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ブラックホール爆発 時空間は存在しない「コラム」

目に映る世界は私たちの知覚が作り出している。
宇宙は、情報のみが支配する世界だった。
我々は、離散的な確率の集合の平均値を見ているのかもしれない。

今回は、ブラックホール爆発とか、時空間は存在しないというぶっ飛んだ話ではあるんですが、

ループ量子重力理論という、今、最も信頼のおけるであろう物理理論を背景にして、ブラックホールが爆発するという予測をするというお話です。

なので、決して空想だけの話ではありませんし、ただの思考実験でもありません。

現在、私たちの生活は、一般相対性理論や量子力学理論なくしては、まったく成り立ちません。

それは、こういった物理理論が、実際に私たちの文明の中で、機能していることに他ならないからです。

要するに、これらの理論はめちゃくちゃ使えていて、ほとんどの事は、方程式通りに予測が出来ている証拠だと言えます。

完全に正確だと言っている訳ではありません信頼がおけると言っています。

こういった信頼のおける物理理論が予期する宇宙とは何なのか?
宇宙はどういう仕組みで存在するのか?
そういった話とともに、ブラックホールと時空間の話をしていきたいと思います。

結論から言います。
世界は相互作用「素粒子や粒が影響を与え合っている」の集積で出来ているという量子力学からの視点からすると、相互作用以外の、時間も空間も、我々が認知できるほとんどの出来事は、世界の仕組みとしては存在しないという事です。

概念としての時間とか知覚としての時間は、私たちが感じることが出来る以上、間違いなく存在するはずですが、時空間というのは、「世界」もしくは「宇宙」の仕組みにおいて普遍的かつ共通の仕組みではないということです。

さらに言えば、宇宙には、無限もゼロも存在しないというのが、今の科学シーンにおいての支配的な考え方になると思います。

一般相対性理論「アルベルト・アインシュタイン」

最初に発表された「特殊相対性理論」は、光速度不変の原理「真空上の光はどの慣性系でも同じ速度」相対性原理「全ての慣性座標系は等価である」

というものです。(重力を無視した慣性系の理論ですかね)

アインシュタインは、次に「一般相対性理論」を発表します。
重力場に関する理論で、時間と空間を結びつけるような理論です。

この理論の応用としては、GPSの時刻補正が有名ですね。

重力の強いところほど、時間がゆっくり進むことが明らかになりまして、例えば、机の上の時計と、床の時計で差が生じていることが分かりました。

普通の暮らしの中では、その時間の差は小さすぎて、だれも気付かないし、無視できる程度なんですが、衛星軌道にいる人工衛星は、距離もはなれているし、もっと時刻が狂うので、相対性理論を利用して、時刻の補正を行っています。

原子力や、宇宙のはじまりと言われるビッグバン、そしてブラックホールも、相対性理論によって、予見されましたし、観測も行われています。

アインシュタイン博士は、25歳のときに、相対性理論を作ったのですが、その時同時に、2,300年間、誰も答えを出せなかった、物質の最小単位である原子の寸法「サイズ」を計算します。

物質は、サイズを持った粒で出来ていることを証明した訳ですね。

見えないものを予測するのは大変なことですね。
アインシュタインは、自身が生み出した相対性理論が、ビッグバンやブラックホールの存在を予見したにもかかわらず、彼自身は、相対性理論に間違いがあるのではないかと考えていたそうです。

