一路真実

星屑書房主宰。物書き。

一路真実

星屑書房主宰。物書き。

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オンライン小説ゼミ、次回は11月10日(日)12:00〜14:00、Zoomで実施します。お気軽にご参加ください。作品提出もお待ちしています。申込は星屑書房HPまで⭐︎ https://x.gd/stardustbooks

    • 140字のホラー小説3

       図書館で発表会用の作品を書いていたときにできた作品をアップしています。 ⭐︎⭐︎⭐︎  職場で向かいに座る若手は、アップヘアが得意らしく、いつもかわいらしく髪をまとめている。暑くなり、他の係の女性もみなアップにしており、私も真似してお団子にして出勤した。  すると次の日からみんなショートカットにし始めた。気づいたら職場のアップヘアはお団子頭の私だけになっていた。 「あれ?マネしたくない?」一路真実 ⭐︎⭐︎⭐︎ ↓発表会の作品はこちらから読めます。

      • 文学フリマ福岡10に参加しました。

        文学フリマ福岡に参加しました。 ここ最近は、年に1回文学フリマ福岡にあわせて個人誌を作っていたのですが、今年は少し変えてハンドメイドのリングと折本のセットを出品しました。 制作経緯はこちらに書いています。 星屑書房ブースはこんな感じでした。 今回は星屑書房で借りているブースの隣に、星菫さんと二人で借りた「おとなり占い堂」を設置しました。 なので、二人でゆったり座っておしゃべりしつつ店番を楽しむことができました。 さらに今年は星屑書房のブースの椅子も2席に増やしたので、メ

        • 140字のホラー小説2

           図書館で発表会の作品を作っているときに書いた、ホラー小説です。 ⭐︎⭐︎⭐︎  幼い息子がやっと言葉を話し始めた。 「パパ」 「パパだよ! すごいね」 「パパ」 「何?」 「パパ、うわき」 「え?」 「パパ、浮気しないで」  僕は思わず妻の方を振り返った。 「どこで覚えたの?」一路真実 ⭐︎⭐︎⭐︎ ↓発表会の作品はこちらから読めます。

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        オンライン小説ゼミ、次回は11月10日(日)12:00〜14:00、Zoomで実施します。お気軽にご参加ください。作品提出もお待ちしています。申込は星屑書房HPまで⭐︎ https://x.gd/stardustbooks

          文学フリマ福岡10に出展します

           10/27(日)開催の文学フリマ福岡10に、星屑書房ブースを出展します。  私は既刊の個人誌『ライク・ア・メリーゴーラウンド』『マウンドの彼女』、新作として「羊毛フェルトのリングとモチーフの物語折本セット」を出品します。  年に1回文学フリマにあわせて個人誌を作っていたのですが、今年は新たな企画として羊毛フェルト作品を作りました。  作品のモチーフを元に、折本では「パン・ヨーコを訪れる人々」というショートストーリーを書いています。  羊毛フェルトのリングに合わせた、パ

          文学フリマ福岡10に出展します

          140字のホラー小説1

           図書館で発表会というものに参加しており、その際に140字のホラー小説をいくつか書いたので、図書館の休館日にあわせてアップしていきます。 ⭐︎⭐︎⭐︎  職場の個室トイレに座っていると、急に電気が消された。 「すみませーん、まだ入ってますー」  僕は大きな声で叫んだが、何の反応もない。  窓のないトイレは真っ暗で、トイレットペーパーで尻を拭くのも難しい。  迷った末、そっとドアを開けた。  廊下から覗いていた男と目が合った。 「出られない」一路真実 ⭐︎⭐︎⭐︎ ↓

          140字のホラー小説1

          図書館で発表会

          近所の図書館に行くと、入り口に大きな張り紙がありました。 足を止めてよく読んで画像を撮り、よしやろうと。 それが「図書館で発表会」という企画です。 推し本から生まれた作品を図書館に展示するという企画。 最初は羊毛フェルトの作品を作ろうと思って、申込用紙をもらってきました。 でも考えているうちに、やっぱり小説が書きたいなと。 でもあまり長い作品は読んでもらえないだろうから、短くてインパクトのある小説がいいだろうと思いました。 そこで、前から気になっていた、Xに投稿でき

          図書館で発表会

          小説「サマーシルエット」について

          星屑書房の雑誌『暁烏』3号に、新作の小説「サマーシルエット」を掲載します。 この作品ができた経緯を書こうと思います。 はじまりは、福岡のミクスチャーバンドCyanのボーカルの一人、FGさんからのLINEでした。 スタジオで録音された音源と共に、この曲に合うストーリーを書いてくれないかという内容が送られてきました。 実は前にもCyanの曲「雨のメリーゴーランド」を聴いて、一路の小説「ライク・ア・メリーゴーラウンド」を書き上げて、コラボしたことがあります。 その際は、書き

