷しないので(丁合とか保護シールはがしが大変すぎた)、、在庫限りとなりますので、気になる方はお早めに!

(2020/4/26記)

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事務機器メーカーから、ゲームを作る会社に転職した。ときどきイラストとかマンガを書いたりする。

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