面白いのは、アインシュタイン自身が、一般相対性理論を信じていなかった事でしょうか。

この頃はまだ、相対性理論を裏付ける観測のほとんどは、技術的に出来ませんでしたからね。

流石、科学者という感じです。

量子論

量子論は、1900年、物理学者マックス・プランクの量子仮説によって、量子論最初の方程式は作られました。

プランクは、物理学の量子化を唱えた人です。
量子化とは、物理現象が連続量としてではなく、離散的「バラバラの粒の集合である」として解釈することです。

プランクは、エネルギーを粒の様にとらえて、その振動数と振る舞いに関係があることを発見しました。

あれですよ、鉄を熱すると赤く光ったり白く光ったりするやつ。
波の振幅は、光の強さに対応していて、波の振動数は、光の色に対応しているという法則。

相対性理論とは違って、量子力学は、実験結果から直接生み出されたような理論ですね。

そして、その振動数と振る舞いに関係がある現象が実在することに気づいたのも、アルベルト・アインシュタインだったそうです。

アインシュタインは、光が本当に粒子で出来ていることを証明しようとしたんですね。
光は空間の中に連続的に分布しているのではなくて、空間の中に点在する、有限な数のエネルギーの量子によって構成されていると。

それまで光は、電磁場の波であるという見解が支配的だったので、滑稽な考え方だと思われてたそうですが、後にアルベルトはこの光量子仮説によって解明した光電効果の法則によって、ノーベル賞を受けることになります。

量子力学はすでに私たちの身近な生活に欠かせないものとなってきました。
コンピュータに使われる半導体は、量子力学の理論にもとづいて作られていますし、DVD、レーザー、デジカメ、スマホなども量子力学の理論なしには存在しえません。

先進国のGDPの35%以上は、量子力学にもとづく技術を利用して生みだされていると言われるほどです。

もはや量子力学なしには、現代人の生活は成り立たないといっていいでしょう。

もちろん、素粒子物理学での「量子もつれ」とか「量子テレポーテーション」のような分野の応用は、今からの分野ですけどね。

とは言え、今までの歴史上、量子理論は、結果を出し続けています。
要するに、実験結果は今の所、理論通りの結果を得ているという事です。

物事が正しいかどうかを、科学が証明することは出来ませんが、極めて信頼のおける物理理論であることは、誰もが認めるところでしょうね。

時間とは何か

時間とは、出来事や変化を認識するための基礎的な概念です(辞書では)
間違いなく私たちは、時間の経過を感じることができますね。

私たちが時間を数として認識するのは、ニュートン力学ですね。
ニュートン力学は、物事が時間の中でどのように変化するのかを教えてくれます。

大砲の弾が、ドーンと発射されたとき、どの辺に落ちるかを計算したりね。
ほとんどの機械は、ニュートン力学なしには正確に動きません。

時間の概念があるからこそ、過去の時間に何が起きたかをもとに、未来の時間に何が起こるかを予見できます。

科学の歴史で最初に物理法則を数式化したのは、ガリレオだと思うんですが、ガリレオの方程式は、物体の高さが、時間とともにどのように変化するかを表しました。

なので、正確な振り子時計を作ったのも、ガリレオです。
同じ振り子が、一度揺れるのに要する時間は、振り子の振れ幅が狭くなっても、一定であることを発見した訳です。

今の私たちは、いとも簡単に時間を測定できますよね。
400年前ですからね、他に気づくやつ居なかったのかよと思いますが、科学とはそんなものなんでしょうね。

と、言いつつ、事はそう単純ではなかったりします。
ガリレオが、どうやって振り子の法則を見つけたかという事なんですが、ガリレオは、ぶら下がった燭台(しょくだい)が揺れるのを見ながら、自分の脈拍を数えていた時、振り子が1回振動するにつき、脈が常に同じ回数を打っていることに気づいたのだそうです。

これは、私にとって、とても感動するエピソードです。
しかしこの話、よく考えると、少し変です。

というのも、ガリレオは、どうやって脈の打つ時間が一定であることを知ったのか?という所です。

要するに、振り子が「規則的」であることを確かめるのに脈を利用し、脈が「規則的」であることを確かめるのに、振り子を利用している。(循環論法)

これは何を意味しているかと言うと、振り子で時間を測っている時も、脈打つ時間を測っている時も、「時間そのもの」を測っている訳ではないということを意味します。

細かいことを言うと、絶対的な時間というか、共通の尺度としての時間がなければ、ニュートン力学は正しく機能しません。
私の1秒は、これくらい、あなたの1秒はこれくらいではダメですよね。

