絶罪殺機アンタゴニアス外典 〜この熱き血潮に懸けて〜 #7
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彼はその時まで何者でもなかった。血と暴虐の時代を生きる、徒人(ただびと)であった。奪う側に属せていただけ幸福と言っていいのかもしれない。
だが掠奪者はいともたやすく踏み躙られる側へと転落し得る。
彼らは犯罪率が激減し、罪業が希少となった社会において金よりも貴重な無軌道犯罪集団だった。故に当局はなおざりな手入れを繰り返すばかりであったが……ついに収穫の時が来た。罪の果実を得るために、警察機構は大型建機を戦車へと改造して攻め込んできた。仲