          小説「サマーシルエット」について

          ぺらふぇす2024参加作品

          2024年8月3日(土)~5日(月)まで開催される「ぺらふぇす2024」に参加しています。 A4の折本で、小説を書きました。 「殺人計画小説」という作品です。 星屑書房に投稿された小説に、殺人の計画が書かれており、メンバーと雑誌『暁烏』に掲載すべきなのか話し合うというストーリー。 投稿された作品は本当にフィクションなのか? 投稿者はなぜこの作品を書いたのか? 最後に謎が解明されます。 星屑書房に実在する雑誌名やメンバーのペンネームなどが出てきますが、架空の物語です。 少

          ぺらふぇす2024参加作品

          オンライン小説ゼミを始めます

          今年の初めくらいに、「カベウチケット」を発行しようと思っていました。 職場の人が何度も 「若い子にカベウチが必要だと思うんです!」 と主張するので、カベウチって壁に向かってボールを投げたり打ったりするあれかなあと思いながら聞いていて、ネットで調べたらビジネスでよく使われるらしいとわかりました。誰かに話を聞いてもらって、自分の考えややりたいことを深めていくということのようです。 前から、プロの作家には編集者という相談者がいるけど、同人作家にも気軽に相談できる人がいるといいの

          オンライン小説ゼミを始めます

          予告

           四宮は、新入社員の藤堂の世話係になった。仕事で分からないことがあると、スーッと椅子をすべらせてパソコンの操作から何から藤堂に細かく教えていた。  残業になり、課内に二人きりになったとき、突然藤堂が変なことを言い始めた。 「シノさん、うちの社屋に爆破予告が出たの、知ってます?」 「はあ? うちみたいな小さい会社、爆破しても仕方ないだろ」 「そうっすよね。今週金曜日らしいんで、休みになりますかね?」 「そうだなあ……まあ在宅勤務にはなるかな」  次の日には社内に通知

          私にハマる男たち

           不思議だなぁと思うのだけど、各時代でなぜか私にハマる男たちというものがいる。簡単に言うと男友達だけど、彼氏になるわけではなく、一時期私にハマってよく遊んで去って行く男たちである。  高校時代のAくんは、毎晩電話をかけてきて自分の恋愛相談を延々とした。あまりに話が長いので、私はテレビを見たり次の日の予習をしたりしながら聞いていた。よく喋る人で、まあ電話代はほぼ彼持ちだったからいいのだけど、高校最後の年は本当に彼と喋ってばかりいたなあと思う。Aくんの大学合格発表の日には、番号

          私にハマる男たち

          濃厚接触したい僕

           マスクが日常的になった今、僕の最大の悩みはどうやって彼女とキスをするかということだった。  付き合って半年、休校になる前は体を近づけることが精いっぱいで、やっと学校が再開したとはいえ先生からはマスクをしろ距離を保てと怒られている。先生たちも生徒の濃厚接触を危惧しているようで校内ではいつも以上に目を光らせているから、放課後、僕たちはわざわざ校門の外で待ち合わせをした。  彼女は電車通学なので、僕は自転車を押しながら駅まで送っていく。彼女の横顔をちらちら見ていたが、夕陽に光

          濃厚接触したい僕

          カワイイものが好きな男の話

           「おじさんはカワイイものがお好き」というドラマが好きで見ていたのだけど、私も同じ経験をしたことがあるとふと思い出した。  それは大学二年生のときのこと。キャンパスの入口のベンチに座って彼氏を待っているときに、声をかけられた。 「一路さん?」  近づいてきたのは、高校三年生のときに同じクラスだった男の子だった。まさか彼が同じ大学に入学していたなんてと驚いた。私が上京するとき彼は東大に落ちて浪人していたから、全く知らなかったのだ。  連絡先を交換した後から、彼はときどき私を

          カワイイものが好きな男の話

          やっぱりドラマが好き!

           この文章はかなり前に書いて保存したままになっていたもので、内容は古いのですが、せっかく書いたのでアップします。 ***    今クールのドラマは結構面白いドラマがそろっていたので、今回はやっぱりドラマが好きという話。  まず、月曜日は「珈琲いかがでしょう」。コナリミサトの漫画をドラマ化したもので、私は漫画を先に読んでいたのだけど、主演の中村倫也が主人公の青山さんそのものでびっくり。同じコナリミサト原作の「凪のお暇」のゴンさんのときはだいぶ見た目が違っていたので(まあそれは

          やっぱりドラマが好き!

          今の私

           洗面台の前に立っていて、今日一日仕事であったことをあれやこれやと思い出していると、どんどん落ち込んできて酒でも買ってこようと思った。髪はアップにまとめて、Tシャツとハーフパンツにサンダルをつっかけた。  大学を卒業してから三年経ち、やりたい仕事には就けたけれどなりたい自分になれたのかなと思いながら、暗い道をとぼとぼ歩いて少しため息をついた。 「田中さん?」  コンビニから出るときに、そう声をかけられて振り向くと、大学の同期だった藤原くんが立っていた。 「いやいや、お