ここで「時間は存在しない」という主張に少し触れると、そもそも、時間という概念が確立していない頃から、人類は文明を築いていましたし、正確な時間を測定できなくとも、特に生活に支障はありませんね。

しかし、ニュートン力学のように、時間のなかで展開するような方程式では、私たちの住むこの世界を「記述」することは不可能です。(本来はね)

私たちは、まず、時間という大きな流れがあって、その仕組みの中で、物事の変化が起こっていると考えています。

でも実態は、ガリレオが時間を測った方法からすると、片方がもう片方に対して、どのように変化しているかしか正確に計測することは出来ないのが現実ということが分かります。

私たちは、時間そのものを、確かに感じることは出来ますが、振り子が1回振動するのに対して、脈拍が5回振動するというような、物事同士の比較から、時間という感覚を二次的に得ているというのが、正しい理解でしょうね。

したがって、時間と言う概念は、万物の中心をなす仕組みではなくて、生物にとって、あってもなくてもいいような、ただの関係を表す言葉であることに気づくことが出来ます。

こういった考え方を元にして、時間のない物理学というものが、現在の物理学の中心に位置するようになりました。

予測される宇宙「世界」

「量子重力理論」という、重力の相互作用を量子化した理論があります。

この「量子重力理論」は、一般相対性理論と量子力学の双方を統一する理論として期待されています。

物理学の基礎概念である、時間、空間、物質、力、を「統一的」に理解するための鍵であり、物理学における最重要課題の一つと言われています。

この「量子重力理論」というもので記述される世界は、世界を「収容する」空間も、物事の発生を「順序づける」時間も存在しません。

私たちの世界には、空間と物質の量子が絶えず相互作用しあっている過程だけが存在するのだと言うものです。

先に解説すると、「空間」とは、何もない「場所」のことですが、「空間の量子」とは、空間そのものが量子、つまり「粒」の集まりだという考え方です。

例えば、私たちの感覚では(ニュートン力学)
ゴミ箱に、「紙くず」をほおり投げる場合、投げ捨てられて、ゴミ箱に入った「紙くず」は、
ゴミ箱の中で、いくらかバウンドします。

それは、物と物が衝突しながら、限られた時間だけ継続する様子ですね。

しかし、「量子重力理論」を使ってこの現象を扱う場合、我々の知る空間とか時間は、あくまで量子同士の「相互作用」から引き起こされるひとつの概念に過ぎないので、この、ゴミ箱に「紙くず」を捨てるという過程の中に、空間と時間そのものを、含めて考える必要があります。

要するに、このゴミ箱に「紙くず」を捨てるという過程は、時間の中で起こるのではないということです。

また、ゴミ箱に「紙くず」を捨てるという過程は、空間の中で起こっている訳ではなくて、その過程で起こっている量子の「相互作用」自体が空間そのものであると言っている訳です。

世界の最小単位

ここから、この世界の最小単位についてお話していきます。
世界の最小単位を考えるにあたって、物は、無限大に分割できるのか?
という疑問が最初に湧きますよね?

物を、無限に分割することが実際「可能」なのであれば、最小単位なんていうものは存在しないので、議論の余地すらありません。

この問いに対して、2,300年も昔に、デモクリトスという哲学者が、すでに合理的な解を出しています。

物を分割した結果、寸法「サイズ」が残っている限り、無限に分割したとは言えませんし、もし仮に、無限に分割した結果、寸法が無くなる「サイズがない」ただの点になったとして、逆に、その点を集めて、分割したものを復元できないよね?となった訳です。

なぜなら、点それ自体に、寸法「サイズ」が無いのだから、それこそ、この点を無限に足しても、点のままです。

したがって、そもそも寸法「サイズ」のないものから、物質が構成されているとは、考えられないという結論をデモクリトスは、出したわけです。

現代科学においても、物質には最小のサイズがあるというのが支配的な考え方です。
とにかく、物質や空間の最小単位は、有限であるということは間違いないでしょうね。

宇宙には、果てがあるのか?

