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感想に関する或る感想#0 「はじめに」 | 森田一郎の毎日戯文 #19

毎日戯文とは

ドーモ、森田一郎です。

世の中は賛否で溢れております。マンガ、ゲーム、映画、アニメ、音楽。あらゆる娯楽について、Twitterでも、ブログでも、各プラットフォームのユーザーレビューで感想文がすぐ目に入る時代であります。

単に「おもしろい」「つまんねえ」というものから、「ここが良くなかった」「監督の人間性が嫌い」「ボーカルがかわいい」「役者が嫌い」「作品は良かったが体調が悪かった」「作品はさておきうちのミケはそうめんを食べます」みたいなものまで、好評や不評が入り乱れております。

かつてはそういった感想文を見るたびに、「貴様コノヤロ」と思っていたものですが、最近では気にもしなくなりました。その理由は食べ物に例えるとわかりやすいでしょう。

「ゴリゴリ君まずいよね~!」と、あなたの好きなアイスの味を否定している人が居たとしましょう。その理由を聞いてみると「青い取っ手は冷たくてベタベタしてすぐ溶けるし、食べると硬くて木みたいな味がするんだもん」と言います。

「そんなヤツおらんやろ!」と思いきや、そんな人々がごまんと存在するのが世の中の広さです。さすがに棒アイスの食い方はだいたい誰でもわかるのでゴリゴリ君のケースは稀ですが、娯楽/芸術作品の食い方や味わい方は一生をかけて自分で掴み取っていくしかありませんから、木の棒を食って「味がしねえ」という感想文が大量に出回る事となります。

それに対して「おのれ貴様、教育してやる」という気持ちは今でも無くはないですが、実際私に出来る事などないのです。してあげる義理もないのです。不毛の極北です。いや、「ゴリゴリ君は木の棒味!」という間違った風評が広まって売上が下がったらそれは困るんですが。

そもそも「あんまり好きじゃない、牛乳系の濃厚な方が……」といった真っ当な否定意見も世の中にはありますし、好みは人それぞれなのでいちいち自分の好きなものを擁護していては仕方ないのです。

といった具合に達観というか、諦観というか、「ひとはひと、うちはうち」のマインドをいい具合に手に入れ、ゴリゴリ君木の棒勢を「そういう人も居るし仕方ないよね」と優しい目で見られるようになった森田一郎ですが、やはりせっかく文字を書くのなら私の中のわだかまりを文章にしていきたい。そして、読んだ方の共感や反感を得てみたい。

そういった思いで、ちょっと「感想に関する或る感想」シリーズをこの戯文の枠で書いてみます。

お気づきでしょうか、この文章の中で「批評」という言葉を一度も使っていない事に。

そう、森田一郎の中で「感想文/レビュー」「批評/クリティーク」はけっこう違う語義を持っています。その辺りにも触れていこうと思っていますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。

ではまたあした。

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