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「新型コロナ『正しく恐れる』Ⅱ」西村秀一(藤原書店刊)を読む  2 やはりPCR検査は受けてはいけないと確信

 理由は、はっきりしないが「新型コロナ・ウィルス」の感染者が激減しているらしい。(「らしい」というのはメディアがそう報じているから)理由はわからないが、「たぶんワクチン接種者が増えたから」と我田引水的な報道ばかり。先日、BSTBSの午後7時30分からの報道番組に出演していた東大名誉教授が、「ウィスルが変異を繰り返した結果、『自壊』している」と言っていたが、「なるほど!」と思った。SARSもMARS(たまたま日本に上陸しなかっただけで、厚労省の水際作戦が成功したというのはウソ)も2009年の新型インフルエンザも約半年で少数の感染者を残して消えてしまったのに、なぜ今回は1年半も続いた(続いている)のだろう?「感染者数は減ったが、まだ安心できない」と自称「専門家」がTVで言って不安を煽り続けている。「強制的都市封鎖(ロックダウン)を行った欧米各国では、私権を制限する法律を作り、マスクをしていないだけで警察に通報され、罰金刑に処されている。落ち目だったメルケルも復権した。外出禁止に対してフランスでは、大規模なデモが起き、アメリカでは共和党の知事の州では適切なPCR検査の増幅率を採用したため、感染者は減り、それを見た民衆党の知事も適正な増幅率に下げざるを得なくなっている。

 私見はこれくらいにして、西村秀一氏の著書からもう少し引用する。氏は民間のPCR検査のずさんさを指摘しておられるが、それを急拡大してボロもうけした企業が、8月22日の日本テレビ系で放映された『がっちりマンデー!』で紹介された「イモトのWiーFi」で知られる「にしたんクリニック」のCMで有名な『エクスコムグローバル』という会社だ。その収益は、コロナ前の2019年が89億円だったのが、2021年は160億円になるそうだ。海外出張する人向けのレンタルWiーFiの会社だったが、新型コロナで海外に行く人が激減した機会に、WiーFi機器をレンタルするノウハウをPCR検査を受ける人向けに応用し、社長は「ガッチリです」と胸を張っていたが、これがコロナ感染者の急増に大きく寄与したことは間違いない。この企業をどう判断するかは読者にゆだねたい。(たまたま、この番組を録画していたから、このことに気づいたが一般的にはわからないだろう)

第2章 「コロナ対策」一年の総括

感染者数を毎日報道するべきか?(p108~p113)

  メディアの問題でいいますと、毎日感染者数を報じています。「東京何人、大阪何人」とその繰り返しです。これを毎日やりつづけることに意味はありますか。

 私は意味がないと思います。一週間単位くらいで見ていけばいいんですよ。その日発表された数字はその目の感染の結果じゃないんだから。一週間か二週間前の結果なんです。だから、われわれは一週間単位で物事を見ていかなくてはいけないんです。一週間単位の動きを見るくらいで十分です。先週は患者がたくさん出て、感染が各地域で広がっているようだ、という結果が今週出ているんです。だから、今週が少なかったなら、それは先週かその前の週にうまくコントロールができていたという話です。
 それを毎日一喜一憂している。小さなピークを見つけて、今回は日曜日としては過去最多、火曜としては何週連続最多更新とか、とにかく新しいことを言おうとしている。悲惨です。そんなことやっても人々に対するリスクコミュニケーション上は無意味あるいはむしろ有害です。必要ないですよ、そんな数字。自治体の発表も一日ごとの数字ですが、一週間単位で十分でしょう。
 そんな発表なんかやめて、自治体の首長は、部下の職員を少しでも休ませてあげたらどうでしょう。365日、毎日毎日「きょうは何人」と数字を発表する労力をもっと有効な感染対策に割いてほしいですね。2日や3日おきでもいいじゃないですか。そういう記者発表よりも、もっと本質的な仕事をやるべきです。感染データの解析をきっちりやるとか。公務員をそういうところで働いてもらうようにしないと。私が首長だったら「そんな数字を毎日発表する必要はない」と言いますよ。
 首長の能力にも左右されますね。ちゃんと考えられる首長なのか、外から何か言われるとすぐふらふらして方針かぶれる人なのか。こういう危機のときこそのリーダーシップ(住民と部下の職員に対する)です。

PCR検査を「正しく」使う

  仮に一日で感染者が四百人出たと発表したとして、そのうち何人が無症状で、軽症は何人か、重症の人数はこれだけです、という内訳がわかればもう少し心も落ち着くと思います。そういう細かい数字を出さないですね。

 日々発表される数字はPCR検査の陽性者を感染者とカウントしていますが、PCR陽性者のことをどれだけ理解しているのか。陽性者のうち他の人に感染させるほどのウイルスを待った人がどれだけいたのか。そこの数字を出すべきなのに、そういうデータはまったく出してこない。それを見極める検査をしていないんです。
 PCR検査を大量に行うため検査を機械で自動化しました、なんていっていますが、機械で大量化することでウイルスの量的な情報が得られなくなっているんです。「PCR、PCR」と念仏のように唱える人たちがいまだに多いのですが、自動化したシステムでは定量情報が得られずきめ細かな患者の病態の解析ができません。ここぞというときには感染の度合いを見るための量的解析データが必要なのです。
 PCRの陽性者をひとまとめに感染者にしてしまい、個々の感染状況の重み付けが全然できていない。そのデータがないから、感染者と認定された人のその先のことを考えるときにも、その時の臨床症状以外に本来とれるはずのウィルス量に関するデータがないということになります。
 入院もしくは病院での治療が必要なのか、ホテル療養か自宅待機でいいのか。重要な情報が欠けることになります。

  PCR検査を増やせば増やすほど検査の内容は雑になるんですね。

 雑になります。「唾液の検査でわかります」と実にお手軽な検査を宣伝している民間業者がありますが、それがどれだけ信頼性の置けるものなのか。行政が実施する検査はまだしっかりしていると思いますが、民間業者は各自が勝手な方法でやっている感があります。これらの検査のクオリティーコントロールは一体どうなっているんでしょう。たとえば唾液のPCRですが、唾液を採取してPCRにかけるまでの時間が長ければ長いだけウィルス遺伝子が酵素の働きで分解されて、あるいは自然分解して少なくなります。
 下手をすると、本当は陽性なのに検査の失敗で陰性と判定される人がたくさん出てきたりしかねません。逆に感染していない、あるいは感染が終わっているにもかかわらず陽性判定がなされることもあり得ます。生きているウィルスがほとんどないと推定される低量のウイルスしか検出されない例は、陽性者の中で少なくとも1、2割存在します。また、一方で大きなクラスターが発生し、大勢検査して全員が陽性といった結果が発表されることがありますが、検査する側から見れば通常はそういう可能性は低いんです。検体採取から結果判定までの問のどこかのプロセスで間違いがあったのではないかと疑うことが必要なこともあります。
 いまの検査は質が全然問われていない気がします。とにかくシロクロはっきりさせればいい、というような感じです。私たちの立場からすると、あれは怪しいなという検査がたくさんあります。とにかくPCR検査は人的ミスがつきものなんです。検体の管理にしても、保管する際の並べ替えミスや取り違えなどはないのか。そういうことが本当にどれだけうまくいっているのかよくわかりません。検体を一つでも並べ間違えたら、すべての結果がズレてしまいます。そういうことでさえ心配です。
 「いつでも誰でもどこでもPCR検査ができます。それで社会を安定させます」なんて言っていますが、結果はその検査時のみのことです。またその検査の技術的担保がどれだけあるのかも考えれば、危うさはつねにあります。

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