切り売り

何を切り売りしていますか?

全体と部分。統合と分断。抽象と具体。

ビジネスの世界でよく出てくるSTP。セグメンテーション(S)で細分化して、ターゲティング(T)で狙いを定めて、ポジショニング(P)で自社の立ち位置や優位性を考える。戦略を考える上での定石になっている。言い換えると、価値のある範囲に切り取って、売る(売りつける)方法を考えている。

人事評価や採用面接。個人が、属性・経験・成果・能力・スキル・資格などの項目で細分化される。希少性の高いスキルや資格がハイライトされ、成し遂げた成果の大きさが注目される。それらの数やスケールが多いと有望な人材とみられる。個人がバラバラにされて、切り売りされているように感じてしまうことがある。

コロナ社会はどうだろう。グローバル化や資本主義によって、細分化され分業化されてしまった社会が回らなくなった。国境が閉じた場合に、自国だけではパズルのピースが組み立てられない。100ピースあるパズルを、児童100人に渡したら、数人くらいは風邪をひいて出席できないこともあるに違いないだろう。だけど欠けてしまったピースに対してイライラしてしまう。そんなことが、世界地図というパズルの上で起きているように感じてしまう。

多様性とは、パズルのピースを100個→1000個→10000個と細分化していくことではないと思う。たとえ100ピースのパズルでも、同じ形のピースに赤もあれば青も黄色もあって、それらのカラフルなピース達を自由に組み立て、独自のキャンバスを創り上げるようなものだと感じる。掛け算や統合こそが多様性ってことではないだろうか。

もちろん、全体の方が常に大事だというわけではないけれど、それでも部分より全体を見た方が良いのにと思うことは増えてきたように感じる。日々、視座を高くするよう意識しながら、物事を見ていければと思う。



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