オランダ@食いしん坊

ひたすら食べることが好きな女子大生。国内外の美味しいものを探して旅に出ます。フランスを…

オランダ@食いしん坊

ひたすら食べることが好きな女子大生。国内外の美味しいものを探して旅に出ます。フランスを1ヶ月弱かけてまるっと一周し、好きなものを好きなだけ食べた結果、5キロ肥えて帰ったこともあります。 66歳差の祖母が1番の理解者かつ心友です。

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幸せな4時間

昨日は、きっと、これから先ずっと忘れることのできない、一夜だった。 「気軽に、美味しいものを食べに行きませんか?」 一本のメールから始まり、元編集長いきつけの老舗イタリアンへご一緒することに。   ガチガチに緊張していた。当たり前だ。 “気軽”の次元が違う店だったこともあるが、それ以上に、これだけの人とサシで食事に行くと言うのは、やはり身が引き締まる気持ちになった。    タクシーを捕まえながら、「緊張しなくていいよ」と笑う彼に、下手くそな笑顔で誤魔化す。 店に着くと、広々

    • 還る心

      いつからかだろう。「書きたい」と思わなくなっていたのは。 昨夏、私は希望する会社から内定をいただき、 「早く仕事を覚えたい」と現場でアルバイトもしていた。 しかし先週、その会社に内定辞退を告げ、 就職活動は白紙の状態に戻っている。 これまで蓋をしていた不満が、とうとう大きな腫瘍になって、 私の心を蝕んでいたことに気がついたのは、去年の11月。 「自分が自分でなくなっていく違和感」がありつつも、 様々な要因(社会的・心理的)から、豆の上で眠るような生活を続けていた。

      • すれ違い

        6月後半から、9月に入るまで週に一、二回、夜に会っては食事をする日々が続いていた。 それが、ぱたっと、会えなくなった。 と言っても3週間弱だけなのだが、想像以上に仕事が忙しく、時間を作れそうにないと、彼から詫びのメールが届いた。 あまりにも頻繁に顔を見ることが日常的になっていたため、毎日が鉛のように重たく感じる。 会った時だって、特別なにを話すわけでもない。 互いに目の前に出される一皿を、一杯を味わうだけで、日付を跨ぐ前には帰路についていた。 それでも、彼の好きな店で

        • となりに居たのは

          地元の駅のホームに降りた時だった。 何も考えず並んでいたら、となりの列に、彼がいた。 何年も会っていなかったのに彼だと分かったのは、あの頃からちっとも変わらない、少し猫背なところだった。 互いに、「あ。」という感じになったものの、目を逸らし逸らされて時間が過ぎる。 彼とは本当にたくさんの思い出があるのに、ある日を境に何も関わらなくなってしまった。 初恋の人でもあり、何年も片想いをしたけれど、彼は成人式に顔を出さず、SNSすら出てくることがない。 端正なマッシュの髪型。

          昭和の喫茶店に来て。

          私の地元は、お世辞にもお洒落な街とは言えない。 駅を降りれば床屋ばかりで、レストランといえばファミレスがメイン。 もっと、映画館とか美術館とか、文学的な街が良かったなぁ。と、大人になるにつれて思うようになっていた。 そんな中で、唯一好きな喫茶店がある。 駅から徒歩数分。スナックが立ち並んだ路地裏に、ひっそりとその店は佇んでいる。 入ると、まるで山小屋に来たかのような内装。 木を基調とした造りが温もりを与えて、レトロな雰囲気を求めてやってくる客は後を絶たない。 そして何よ

          昭和の喫茶店に来て。

          幸せの力

          最近、肌の調子がすごくいい。 だんだん自分が好きな体型に自分に近づいてるし、心もフワッと軽くなった気がする。 頭の中が「幸」で溢れているからだ。 友人は言う。 「きっと付き合うより、好きな人とか推しが欲しいんだよ」と。 まさにそうだ、と思った。 幸せも、貯金みたいに貯められればいいのにな。

          夏至の日に見た夢

          6月21日。これまでなんて事なかったこの日が、特別な日になった。 高級な鮨も、創作和食も、全て美味しかったけど、コンビニで買った安いアイスを手に過ごした時間が、何よりの宝物だった。 貰った薔薇が枯れた時に、きっと夢が終わるんだろう。 生まれて初めて、少しだけ夏が待ち遠しくなった。

          跳ねる心臓

          それは、余りにも突然のメッセージ。 以前からお世話になっている彼からだった。 ”来週、何かうまいものをいかがですか?” ランニングを終え、時計を見ようとスマホの画面を開き、危うく落としかけそうになる。 もう仕事場も違うのに、思い出してくれた事が嬉しくて、嬉しくて。 「連絡するね」とか「連絡ください」とは言われていたものの、それが社交辞令なのか、本心なのか、はたまた何とも思わずに言っているのか分からない。 「男の人って、あまのじゃくだなあ...」 そう思っていた時のメッ

