蕎麦の謎は深さへと誘う
とにかく美味しかったんです。このお蕎麦。
「牡蠣とあおさのつけ蕎麦」というタイトルだったんですが、食べたことがない味でした。つけ汁は温かいんですよ。その中に沈んでいる牡蠣がプリプリで濃厚。その味が染み出したスープ(つけ汁なんですが、どちらかと言うとスープといった風)がこれまた美味い。おまけにあおさが絶品。そして蕎麦がとどめを刺すという、とんでもない蕎麦でした。
なぜ、これが1,530円でいいのか。謎です。
謎と言えば、僕にとって最近の大きな謎は「どうして2020年代にスピルバーグはWest Side Story のリメイクを撮ったのだろう?」と言うことでした。West Side Story は古典的名作と言って差し支えないと思いますが,それを現代に甦らせることでスピルバーグは何を狙ったのでしょうか? これは完全に謎でした。
しかし、これは実際の映画を観ることで納得が得られました。舞台も時代設定も元々のWest Side Storyのままですが、「貧困と言う環境がもたらす悲劇から人は立ち上がれるのか」と言うのは、現代に通じる重要なテーマでした。
Leonard Bernsteinの不滅の音楽とダンサーたちの素晴らしい躍動に目と耳を奪われてしまいがちですが、それが素晴らしければ素晴らしいほど,この物語が向かう終着点の悲劇は,観るものに「ただのミュージカルじゃないぜ」と訴えてきます。そんな深さがこの映画にはあるのです。
深さ。
深さと言えば、アカデミー賞の外国映画賞(でしたっけ?)を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の原作が、短いけれどなかなかの深さでした。ネタバレになるので前後の脈絡を書かずに引用しますが、読後はこの言葉がずっと引っかかっています。
本当に他人を見たいと望むのなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかないんです。
私も教師(担任)として,クラスの児童を理解しようと努めます。でも,完全に理解するなんてもちろん無理で,「こうなんじゃないかな、いや,やっぱりこうなのかな」と悩みながら,なんとか理解しようとするわけです。
そんな自分を深くまっすぐ見つめる? そこから何が見えてくるのでしょうか? 少し怖い気もしますが,でも,それは大切なことなのかもしれません。
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