アインシュタインは、「三次元球面」という仕組みによって、宇宙は有限であり、果てが存在すると結論付けました。

「三次元球面」とは、1個の球体を、端で張り合わされた二枚の円盤として表す方法です。

これなら、面でありながら、果てを感じさせずに有限な大きさを実現できます。

実際には、私たちの世界は面ではなく立体なので、二枚の円盤ではなくて、二個の球体がそれぞれの端で張り付いている格好になります。

面のように正確な表現は不可能ですがw
この球体は、互いに取り巻き、取り巻かれている訳ですから、その球体の外にでれば、必ずもう一つの球体に入ることになります。

実を言うと、アインシュタインは、宇宙は不動で普遍であると確信していたそうです。
ところが、彼自身が作った方程式は、それとは「正反対」の結論を導き出します。

彼の相対性理論は、宇宙は膨張しているか収縮しているかのどちらかだという結果を出したんですね。

アインシュタインは、宇宙は常に動いていて、普遍なものではないという結果を拒絶するために、不合理な間違った修正を何度も繰り返したそうです。

結局、正しかったのは、アインシュタインではなく、アインシュタインの理論の方でした。

後に、アインシュタインの方程式が予見していた通り、宇宙は本当に膨張していたことが、観測されることになります。

アインシュタインの方程式を通して、今から140億年前、宇宙は極めて凝縮された状態で、ひとつの「点」ほどの大きさであったことが導き出されました。

その「点」から宇宙規模の大爆発が発生し、宇宙は膨張を始めたということが予測されました。

その後、宇宙全体へ拡散していくある放射線が発見されます。
調べると、その放射線というのは、初期の「宇宙」における莫大な熱量の残りカスであることが分かりました。

これが、「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれる現象です。

量子重力理論における時間と空間について

先ほども少し触れましたが、「量子重力理論」において、時間と空間は、存在しません。
もしくは、構成物ではないというお話をしました。

また、物質の小ささにも限界があり「有限」であると言いました。
これと同じく、量子力学では、情報も「有限」であると考えます。

ジグソーパズルのピースの数が「有限」であるなら、その組み合わせ(情報)も有限であるという事と同じですね。

「量子力学」において、この情報のやり取り、量子同士の関係自体が、私たちが「空間」と呼んでいるものも作っているという訳です。
空間に量子があるのではなくて、量子が空間そのものということです。

ブラックホールに吸い込まれなくて済む、粒子の最小の寸法を計算すると、世界に存在する最小の長さを表すことができるそうです。(量子のスケール)

この最小単位である量子スケールを、プランク長と呼びます。
このプランク長の長さは、10のマイナス33乗センチとのこと。

ピンポン玉を、宇宙の大きさにしたとき、ポンポン玉の100万分の1の大きさに相当する小ささです。

「量子重力理論」におけるイメージは、この極限に小さな、プランクのスケールまで細かく見たとき、それぞれ違った幾何学図形のようなものから成る確率の波のように見えます。

この確率の波を描写する方法を、物理学者ジョン・ホイーラーは探します。
そして、同僚のブライス・ド・ウィットが発案した、「空間の波動関数」のための方程式を元に、一般相対性理論の「軌道方程式」の一種が生まれることになります。

