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【タコピーの原罪】フィクションの限界に挑む蛸たちを応援したい(けど見たくない)

 昨年末から話題の例の作品、「タコピーの原罪」。この作品を描いているのはかわいらしくも儚いタッチの絵を描くタイザン5先生(@taizan_5)。めちゃくちゃ終わりが美しい読み切り作品もあるのでおすすめです。

​ 世間の盛り上がりから遅れること1,2週間、「タコピーの原罪」がついに先日友人の紹介から知ることができた。話題になってたことなんて露知らず、読み進めていく。

 んん~??....なんだこれ…e...こんなのって…ゑいやぁ....あああ.........うへぇ.....

こんなのって無いじゃん…えぇ.....

この作品、救いどこ....???


まあみなさんご存じの通り、

令和の大問題作でした(褒めてる)(別に褒めてない)。


今作品における数々の描写

 この作品には数々のいじめ描写・虐待描写が描かれる。各要素を書き連ねるとキリがないので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

 結論から言うと、読者を追い込むためにたくさんの要素が存在するせいで、5話(1月10日現在)で渋滞を起こし始めている(良い意味で)。

 そもそもあんな露骨ないじめ(机やロッカーに落書き等)をされているなんて、昨今のいじめとは大きくかけ離れている。学校の備品を傷つけたのなら、いじめ問題は確実に学校側からも介入が行われる(そうでなくとも対応すべきだけど)。

 しかし、そんな動きは一切現れない。そうやってリアリティこそないが、随所にちりばめられた精神を追い詰めるいじめ描写、無能な教育現場、これらは人によってはトラウマを刺激しかねない。違う、この作品は読者のトラウマ・嫌悪感を刺激することこそが目的なのだ。

  少年ジャンプ+の猛攻はこれだけにとどまらない。しずか(主人公)とまりな(いじめている側)の家庭は共にネグレクト。しずかの家に父はいないし、母は家や娘のことなんてそっちのけ、ついでに給食費は未納。まりなの父はしずかの母(嬢)と惚れ込んで家に帰ることが少なく、母はストレスを暴力などで娘にぶつける日々。

 こんなこの世の終わりみたいな家庭状況でも、しずかの家では犬を飼っているし、まりなは学校というコミュニティの中心人物でしずかをクラス全員で追い詰める。これもまたリアリティがない。実体験があるわけじゃないのに吐き気がする。そう、ここは現実じゃない、この世の終わりだ。

 こんな胸焼けしそうな全部盛りだが、繊細な描写も多い。というか実はほとんどが丁寧に描かれる。しずかの母譲りの魔性の人たらし、両親の関係修復を望み続けるまりな、両家庭に散りばめられた日々の生活の一端。たくさんの要素と明言されない読者の気づき、これらが束となり、読者を深く物語に入り込ませる。

タコピーとかいう存在

 こんな地獄に叩き落されてしまったのはハッピー星から来た「んうえいぬkf」、タコピーだ。彼は前世で何をしでかしたんだろう。読者は常にタコピーを通して地獄を読む。こいつのせいで地獄度が3割り増しぐらいに見える。冗談抜きで。

 彼の辞書には「悪意」という言葉はない。100%善意でしてることが、作品内のキャラクター及び視聴者を追い詰める。1話から散々取り返しのつかないことをしておいて5話まで「倫理観」という言葉を感じさせる言葉は一切なかった。

 ただただ彼が怖い。「早くお前自分の星に帰れ」そう思わせるにふさわしいタコだ。いや本当に早く帰って。

蛸足の伸びる先

 少年ジャンプ+の「プラス」とは「付属」や「おまけ」、「番外編」という意味ではなく、「ジャンプ本誌をも超えてやる」という意味があるらしい。少年ジャンプ+はその挑戦力で、様々な話題作・名作を輩出してきた。

 いまやジャンプ本誌以上の注目度を誇るといっても、首を縦に振る人は少なくない。

 そんなプラスだからこその様々な要素・描写を取り入れる作風は、さながらタコの足。5話にして各方面に怒られそうな描写や展開は、どう進むか。物語の目指す先は、タコピーが足を踏み入れる地獄は一体どこなのか。

 まだ物語は序章。今年は多くのジャンプファンから、今後の展開を握るタコピー、そしてタイザン5先生と編集部に恐怖と期待が集まりそうだ。

 

 

 この漫画のために「このマンガがえぐい大賞」とかできないかな(笑)。


(おまけ)

 本編読んでコメント読んでツイッターで感想読むルーティーンが最高。

👆に載っている人たちなどの発想力や観察力に毎度驚かされる。

あとから見返して観察したくなるタイプの作品は名作だと「ワールドトリガー」から習いました。

 

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