![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49903556/rectangle_large_type_2_c2e1d68266d2727c068bb8b537d9b243.png?width=800)
野鳥図鑑は「写真」と「イラスト」どちらを買うべきか
紙の野鳥図鑑を購入する際に、メインビジュアルが写真のものにするかイラストのものにするかで迷うことはないでしょうか。今回は、それぞれのメリットと弱点を洗い出し、私なりの「良い野鳥図鑑とは」を定義してみたいと思います。
野鳥図鑑には写真メインのものとイラストメインのものがある
私は紙の図鑑が大好きで、野鳥図鑑も国やエリア別(ヨーロッパ、アメリカ、など)や科別(キツツキ科、など)のものを買い集めている最中です。
野鳥図鑑と一口に言っても、その目的によって構成の仕方や鳥のビジュアルがどのように表現されているかなどが異なります。
数々の野鳥図鑑を見比べたときに、ビジュアルの大きな違いは「写真」なのか「イラスト」なのか、ということです。私は写真メインの図鑑を購入することが多いのですが、写真、イラストそれぞれに良さも弱点もあるなと感じています。この機会に、言語化してみたいと思います。
写真のメリット 「リアル」(実在)であること
写真の一番のメリットは「リアル」であることです。一瞬を切り取った写真には、人間の技では表現しきれない緻密さがあります。光の調整はされているかもしれませんが、基本的に編集されない「実在」を写し出しており、これは写真だからこその強みです。
写真の弱点①同じポージングでの撮影が困難
写真はリアル(実在)であるがゆえに、野鳥は必ずしもこちらが思った通りのポージングをしてくれるわけではありません。掲載されている野鳥は、それぞれポージングが異なります。
そのため、見た目がよく似た種類を比較するためのビジュアルとして利用するには、少し難しいかもしれません。
写真の弱点②光の具合によって見え方が異なる
野鳥がいる場所や生態によっては太陽光が届かない・あるいはない場合に撮影したものなども含まれるでしょう。
例えば、夜行性のフクロウ。日中は眠っていて目を閉じているので、目が開いている写真は夜間でなければ撮れません。そうした状況下で撮影した写真は、撮影後の光の調整にも限界があるため、日中に活動している野鳥の撮影とはわけが違ってきます。
さらには、朝・昼・夕方の太陽の光によっても、見え方はかなり変わってきます。このように、すべての種を同じ条件下で撮影することが不可能な以上、同じ種でも撮影時の環境によっては見え方が異なることは避けられないでしょう。
ただ、実際にフィールドで野鳥観察する際も「観察に完璧なコンディション」であることは稀です。その意味では、一見デメリットに思えるこれらもまた、リアルさというメリットの一部とも捉えられるかもしれません。
イラストのメリット 識別に適している
写真では同じポージングでの撮影はほぼ不可能ですが、それを実現できるのがイラストならではの強みです。
また、羽を広げたときの脇の部分の羽の色や、逆光になってしまいがちな猛禽類の飛翔時の体下面など、写真では鮮明に映すことが難しいパーツや場面を、克明に表現できます。
こうした理由から、識別のためのビジュアルとしては、写真よりもイラストの方が大いに助けになります。
イラストの弱点 リアルさでは写真にかなわない
イラストは、人の記憶や脳内で一度インプットされたものをアウトプットしたものなので、やはりリアルさという点では写真を超えることは難しいでしょう。
しかし、日本を含め、世界には優れたイラストレーターがおり、彼らの表現力はときに現実をしのぐほどリアルに描かれていることさえあります。
目的に応じて写真とイラストを吟味しよう
紹介してきたように、写真・イラストにはそれぞれの良さがあります。図鑑を選ぶ際に写真とイラストが選定基準として挙がった際には、上記が参考になれば幸いです。
私の個人的な結論としては、写真とイラストどちらが優れているか、ということではなく、写真とイラストのハイブリッド図鑑が増えると嬉しいということです。メインビジュアルは写真で、飛翔時の羽の模様などはイラストで描かれている図鑑が、お互いの弱点も補いながら、かゆいところに手が届く、とても親切な図鑑だなと感じます。
実際に購入している図鑑も、ハイブリッドタイプが多いです↓
メインは写真を使用しつつ、猛禽類の飛翔時の識別や、カモメ、サギ類など見た目がよく似た種についてはイラストのページを設けている。こちらの記事でレビューを紹介しています。
▼RSPB Birds of Britain and Europe Flexibound
休息時のビジュアルには写真を使用し、飛翔時の体上面(一部体下面)についてはイラストを掲載している。
皆さんが野鳥図鑑を購入の際には、よいお買い物ができますように。
お読みいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?