この方程式は、時間を変数に含まない画期的なものでした。
とはいえ、ほとんどの研究者は、この方程式の使い道が分からなかったそうです。

しかし、研究者たちの中で、さらなる試行錯誤が行われ、「ループ量子重力理論」なるものが、誕生することになります。

そして、ファラデー力線という「場」という概念のような、「力線」の様なものが「重力場」にも存在し、世の中のすべてが量子化されていると考えるようになっていきます。

空間の中に浸かっている場(磁力線みたいなやつ)が重力場ではなくて、重力場とは、空間の構造そのものであるとして、量子重力の研究は進められました。

そして、その力線の様なものが触れ合う点は、「節」と呼ばれ、その節同士を繋ぐ部分は、リンクと呼ばれることになります。

空間に存在するこの節が、体積を持ち、それを1本1本の線が繋いでいるイメージです。

このたがいに触れあっている線全体は、グラフと呼ばれ、節全体の総体であるとされました。

その形状は、石鹸の泡の様な形だと考えられています。
ループ量子重力理論における「空間」のモデルがこれにあたります。

ここで言う「空間内における体積」とは、実のところ「重力場」のことです。
つまり、体積とは、重力場の「変数」であるということになります。

変数とは、プロパティの事です。
その重力場が持つ、設定や状態、属性などの情報のことですね。

そして、「節」同士の間にある隔たり「表面」の寸法こそ、私たちが面積と呼んでいるものなんです。

面積もまた、体積と同様に物理的な変数なんですね。

これらの結果から、物理的な空間も、「場」である以上は量子から出来ていると考えます。

重力の存在する「量子重力場」もまた、同じように量子によって存在していると考えます。

要するに、空間もまた「量子」である。
すなわち、空間そのものも「小さな粒子」である。
という予測を立てることができる訳です。

そしてその空間がとりうる量子的な状態「変数」も量子に準じます。
量子のふるまいは、予測できない統計的な雲のようなものでした。
したがって、空間そのものの持つ状態も、離散的だということです。

空間自体が量子であり、その「空間という量子」と隣り合っている「空間という量子」が、どのような量子であるかと言う情報を持っている感じです。

分かりやすく言うと、各量子のスペクトラム「変数」は、隣り合う量子のスペクトラムに対応し変化するという事です。

(スペクトラムとは、虹のような種類を有する情報のこと)

したがって、万物を構成する要素である「空間という量子」は、ずっとそこにあって、隣り合う量子と情報交換をしながら、形を変えていくような感じでしょうか。

様々な物質や素粒子、私たちからは真空の空間などに見える場所なども、すべてが「空間という量子」から出来ている訳ですから。

最初に時間が存在しないという話をしましたが、私たちや、この世界を構成する「空間という量子」のミクロの世界における「確率的な変化」の平均値の様なものが、マクロに生きる「私たちが観る世界」を形作っていると言えます。

したがって、時間が経って物が変化するのではなくて、物が変化する状態を「時間」と定義していることがよく分かります。

「時空間」と「場」と「粒子」から世界は作られていると考える「相対性理論」から、「時空間」と「量子場」という二つの構成物から世界は作られていると考える「量子力学」を経て、「共変的量子場」のみで世界は作られているのだという、「量子重力理論」に至ります。
(共変的:相互作用によって変化する感じ)

そんなこんなで「一般相対性理論」と「量子力学」の間には、かつての様な深刻な対立は存在しなくなることになります。
(不確定原理と因果律)

未完成であるけども「量子重力理論」によって、「一般相対性理論」と「量子力学」は、互いを補強し合う関係となりました。

これまでの物理理論は、連続的な空間を背景に定義づけられていた「無限」という概念が、足かせになっていたのかもしれません。

連続的な時間の存在、すなわち「無限の存在」よって、ブラックホールの重力場の力があまりにも強くなってしまい、アインシュタインの方程式が成り立たなるブラックホールの「特異点」は、無限の概念の消失とともに姿を消すことになります。

