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旅先で出会った人と8年ぶりに再会した話

SNSに感謝する、という話を書く。この気持ちがザッカーバーグやイーロンマスクに届いて欲しい。

8年ぶりに彼と再開した。彼とは愛媛県に浮かぶ、住民よりも猫が多い島で出会った。
ふと思い立ち広島からひとり自転車で愛媛へ渡った。彼は東京から。お互い山盛りの猫と触れ合うためにこの島を訪れた。

時間ギリギリに到着したせいか、日に2便しかない定期船は定員オーバーだった。僕と彼を含む数人は8時の便に乗れず途方に暮れた。次は14時だ。誰かが言った「漁船に金を払えば送迎してもらえるってSNSで見た」
僕と彼は港で作業している方に声をかけて少しばかり割高な金額を渡し、島へ運んでもらった。

僕とは対照的に、彼はよく喋る「爽やか」という言葉が似合う男だった。すぐにこの人とは気が合いそうだと思った。こういう感覚は時々ある。内面が表情や言葉に滲み出ており、自分とどこか似た匂いがする、あれだ。

定期船に少し遅れて上陸し、皆で猫に餌をあげたり写真を撮ったりと思い思いに時間を過ごした。僕は猫と触れ合いながらプラスチックボトルの焼酎を飲み海を眺めていた。彼はたくさん写真を撮っていた。

迎えの漁船に乗りこむ。皆で撮った写真たちをシェアしようと、Googleドライブを共有して各々の写真とアップすることにした。
松山に帰る電車を待つ間、彼と近くのコンビニで買った酒を飲んだ。「酒、好きでしょ?飲みましょうよ」と声をかけてくれた覚えがある。

その後下灘駅で夕陽を見た。素敵な時間だった。
お互いSNSをやっていたのでアカウントを教え合ってその日は解散した。
そこから8年間、特に連絡は取ることなかったが、なんとなくお互いの日々をSNS越しに感じていた。

彼はよく何気ない日常を切り取った写真をアップしていた、個展みたいなのもやってた気がする。仕事では働き方の改善に力を入れているようで、メディアに取り上げられたり官公庁のセミナーで講演していた。なんかすげー人だった。

僕は2度結婚して、出産を期に移住をした。IT系のカンファレンスで話すようになった。ブログも時々書いて、エンジニアの生き方についてメディアに取材されたりもした。

不思議なもので8年間顔を合わせることはなく、連絡も取らなかったが、彼のことを忘れることはなかった。むしろ時折見かけるお互いの領域で必死に生きている姿に共感を覚えていた。

10ヶ月ほど前、出張で東京にいる姿をSNSにアップしたところ、会わないか?とメッセージが届いた。嬉しかった。僕もいつか会えたらいいなと考えていた。その日は予定が詰まっていたため、次に来る際には必ず声をかけると約束をした。

そして先日東京へ行き、彼と会った。水道橋での待ち合わせ。少し歳を重ねたが、変わらないなと思った。最初に交わした言葉は、なんかすごいね、嬉しいねだった。お互いこの体験に驚きというか謎の物語じみた何かを感じているようだ。

食事をして神保町を歩いた。8年間の出来事を話した。話は尽きなかった。
彼は転職をして、知らない人がいない大企業でやはり働く人たちのために働いていた。子育て中の母親と働くことについて本も出版していた。やはりすごい人だった。そして相変わらず爽やかであった。

一時間半ほどで解散した。短い時間であったが、8年間を振り返る特別なものだと思った。彼との関係はこれからもこんな感じで続いていくだろう。人の繋がりというものを大切にする彼の人格と、そしてSNSのおかげでこの不思議な縁を途絶やさずにいられた。

最後に彼の書いた本を紹介する。
子育てをする人々に寄り添う優しい内容だった。尊敬すべき人間との結びつきを細く長く保たせてくれたSNSというものに感謝する。


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