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アローレイズバックルっていいよね~~~!!!

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買ってしまった。元々レイズバックルの「ゲーム中にエリアを探索することで入手できる」「レアリティが明確に存在する」といった、モチーフであるバトルロワイアルやサバイバルゲームの世界観に忠実な設定に加え、フォーゼのアストロスイッチを想起させるような単体に個別のギミックを持つ仕様などの様々な点に魅力を感じていたのだが、気づくと家電量販店の玩具コーナーに自分はいた。

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開封してからしばらく手元でいじっていたのだが、これがやけに楽しい。手元にすっきり収まるサイズ感に加え押したり引っ張ったりといった個別のギミックの感触が心地よい。アストロスイッチやロックシードのように暇があればついつい手元でガチャガチャやっていたくなる感じがクセになる。残念ながらまだデザイアドライバーを購入していないためこれ以上遊びの幅が広がることはないが。

特に僕は作中の扱いも含め、アローレイズバックルが今のところお気に入りである。

第一話で仮面ライダーシローこと豪徳寺武の装備品として初登場してから紆余曲折を得て、第三話で仮面ライダータイクーンこと桜井景和に継承されたアローレイズバックル。

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アームドアローの武装のカラーリングにタイクーンのメインカラーである緑が合わさることで全体的な見た目に統一感が生まれて良い。それに加え、タイクーンはエントリーレイズフォーム(素体)の状態でも右脚に「タイクーンバンテージ」という運気を上昇させる効果を持つ緑色の布を巻いているので、アームドアローになった時に見た目の情報量が増えるのも面白い。

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しかしこのアローバックル、残念ながらタイクーンが継承する前の持ち主であるシロー、そして景和の志望するIT企業の人事部長である平孝人が変身する仮面ライダーギンペンが二人とも退場してしまったために「呪物」や「ハズレ」などどいう不名誉なレッテルを張られてしまっている挙句、「アローバックルを使うのは死亡フラグなのでタイクーンも退場する」などといったジョークとして言っているのか本気でそう考察しているのか分からない曖昧なラインの縁起でもないことを言い始める層も少なからず見られるようになった。

嘆かわし~!!

憤る。このやりきれない気持ちをどうしたらいい。

確かにアローバックルは初期4種の小型バックル、所謂「ハズレ枠」ではあるのだが(作中でもそう明言している)、ハンマーは攻撃力に優れているが近接戦でしかその強みを活かせないし、シールドは防御力に優れるが攻撃に転用するには工夫が要る。ウォーターに至っては水辺でないとその性能を発揮できないので鈍器として使うしかない。作中ではギーツやバッファといった戦闘慣れした面々が使いこなしていたが、ナーゴやメリーなどのルーキーは苦戦している描写が多い。こういった性能面で鑑みても、アローは他三種と比べて「遠近共に活躍できるクセのない優秀なバックル」だと思う。

実際、シローはアームドアローのみで、大型バックルを所持したギーツ、バッファと並びデザイアグランプリ(以下DGP)決勝戦まで勝ち残っている。

一方でギンペンはというと、戦い慣れしていなかったためか、突っ込んで近接戦を仕掛けた結果、首領ジャマトに蹂躙され惜しくも死亡してしまった。この「遠近共にそこそこ戦える」という性能がルーキーであるギンペンの判断を狂わせてしまったのかもしれない。

しかし、戦績のみがそのアイテムの価値を決定づけるものではない。

実際、演出的にもシローとギンペンの死は景和、並びに我々視聴者にDGPの過酷さを知らしめる役割があったのだと思うし、DGPが文字通り命がけのゲームであることが彼らの最期の描写を以って鮮明に示されたと思う。

そして、シローとギンペンという、景和にとっての命の恩人である二人を両方とも目の前で亡くしてしまったという事実は、「世界平和」という具体性のないフワッとした願いだけを掲げ、戦いに消極的だった景和が「脱落者を生き返らせたい」という明確なモチベーションを持って仮面ライダーとして戦う覚悟を決めるようになるまでの成長劇を描く上で欠かせない「生きた舞台装置」的な側面を持っているのだ。

実際、覚悟がまだ固まっていなかった景和は、第一ラウンドで孝人さんから守ってもらった上に、病に臥する息子の話を聞いていたにも関わらず、彼が首領ジャマトに一方的にやられている光景をただ隠れて眺めることしかできず結果的に孝人さんを見殺しにしてしまうこととなってしまった。しかし、その後孝人さんの死を目の前で見届けることになってしまった景和は、遺品のアローバックルを受け継ぎ、DGPを勝ち抜くことを決めた。

また、弓矢といえば鎧武の挿入歌である「時の華」の「一度放たれた矢はその弓離れたらもう二度と戻れないと知っているだろうか」という歌詞にもあるように、「覚悟」の表現としても代表的である。

その「弓」を脱落してしまった二人から景和に継承させたのは作劇的にも意図的な描写だと思うし、アローバックルこそが景和の「覚悟」をモノとして可視化したものだと僕は思っている。

そう考えるとタイクーンのアームドアローにはますます文脈が乗ってくる。4話で景和がゾンビジャマトの群れ相手にアローで必死に応戦していた際、あまり命中こそしていなかったものの、2話のへっぴり腰と比べるとその成長度合いがとても感慨深い。景和が専用の大型バックルを手に入れパワーアップするのはまだもう少し先になるのかもしれないが、それまではシローとギンペン、二人から受け継いだ想いとアローバックルで頑張ってほしいところである。

長々と書いてしまったが、要は「アローレイズバックルを使ったライダーが二人連続で死んだ」という出来事だけでなく、そこまでの諸々から感じ取れることが沢山あるのに、そういったことに深く目を向けず「ハズレ」「死亡フラグ」「呪いのアイテム」などといった直感的な浅い意見だけで自分の中の認識を固定化してしまうのは勿体無い、ということが言いたかったのだ。

作劇上の意図を読み解き、純粋に感情を揺さぶられることのできる豊かな感受性を養うことが作品をさらに楽しませてくれるのではないか、と思う。

とりあえず僕は早いところデザイアドライバーを買わねばなるまい。

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