見出し画像

人口減少そして借金に対して手を打たなくては、日本は衰退を続けるほかない ジム・ロジャーズ氏

2 財政破綻が起こるとすれば、何を引き金にいつ起こるのか

この章では、まずは財政破綻・ハイパーインフレの危機があるという有識者(著名な方や研究者)の見解を見ていきます。

〇 ジム・ロジャーズ 世界的投資家。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立

MMTについて

 最近、MMT理論を耳にする回数が増えた。独自の通貨を発行している政府は決して破綻することはないとの理論だが、私には、「Modern Momentary Theory」というより「More Money Theory(もっと今お金を!)」の略にしか思えない。
 唱えていることは素晴らしいから、債務が増えるにつれ、もっとMMT信者は増えるだろう。イギリスや日本の中央銀行の対応もまるでMMT信者そのものだ。ただ、明らかな間違いであり、必ず失敗するだろう。
(大転換の時代 ジム・ロジャーズ著 2020年12月27日発行より)
 私は、10年以上前から日本社会が抱えている問題を指摘してきた。少子高齢化や多額の財政赤字に伴う恐るべき長期債務残高など、今では多くの日本人が認識している問題について。
 しかし、私の目から見ると、日本人は問題を認識しながらも、本気で解決しようとしてこなかったように見える。2010年にギリシャが財政破綻を起こし、大混乱が起きたことをほとんどの日本人は知っている。それでも彼らは「日本とギリシャは違う」と考え、昨日までと同じ生活を繰り返してきた。
 破綻というものは、ゆっくりゆっくりと訪れるものだ。リーマンショックのときもそうだった。少しずつ力を加えた小枝が、やがてポキリと折れるように、取り返しがつかなくなってから多くの人が「しまった」と気づく。
 人口減少に、そして借金に対して何か手を打たなくては、日本は衰退を続けるほかない。勘違いをして欲しくないのだが、これは私の「意見」ではない。意見に対しては異論が成り立つが、この問題は簡単な算数ができれば誰でも明らかにできるものなのだから。したがって、これから起きる破綻は、日本人が自身で決めたことにほかならない。
(日本への警告 ジム・ロジャーズ著 2019年7月18日発行より)

〇 その他

直近で財政危機や財政破綻をしたのは、ギリシャ、ロシア、韓国、アルゼンチン
 アルゼンチンは2001年12月、デフォルトを宣言しました。財政破綻です。政府は取り付け騒ぎが起きるのを防ぎ、資金の海外流出に歯止めをかけるため、全銀行の口座を凍結しました。国民は自分の口座からの引き出しでさえ、週に300ペソ(150ドル)に制限されました。多くの人々はドル建ての定期預金を持っていたのですが、それを引き出す際には1対1.4のレートで強制的にペソに交換されることになりました。つまり自分の預金の3割近くを召し上げられることになったのです。
 また一定金額以上の預金は強制的に定期預金に変更されて、ものすごく低い金利を強制されることになりました。その結果、もっとも痛手を被ったのが中産階級の人々でした。富裕層の多くは海外に口座を持っていました。貧困層は元々預金を持っていなかったので、被害を受けずに済んだのです。
 財政破綻後、金融機能は完全に麻痺しその結果、倒産する会社が相次いで失業率は20%を超えるまでになってしまいました。また輸入品を中心に物価が急上昇し急激なインフレが発生しました。生活必需品の価格が3割近く急上昇したのです。
(90分でわかる!日本で一番やさしい財政危機超入門 永濱利廣著 2013年9月5日より)
 もし日本がIMF 管理下に入った場合、実行されるであろう8項目のプログラムが国会(注:2002年2月14日)で公開されたことがある。プログラム名をネバダレポートという。
>五十嵐文彦議員
これはアメリカの IMF に近い筋の専門家がまとめているものなんですけれども、もし IMF 管理下に日本が入ったとすれば、8項目のプログラムが実行されるだろうということを述べているものであります。
1 公務員の総数、給料は30%以上カット、およびボーナスは例外なくすべてカット。公務員の退職金は一切認めない。
2 年金は一律30%カット
3 国債の利払いは5年から10年間停止
4 消費税を20パーセントに引き上げる
5 課税最低限を引き上げ、年収100万円以上から徴税を行う
6 資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の5%課税
7 債権、社債については5%から15%の課税
8 預金については一律ペイオフを実施し、第2段階として、預金を30%から40%カットする
>塩川財務大臣
数字の面で議論はございますけれども、私は今おっしゃったような厳しい認識は持っております
>竹中大臣
長期的にはやはり持続可能であるためには、プライマリーバランスを均衡させなければいけないと強く思っております
(絶対に受けたい授業「国家財政破綻」 鳥巣清典著 2010年7月2日発行より)

IMFのネバダレポートが実在するかどうかの議論はありますが、2002年時点でも日本の財政に対するかなりの危機意識は、自民党政権にもあったようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?