01-はじめに

前世療法というのをご存じでしょうか。この本を手に取っておられるということは、すでにある程度の知識を持っておられることと思います。
前世療法というのは、ご本人が抱えている問題や悩みや、今置かれている環境や状況の大本の原因を、催眠状態の中で前世までさかのぼり、ご本人に思い出していただき、問題を解消していくという手法です。私が、占い師のように前世を言い当てるというようなやり方ではありません。ご本人が思い出しますから、とても実感と説得力があります。
 
私は、その前世療法を中心としたセラピーを二十年ほど前から行っています。この二十年間で述べ三千人以上の方の問題と向き合ってまいりました。
私のセッションでは、お一人当たり三~五つの前世を明らかにしていきますので、今まで一万以上の前世と向き合ってきたことになります。
 
そのように、たくさんの事例と向き合っていくうちに、人生の奥底には実にシンプルな法則があることに気づきました。
その法則にもとづいて物事を考えていくと、本質的な答えが出てくるのです。クライアント様の悩みの根本原因がどこにあるのか、思考や価値感の何がずれているのか、どうすれば悩みや問題が解決するのかが、自ずと分かるのです。
さらにその法則を、セッションの中でクライアント様にお話していくと、殆どの方がそれを理解するだけで、悩みの半分以上が解決していくことに気づきました。中には、全ての問題が解消してしまう人もいます。
たくさんのクライアント様から、早く本にまとめるようにご要望をいただいていたのですが、何年もの時間がかかってしまいました。

ところで、このセッションを始める前、私自身も沢山の悩みの中にいました。
子供の頃から、とても貧しい家に育ちました。その貧しさから抜け出したくて、二三歳で商売を始め、二七歳の時には同年代の方の一〇倍近くの年収がありました。

しかしその時ふと思ったんです。「こんな若造が、こんなに成功していいんだろうか。このまま行くと、傲慢な男になってしまうんじゃないか。まだ若いんだから、挫折も必要なんじゃないか。」と。
今考えると、とんでもないことを思ってしまったものです。人生は思い通りになります。
その直後から、挫折が始まりました。社員はどんどん辞めていきます。売上もどんどん落ちていきます。一生懸命頑張るのですが、何をやってもうまくいかなくなったのです。
 
死にかける病気もしましたし、仕事も家庭も何もかもうまくいかなくなり、五年間のウツにもなりました。どん底に落ちていったのです。

「こんなはずじゃなかった。あんなに順調だったのに、一体どうしてしまったんだろう。」「一体何のために生まれてきたんだろう。」と真剣に悩みました。何ヶ月も何ヶ月も考え続けました。
そして出た答えが「皆、幸せになるために生まれてきたんだろう。自分も周りの人も全ての人がそうなんだろう。どうもそれは間違いなさそうだ。」と。「ならば、間違いなく幸せになる方法があるはずだ。」と思ったのです。「では、その方法って何だろう?」と、また考え始めました。

しかし、考えても考えても答えが出てきません。何週間も考えた末に出てきた答えが「もう、分からん!」でした。「分からんから、神様にお任せしよう」と。「神様の右手として使ってもらおう」と思ったのです。「神様が自分の右手を不幸にすることはないだろう」と。諦めとも開き直りともつかない感覚です。まな板の上の鯉の心境です。

それからです。人生の流れが変わり始めました。沢山の不思議な出会いや、出来事が起きるようになったのです。「挫折が必要だ」と思ってから十年の月日が経っていました。その三年後、このセッションを始めることになりました。
「間違いなく幸せになる方法があるはずだ」の答えが、少しはわかったような気がします。

一人でも多くの方に、この法則を理解していただき、本来のすばらしい自分に戻っていただくことを期待します。

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