見出し画像

007最新作「NO TIME TO DIE」を観て

 コロナ騒動のせいで、公開が1年近く遅れていてた007最新作であり、ダニエル・クレイグ主演の最後の作品を観てきた。観たのは10月だったがダニエル・クレイグ主演が本作が最後だとネットの予告編で知り、彼は15年間も「ジェームス・ボンド」を演じてきたんだなぁと感慨にふけっている間に時間が経ってしまった。

 リアルタイムで、「007シリーズ」を追いかけたのもわたしにとっては初めてのことで、彼の15年はわたしの15年でもある。彼がボンドを演じた第1作『カジノ・ロワイヤル』は今でも目に浮かぶ。特に印象に残っているのシーンは、ボンドが愛した女性ヴェスパーがル・シッフルに誘拐されたことを知ったボンドが、最新型のアストン・マーチンで全速力で彼女を追いかけようとカーブを曲がったところにヴェスパーが倒れており、それをよけようとボンドが急ハンドルを切ったため車が宙を舞い、二回転、いや三回転した後、ようやく停止した場面だ。まさに息が止まるシーンとはあのことを言うのだろう。

 わたし個人としては、第3作目の『スカイ・フォール』が秀逸だと思っている。MI6の本部が爆破されたり、ボンドの出生の地がスコットランドであることや彼が育った家「スカイ・フォール」邸が、戦いの舞台となり火に包まれるシーンや前Mの死は、胸を打つものがあった。

 もちろん、本作も素晴らしいできであることは論を待たない。パンフレットのインタビューの中でダニエル・クレイグが「最初にボンドを演じた時は役作りに3ヶ月かかった。今は1年くらいかかっている。」と言っているのを聞いて、「たしかに、そう言えるくらいの作品に仕上がっている」と思った。本作の撮影中にクレイグが、ケガをしていくつかのシーンを撮り直さなければならないことがあったとも言っている。彼が愛したマドレーヌを助けるためバイクで城壁を駆け上がるシーンなどは考えられないほど迫力があった。また、マドレーヌと彼女の娘(実はボンドの娘でもある。007シリーズでボンドの娘が登場したのは初めてだと思う)を救うため、「007」を引き継いだ「ノーミ」とともに「サフィン」の本拠地に乗り込む際に使用したグライダーが飛行機から発射された後、その翼を広げるシーンもとても美しかった。

 もう、ダニエル・クレイグのジェームス・ボンドを見ることが本当に残念でたまらないが、彼が全精力を注いで生まれた007シリーズ5作品は、わたしにとってもかけがいのない作品だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?