          幸福な朝食、退屈な夕食

          今歩いているこの道は いつか懐かしくなるだろう   今歩いているこの道が いつか懐かしくなればいい コロナも、大学も、就活も、人間関係も、 いつか懐かしくなるはずだ。

          幸福な朝食、退屈な夕食

          国境を越えずに台湾へ行く方法

          新橋は、他にはない魅力が詰まった場所だ。 私の母が若い頃は、そこかしこから下水の臭いしかしなかったらしいが、今は程よく「きたなシュラン」として年代問わず様々な人を惹きつけている。 駅から少し歩いた先に、まるで台湾に来てしまったかのような店がある。 新橋での予定を終え、ずっと気になっていたその店へと足を運んだ。 コンパクトな店内に、ずらりと貼られたメニュー。 昔、訪ねた台湾を思い出さずにはいられない、屋台のような雰囲気だ。 ここのルーロー飯が、今日のお目当て。 魚のすり

          国境を越えずに台湾へ行く方法

          脂・解禁日

          ここ最近、かなり健康面に気を使って生活をするようになった。 筋トレやランニング等の運動に加え、8時間ファスティングを始めてから身体の調子がいい。ダイエットと違って食べる量は我慢せず、食べる時間を制限するもので、慣れれば何の苦にもならない健康法だ。 ファスティングを始めたのも、今年から学費と生活費を一気に払わなければならなくなったため、食費を少しでも浮かそうという意図もあった。 一方、毎日自炊には限界がある。 作ることは好きだが自分の味にすぐ飽きるため、冷蔵庫はいつも出来た

          私の家は昭和の家らしい

          同じ大学に通う友人と、(厳密には現在は通っていないが)久しぶりに会うことになった。   折角なら周りを気にせず喋りたい、と私のアパートでランチ会をすることに。    滅多にない来客にテンションMAXの私は、こうなったら喫茶店になりきってもてなそう、と色々な小細工をした。   先ずは看板を作ること。 やすっちくてもいい。雰囲気って意外と大事だ。  次に、花を飾ること。 花と団子、どちらも大好きな私は、必ず一輪好きな花を飾るようにしている。 今回は涼しげなカラー。 少し短く切

          私の家は昭和の家らしい

          久々の再会

          昨日、出社して業務をしていると、すぐ向こうの入り口から懐かしい人が入ってきた。 退職され、現在は違う場所で働かれている元編集長だ。 私の顔を見るなりニコッとする。 退職前は「そうか、今日は水曜日か」と、いつも私が出勤する水曜に合わせるように顔を出して、独り言のように話しかけてくれた。 それがここ数ヶ月は、新しい会社に移ったきり。 隣にいた人がパタリと消えてしまうというのは、こんなに寂しいものなのか。 尊敬する人なら尚更である。 それでも昨日、同じセリフを当たり前のよう

          カロリーお化けは罪な味

          吉祥寺にある老舗ピザ屋。 外見からは想像もできない、アメリカンな店内はまさに見ものだ。 以前dancyuで読んでからずっと気になっていた店の一つ。 迷わず、1番名物のミックスピザのランチセットを頼んだ。 サラダの後、特大ピースのピザが運ばれた。 オランダにいた頃、よく都会でアメリカンピッツェリアを見かけたことを思い出す、懐かしい大きさである。 大量のチーズに、ひき肉、何種かの野菜が細かくカットされ、たっぷりのフレッシュなオレガノが決め手のミックスピザ。 生地は薄いと思い

          カロリーお化けは罪な味

          祖母との時間

          ここ数日のどんより天気が嘘のように晴れた今日。 祖母を誘って、お気に入りのすし処へ向かった。 いつもの席で、いつものランチを頼む。 大将と対面できるカウンターは、祖母の定位置になった。 今日の突き出しは、 胡麻豆腐に焼きナスとおろし生姜のせ 蛸と豆腐を甘く炊いたもの 鰯の酢締め の3品。 初めから日本酒が欲しくなったが、運転手だということに加えてコロナという要因もあり、物理的に諦める理由は揃っていた。  緑茶を啜りながらメインの握りを待つ間、メニューに穴が開くほど、繰

          本気のお新香

          祖母がお勧めしてくれた和食屋を訪ねた。  老夫婦が丁寧に切り盛りしている、地元密着型のこじんまりとした店。   正午に予約をしていた私たちを筆頭に、あっという間に店内は予約客で埋まった。 予算度返しの昼膳は、どれもきめが細やかで繊細な味付けだ。 手先が器用な店主によって美しく象られた野菜は、思わず食べるのを躊躇ってしまうほどだった。 数ある品の中で、特にお新香に感激した母は、単品でも注文することに。 少し待つと、セットのものとは全く異なる、「本気のお新香」が運ばれてきた