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乱読雑感  太田愛『未明の砦』 中山七里『絡新婦(じょろうぐも)の糸』  古内一絵『東京ハイダウェイ』を読む

 たて続けに三冊の小説を読んだ。一冊目は、太田愛の『未明の砦』。以前、図書館から借りていたが最初を読んだだけで他の本に浮気してしまった。古くからの友人が面白かったとブログに書いていたので、もう一度チャレンジ。読んでみたら、こんなおもしろい小説があるのかと思うくらい、はまってしまい、一気読みしてしまった。ある大手自動車会社(たぶんトヨタ)の製造工場で働く4人の非正規工員の話だが、作者の勉強ぶりに圧倒される作品だった。

 

二冊目は、中山七里の『絡新婦の糸』。最近よく取りざたされるSNSの炎上をテーマにした作品。副題の「警視庁サイバー犯罪対策課」のとおり、サイバー犯罪対策課の捜査員が主人公だが、途中で犯人は誰なのか推測がついてしまった。中山七里の小説は初めて読んだが、それなりに面白かったがこんあもんかなぁという感想。


 三冊目に詠んだのは、古内一絵の『東京ハイダウェイ』。どうして、この本を図書館で予約したのか忘れてしまったが、貸出の順番が来たので借りてきた本。読み始めると前出の二冊と全く毛色が違うが、6つの短編連作の登場人物たちの微妙なつながり具合がとても心地よかった。それぞれ困難を抱えているが、思いがけないところで思いがけないひとが助けてくれるという設定は、『未明の砦』と同じ。話や舞台設定は全く違うのだが、これはこれでとてもさわやかで気持ちのいい小説だった。

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