ビッグバン

「量子重力理論」によって、ビッグバンやっブラックホールのような事象は、どう解釈されていくでしょうか。

「宇宙マイクロ波背景放射」の発見によって、ビッグバンは高い確率で起こったと考えられています。

しかし、一般相対性理論では、ビッグバンにまでの間を逆再生すると、この宇宙は無限に押しつぶされ、体積のない「点」になって消失してしまいます。

ところが、「量子重力理論」を考慮に入れれば、宇宙の収縮にも限界がある事が判明します。

それは、あたかも、量子的な反発力によって、宇宙が跳ね返っているかのような状況です。

量子的な反発力とは、量子論における相互作用のことです。

結果、収縮過程にある宇宙が、広がりを持たない「点」にまで縮むことは無く、宇宙はどこかで反発し、巨大爆発を起こし再び膨張を始めることになります。

私たちの宇宙は、これに似た反発の結果であった可能性が高く、その反発する「時期」をビッグバンではなく、ビッグバウンスと呼ぶそうです。

これは同時に、私たちの宇宙が生まれる前には、別の宇宙が存在したことを示唆しています。

ブラックホール

それでは、ブラックホールの話をしましょう。

重力が大きくなると、空間と時間が圧縮される状態になることが、理論上からも、観測上からも分かっています。

ブラックホールは、その重力の大きさの為、空間そのものが崩壊し、時間が全く流れなくなるという不思議な天体です。

ブラックホールは、大きな恒星が燃え尽きたとき、自らの重みに耐えられなくなって潰れたときに形成されます。

現在は、太陽と同程度の質量を持つブラックホールがいくつも発見されています。
銀河の中心には、太陽の100万倍の質量を持つものまであります。

ブラックホールには、地平面があります。
事象の地平面です。

この地平面の内側では、ブラックホールの巨大な重力が存在するため、光速を超えた速度でないと、そこから脱出できなくなります。

もし、その事象の地平面にいる宇宙船があったとすると、私たちは、完全に時が止まった宇宙船を見ることになります。

逆に、事象の地平面にいる宇宙船から私たちを見ると、一瞬で何億年という速さで時間が流れているのを見ることが出来ますね。
(速いし眩しいし、人間には無理ですが)

「量子重力理論」によれば、先ほどのビッグバンと同じ理屈によって、ブラックホールもまた、無限に小さくなることはなくて、ブラックホールの超重力によって圧縮された空間には、量子の反発する巨大な圧力が発生することになります。

ここからが面白いんですが、ブラックホールの内側から見たとき、その反発「爆発」は凄まじい速度で展開するでしょう。(当たり前だけど)

でもですよ、ブラックホールの超重力は、時間の流れも遅らせますね。
それも、停止していると同等の時間の流れですからね。

そうすると、外にいる私たちから見れば、その反発の過程が数十億年に渡り続く可能性は十分あります。(間違いない)

今発見されているブラックホールも、その反発途中ではあるものの、浦島効果によって、私たちが認知できないほど遅い爆発がつづいていると考えるのが合理的ではないでしょうか。

もしかすると、初期の宇宙で形成されたきわめて古いブラックホールなら、すでに爆発が終了しているかもしれませんから、観測できるかもですね。

最近になって、電波天文学者によって「高速電波バースト」と呼ばれる宇宙からのシグナルが観測されました。

それは、1日に1万回、あらゆる方向から観測されます。
現在の所、この電波の出どころについて、様々な予測が飛び交っています。

でも、この奇妙な電波こそ、原初のブラックホールが爆発した証拠なんではないかと思うんですね。

最後に、物理学が新たな一歩を踏み出すには、「情報」という概念が根本的な役割を果たすのではないかと多くの科学者が考えていると言います。

物理学における情報とは、「起こりうる選択肢の数を計測したもの」を指すそうです。

私たちは、アナログ=「無限の段階を持つ選択肢」のことだと思っていたわけですが、スペクトラム、すなわち、私たちが住む世界は、しっかりとした区別が有限に存在し、段階的であるとするのなら、コンピューターのビットと似た性質の上に成り立っているわけで、随分、デジタルな世界だなと感じざるを得ません。

「量子重力理論」が描く世界は、「大きさを持つ空間という量子」の情報交換が、この世界を作っていることを私たちに教えています。

極端な話をすれば、私たちの世界は情報のみで構成されていて、物質というものは最初から存在せず、水に出来た波紋の様な実態のないものなのかもしれません。

その中で生きる私たちが、宇宙が収縮する何百億年先まで子孫を残すことがあれば、宇宙そのものと一体である我々の子孫は、その収縮に抗う事は出来ないでしょうから、次の宇宙の一部として、確率の雲の中に溶けていくことになるかもしれません。

<参考書籍>
すごい物理学講義 (河出文庫)
カルロ・ロヴェッリ (著), 竹内薫 (翻訳), 栗原俊秀 (翻訳)

読んで下さってありがとうございます。