GIVE

何を与えていますか?

アダム・グラント氏著作の訳書『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』を読んでみての感想。人の属性をギバー、マッチャー、テイカーに分類し、それぞれの行動特性や思考を考察した上で、ギバーであることの重要性や、逆に注意すべきポイントなどが考察されている。

与えることの重要性を述べた本は昨今かなり増えてきているが、その懸念点や対策を記載した本は殆ど読んだことがなかった気がする。本著ではギバーが与えすぎて燃え尽きないために、相手の視点で物事を考える「他者志向性」を身に着けることや、他者との共通性と個性のトレードオフを解消する「同化し異化する」集団に属することの重要性が説かれている。また、テイカーの属性を活用して、ギバーに変容させる手法も記載されており興味深い内容であった。

「他者志向性」を学ぶ本も最近ではかなり増えてきた。『嫌われる勇気』や、『他者の靴を履く』などは他者視点を取り入れるための重要なことが記載されているように思う。「同化し異化する」ことは、同じ目標に向けて、個々の強みを活かしながら、集団としてのアウトプットを増幅させることで達成できそうである。ダニエル・キム氏の成功循環モデルなど、心理的安全をベースとした組織デザインが想像される。

さて、自分の人生を振り返ると、概ねギバー寄りではあったが、過保護に育てられていた頃は親に対してテイカーだったかもしれない。また、人間関係が乱れた時にも頑張り続けて、それでも改善しなかった場合に、その人間関係自体を遮断してしまうという悪い癖もあったように思う。これは別の側面から見たらギバーが燃え尽きた形態だったかもしれない。

コーチングで自己理解を深めることと、他者に弱みを話すことが出来るようになって、ようやく少しずつバランスを取れるようにはなってきた。困った時に話を聴いてくれたり、協力してくれたり、フィードバックをしてくれる人がいることは素直にありがたい。それでも、適切な距離感を踏み外すこともあれば、自分本位な考えに陥ることもまだまだ多い。仕事だとかなり適切にギブ出来るようにはなってきたのだが、深い人間関係になればなるほどバランスがうまく取れなかったりもする。だからプライベートでは、離婚したり、親と険悪な関係になったり、今もまだまだ人生勉強中のように感じる。

ただ、こういった下手くそな人生を送っているからこそ、自分の失敗体験を語ることは出来るようになってきた。失敗が多いからこそ、「他者志向性」も身に着けつつあるのだろう。こういった経験も含め、周囲の人達に良いキッカケや気付きを与えらえれるように、ギブの精神を持ち続けたい。


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